ファチマの聖母マリア

悪魔の最後の戦い

われわれの時代のための黙示録的解答

編集者はしがき

祝せられたおとめマリアはファチマで、彼女の要求が聞き届けられるとき全人類に平和を約束なさった。彼女のメッセージと要求が明瞭にかつ完全に知らされることが必要である。2001年9月11日のニューヨーク・シティにおけるツイン・タワーへの攻撃のような、戦争とテロの行為はファチマ・メッセージが故意に誤り伝えられ葬られていることの結果である。この書物は祝せられたおとめと彼女のファチマ・メッセージに対する悪魔と彼の意識的および無意識的な追随者たちの継続中の戦闘を記述している。ファチマ・メッセージが広範囲に知られ、従われない限りは、また知られ、従われるまでは、9.11のような事件がもっと多く、そしてはるかにもっと悪い事件 -- 預言された「さまざまの民の絶滅」にまで至るそしてそれを含む -- が祝せられたおとめマリアのメッセージが人類によって無視され従われないことの結果として起こるであろう。テロ攻撃、戦争の脅威およびファチマ・メッセージ抑圧の間の関連は xvii, 213-223, 263 ページでさらに説明される。

通りにいる仮説好きの人間は2001年9月11日のテロ攻撃と今カトリック教会を苦しめている性的スキャンダルとが密接に関連した出来事であるということを知って驚くであろう。しかし、それらは実際密接に関連しているのである。その関係は、二つの出来事がファチマのメッセージのプリズムを通して見られるとき明らかとなる。

教会が進む通りにまた世界も進むとしばしば言われている。そのことは、本質的に、世界史において前例のない一つの公的な奇跡によってその真正性を保証された一連の御出現において、85年前にポルトガル、ファチマに神の御母が来られたとき、警告されたことである。その時以来、ファチマのメッセージにおける預言的な諸々の警告はすべて文字通り実現された -- ファチマのおとめが御自分の要求に栄誉を与えることに失敗した最後の結果であろうと警告なさった、さまざまの民族の絶滅という一つのことを除いて --。

ファチマの御出現は引き続く教皇たちによって真正のものと見なされてきた。そして現在も教皇ヨハネ・パウロ二世によってローマ典礼書(カトリック礼拝の基本的な書籍)において記念されている。にもかかわらず、邪悪さの神秘として見られなければならないものにおいて、おとめの単純な要求はカトリック教会において高い地位を占めている数人の高位聖職者たちによる意識的な決定のために果たされないままになっている。その結果は、聖母が予告されたとおりに、教会と世界におけるますます深まる危機であり、その危機は、われわれが黙示録の始まりを目撃しつつあるという、非カトリック者たちの間でさえ、増大している感覚を伴っている。

この書物はもともとは近年のファチマに関するより重要な著作や講演のいくつかの収集として考えられた。注1)これらの仕事を一冊の書物に集めることがそれらに広範な配布と長期間の保存を可能にするであろうという希望があった。しかしこの考え方は間もなくもっとよい考え方 -- 諸々の論考と講演とを首尾一貫した総合的なテーマをもった全体的な一冊の書物に作り直すという考え方 -- によって取って代わられた。著者たちの許可を得て、ポール・クレイマー神父と宣教協会の編集スタッフは諸々の論考と講演とを(多くの新しい内容を加えながら)ファチマについてこれまでに出版されたどの書物とも違った一つの著作へと作り上げた。

何かある注目すべきことが起こったのは素材を評価し改良する過程においてであった。すなわち、一つのテーマが摂理によってであるかのように、それ自身で完全に現れたのである。異なった角度からファチマ・メッセージの主題にアプローチする際に、それぞれ異なった話者や著者すべてが一つの結論に収斂した。すなわち、ファチマにおける諸々の出来事は教会と世界に対して猛威を振るっている戦いにおける一つの天上的な焦点を表している、と。教会における危機と世界における危機とは両方とも、ファチマ御出現のうちに天上的な簡潔さで要約された神的真理が中心になっている。これらの対になった危機の終結はファチマ・メッセージの実現のうちに存する。両方の危機の起源と増大とは大いにそのメッセージの否定に存している。

ファチマにおける仰天させるような出来事は何らかの無益な見せ物ではなかった。なぜなら、神は無用な見せ物には関わられないからである。神の御母はわれわれの現在の状況をはっきりと見た上で地上に来られた。そして母親としての配慮をもって聖母はわれわれにそこから逃れる道 -- われわれの時代のために神御自身によって選ばれた道 -- を提供された。事柄がそうであるからして、ファチマで何が起こったかを理解しないでは、今日の教会と世界の状態を理解することはできないのである。

われわれはまた、マリアの汚れなき御心へのロシアの奉献、カトリシズムへのロシアの奇跡的な回心、そして世界平和の一時期における汚れなき御心の結果としての勝利を含むファチマ・メッセージの天からの命令の実行を妨害しようとする数人のカトリック教会人たちによる奇妙なそして組織的な努力をも理解しなければならない。現代の世界の諸々の事件の図式におけるファチマの中心的な重要性はただ、教会外部のさまざまの要素 -- 特に、バチカン代表者たちとの無益な「エキュメニカルな対話」の40年の後でさえローマに対するその容赦のない反対がこれまで以上に強い、ロシア正教会 -- に対して侮辱を与えることを避けるためにファチマを「解体し」そして「非神話化し」ようとする数人のバチカン高官たちの最近の、ほとんど逆上した努力によってのみ証明される。以下に続くページは、われわれが皆直面しなければならない教会の危機と世界の危機の責任の大部分を彼らの足下に置きながら、ファチマに反対するこのキャンペーンに関わっている最も重要な教会人たちに対する証拠を提出する。

ファチマに反対する彼らのキャンペーンを暴露するわれわれの企てはけしからんと言う人々に対しては、われわれはただおとめ[マリア]御自身の言葉でもって答えることができるだけである:「もし私の要求が心に留められるならば、ロシアは回心するでしょう。そして平和が来るでしょう。もし心に留められないならば、ロシアは諸々の戦争と教会の迫害を引き起こしながら、世界中にその諸々の誤謬を広めるでしょう。善人は殉教するでしょう。教皇は多く苦しまなければならないでしょう。さまざまの民族が絶滅させられるでしょう。」ロシアは回心しなかった。「合法化された」中絶というホロコーストを含むロシアの諸々の誤謬は世界中に広まった。平和は存在しない。そして今日、非カトリック者や不信者でさえ、諸民族の絶滅の恐怖のうちに生きている。教皇大聖グレゴリオの言葉を真似て言えば、特に、この場合のように、真理が地球的な大惨事を防ぐことができるであろうとき、真理が隠されるよりはスキャンダルが起こるほうがよい。

われわれはこの著作を教皇の判断、そしてあなたの、読者の判断に委ねる。われわれはこの著作を公的に提出する。なぜなら、5年以上にわたって、高位の教会権威者たちに広められた嘆願はすべて効果のないものであったからである。その間に、ますます衰弱していかれる教皇を取り巻く人々は教皇が一般の聖職者や信徒からの請願に応じることを実質的に不可能にしている。まさにこの瞬間に教皇の臨終の見取りは、次のコンクラーヴェにおける優位な立場を得ようと画策する教皇座への自称後継者たちと共に、進行中である。司祭階級の間での性的スキャンダルの数十年にわたる司教による隠蔽工作が証明しているように、現在の状況においては公的な討論の場が全教会に影響を及ぼしている正しい苦情をなくすことを求めているカトリック教徒に開かれた唯一の公開討論の場である。

この書物を提示するわれわれの動機は、信仰を知り、愛し、そしてカトリック教会における最近の諸々の出来事がどの客観的な観察者にも明らかにしているように、若干の教会指導者たちによって今なお追求されている現在の道筋が重大な仕方で誤っているということを良心において信じている教会の忠実な息子たちそして娘たちの動機である。もしわれわれがわれわれの諸々の事実、推論、あるいは結論のいずれかにおい誤っているならば、あるいは何らかの不正を犯しているならば、-- われわれ自身のために、そして教会のために -- ののしり、あるいは実のない弾劾ではなく、諸事実に基づいた正当な矯正をわれわれに提供することは読者の義務であろう。しかしもしわれわれが提示している事例がよく基礎づけられたものであるならば、そのとき読者は一つの異なった義務を持つ:すなわち、-- 今、まだ時間がある間に -- われわれが提示している証拠に基づいて行動する義務である。

ポール・クレイマー神父と
宣教協会の編集チーム

2002年12月8日
無原罪のおん宿りの祝日

脚注:

1)この書物の主たる原典には次のものがある: "Are There Two Original Manuscripts on the Third Secret?", Andrew M. Cesanek(The Fatima Crusader, Issue 64, Spring 2000); "Cardinal Ratzinger’s Third Secret", Father Gregory Hesse(The Fatima Crusader, Issue 66, Winter 2001); "Chronology of a Cover-up", Father Paul Kramer(published on www.fatima.org); "Freemasonry and the Subversion of the Church(the Alta Vendita)", John Vennari(Transcript of speech from Fatima Conference in Rome, October 2001); "It Doesn’t Add Up", John Vennari(The Fatima Crusader, Issue 70, Spring 2002); "Let us Hear the Witness, for Heaven’s Sake," Christopher Ferrara(The Fatima Crusader, Issue 70, Spring 2002); "Lucy and the Pirates", Mark Fellows(The Fatima Crusader, Issue 70, Spring 2002); "The Lying Press Conference of June 26, 2000", Father Paul Kramer(Transcript of speech from Fatima Conference in Rome, October 2001); "Our Lady of Fatima vs. the Desire to Destroy our Catholic Heritage", John Vennari(Transcript of speech, Fatima Rally Against Terrorism, New York, November 2001); "The ‘Party Line’ and its Relationship to Fatima", Father Paul Kramer(Transcript of speech from Fatima Conference in Rome, October 2001); "Pope John Paul II Gives Us the Key to the Real Third Secret," Father Nicholas Gruner(Three part series, The Fatima Crusader, Issues 67-69); "The Stalinization of the Catholic Church"(Transcript of speech from Fatima Conference in Rome, October 2001); "The Third Secret," Father Nicholas Gruner(Transcript of speech from Fatima Conference in Rome, October 2001).

2005/04/13 三上 茂 試訳

目次

作成日:2005/04/13

最終更新日:2005/04/14

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