ファチマの聖母マリア

なぜ御像、そしてなぜそれに戴冠するのか?

ジョン・ヴェナンシオ司教

The Fatima Crusader, Isuue 02, Spring 1979, p.06

今日のすべての異端は新しい名前を持った過去の復活した異端であると言われている。

今日聖画像の抑圧は聖像破壊主義とは呼ばれない。それは第七エキュメニカル公会議によって断罪された同じ異端を思わせる。使徒の時代から聖画像とそれらの適切な信心上の使用は教会の一つの不可欠な部分であった。そして787年のニケア公会議はこのことを確証している。

カタコンベから

もっとも頻繁に用いられた聖画像(カタコンベから十三世紀の司教座聖堂の豪華な装飾まで)はわれらの主と聖母の画像である。

実際マリアに対する伝統的な信心(第二バチカン公会議によって公布された教会憲章パラグラフ67 に基づいてわれわれはそれに従うべきである)はマリアの聖画像の戴冠を通じてのマリアの元后であることの承認であった。

聖ルカによる絵

多くの教皇たちは特に福音書の著者聖ルカによって描かれたと言われており、そしてローマのサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂において尊崇されている絵に戴冠した。教皇クレメンス八世は、それがニケア第二公会議の時代にそうであったと同じように聖母の画像の崇敬が再び問題とされていた十六世紀の終わり、宗教改革のまさに頂点にあるときに、そうした。そしてグレゴリオ十六世は枢機卿たちや高位聖職者たちに取り囲まれて1837年8月15日にその同じ絵を荘厳に戴冠された。そしてそれ以来そのような戴冠のための一つの定式を提供した使徒的書簡 Caelestis Regina を公布された。

おそらく、サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂にあるその同じ絵による聖母の戴冠の最も荘厳な行為はわれわれの時代のために取って置かれた。それは二つの局面を持っていた:一つはファチマにおいて、そして一つはローマにおいて。

1946年に教皇ピオ十二世は、聖母が世界平和の約束と共に1917年に御出現になったその場所で御像に戴冠するためにファチマにマゼッラ枢機卿を遣わされた。枢機卿がローマを離れようとしたとき、教皇は彼にこう言われた:

「閣下、あなたは世界の元后に戴冠しようとしているということを心に留めてください。」

1954年にその同じ教皇が汚れなき御宿りの教義の百周年に敬意を表して「マリア年」を宣言されたとき、教皇は公共の場所に聖母の聖堂や御像を建てることを求められた。その結果、今日聖母像や聖母聖堂が個人の住宅の庭、ハイウェイの折り返し、世界の主要な空港の入口にさえ(シャンノンやブエノスアイレスにおいてのように)見られるのである。そして1954年11月に教皇は最も異例の仕方でその「マリア年」を閉じられた。

彼の先任者たちの非常に多くがそうされたように、聖母の画像に戴冠するためにサンタ・マリア・マッジョーレに行く代わりに、教皇は聖ルカに帰せられた尊敬すべき絵がその場所から持ち出され、聖ペトロ大聖堂へ行列によって(それは数万人の人々によって同伴された)運ばれるよう命じられたのである!そこ、聖ペトロの墓の上の祭壇で、教皇はその絵を荘厳に戴冠し、そして回勅Ad Coeli Reginamを公布された。

皆が驚いたことに、教皇は...この最も荘厳な機会に...彼が聖母の忠誠の使者として(1946年にマゼッラ枢機卿を通じて)戴冠したファチマの御像を思い起こされた。教皇はこう言われた:「それは世界がその最大の希望の源を見出すであろうマリアの元后たることの承認である」と。

当時ファチマの補佐司教として、私はファチマの聖堂から一つの旗を持って出席した。なぜなら、教皇はまた、すべてのマリア聖堂からそこに旗を持って来るように求められたからである。そしてそこには数百の旗があった。その一つひとつに教皇は記念のメダルを付けられた。多くの人々はなぜ教皇がこのことをされたのか、そしてなぜ彼は特に聖母の忠実の使者としてのファチマの聖母像に言及されたのか、不思議に思うかもしれない。

巡礼のおとめ

教皇ピオが1946年にファチマで御像に戴冠された後に、ファチマでの青年会議は教皇特使によって戴冠された御像の複製がロシアへ向けて行列によって運ばれることを求めた。

ファチマ司教としての私の先任者、ドン・ホセ・コレイア・ダ・シルヴァ司教はルチアと相談した後に『巡礼のおとめ』として知られるようになった一つの像を送り出された

諸々の奇跡が起こった。空を自由に飛んでいた鳩たちがやって来て聖母の足もとに留まった。そして巡礼像が1950年に東洋へのその途次にローマにあった間に、教皇はバチカン上空で太陽の奇跡の再現を見られた。1951年には、世界へ、そしてその機会にファチマに集まった数万人の人々に中継されたバチカンからの放送の中で、教皇はこう言われた:

「1946年に私は世界の元后ファチマの聖母に戴冠した。そして翌年、巡礼おとめとして聖母は(彼女の支配を主張されるかのように)出かけられた。そして聖母がその途中で行われた諸々の好意はわれわれが自分の目で見ていることをほとんど信じることができないほどのものである。」

奉献の行為

今日、巡礼のおとめが世界中の大司教区へ次々と入るときとき、聖母は司教たち、主任司祭たちそして信徒によって戴冠されている。

聖母のこの戴冠は聖母に対するわれわれの忠誠の承認である。われわれは、元后として、聖母がわれわれに対するすべての権利を持っておられるということを承認するのである。

教皇ピオはこの信心のうちに世界の最大の平和の希望があると言われた。われわれは、あなたの元后のこの御像の現前を通じて各々の霊魂が聖母の御母としてのそして元后としての現前を経験するように祈る。われわれは聖母があなたの民を聖母の御子、われらの救い主キリストの平和へと導きそして永遠に保ってくださるように祈る。

あなたの十字架 -- 幸福への鍵

われわれの豊かな社会において非常に多くの人々の大きな苦しみを観察することは困難なことではない。病気、死、愛する者の信仰の喪失、財政的困難、失業等々によって引き起こされる苦しみは隣人たちや知人たちの間で普通である二三のものに過ぎない。キリストはわれわれすべてにこれらの十字架を取り、われわれ自身の罪と世界の罪を償うためにキリストに捧げるよう呼びかけておられる。聖フランソワ・ド・サルはあなたの十字架について以下のような美しい言葉を残している:

「永遠の神はその智慧において永遠から、神が今その最も内面の御心から一つの贈り物としてあなたに提供しておられる十字架を、予見しておられた。この十字架を神は今あなたに送られる。神は それがあなたにとって1インチ大きすぎず、また1オンス重すぎないということを見るために、その全知の目で考察され、その神の精神で理解され、その賢明な正義で試され、愛する腕で暖められ、そして御自身の手で重さを量られたのだ。神はそれを御自分の聖なる御名でもって祝福され、その恵みでもってそれに注油され、その慰めをもってそれに香りをつけられ、あなたとあなたの勇気に最後の一瞥を与えられ、そしてそれからそれをあなたに天から送られたのだ。それはあなたへの神からの一つの特別の挨拶であり、神のまったく恵み深い愛の施し物である。」

トマス・ア・ケンピスは、われわれがその生活において担う十字架を見る特別な仕方を持っている。「多くの人々にとって『自分自身を否定し、あなたの十字架を取って私に従いなさい』という言葉は困難であると思われる。しかしながら、最後の審判の日の次の言葉はいかにはるかに困難であろうか。『呪われた者汝よ、われから離れて、永遠の火に入れ。』今十字架に喜んで従う者は最後の審判を恐れないであろう。主が審判するために来られる時、十字架の印は天国にあるであろう。そのとき、彼らの生きている間に自分たち自身をあの十字架につけられた御方と一致させた十字架に仕える者たちは大きな信頼をもって審判者であるキリストへ近づくであろう。」

「それではなぜあなたは、それを通じてあなたが永遠の王国を勝ち取ることができる時に、十字架を取り上げることを恐れるのか? 十字架のうちに救いがあり、そのうちに生命がある。そのうちにあなたの敵どもからの保護があり、そのうちに精神の強さがある。そのうちに霊の喜びがあり、そのうちに最高の徳がある。十字架のうちに完全な幸福がある。」

「あなたの十字架を取りイエズスに従いなさい。そうすればあなたは永遠の生命に値するであろう。」

ファチマの聖母はわれわれに対してわれわれの十字架を受け入れそして担うことの重要性をはっきりと分からせてくださった。聖母は三人の子どもたちにこうお求めになった:「あなたたちは、神の尊厳に背くそのように多くの罪を償うため、そしてマリアの汚れなき御心に対して犯されるすべての冒涜と罪を改めるために、あなたたちに送ることが神を喜ばせることになるすべての苦しみを犠牲として捧げ、喜んで受け入れるためにあなたたち自身を神に捧げることを望みますか?」彼らは真心をこめて受け入れた。聖母は彼らに、多く苦しむでしょう、しかし聖母が彼らを助けるために側にいるでしょうと告げられた。

われらの愛すべき御母はわれらに不可欠なものにおいて助け、われわれがその十字架を担うことを助けるために側におられる。ファチマの子どもたちがそうしたように、キリストとマリアの霊に従おう。われわれの十字架を取り、われらの天の御母にわれわれを助けてくださるよう願おう。

2005/04/10 三上 茂 試訳

作成日:2005/04/10

最終更新日:2005/04/10

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