ファチマ・クルーセイダー

秘密の反アメリカ同盟は存在するのか?

The Fatima Crusader Issue 80, Summer 2005 より

クリストファー・A. フェララ

国際政治評論家リチャード・メイベリーは彼の2005年6月の報告の中で、非常に興味をそそる質問を提出している:「私の知る限り、ワシントンおよびそのイラクにおける代理人たちと戦っている諸々のゲリラ・グループのどれ一つも諸要求のリストを出さなかった。彼らはいかなる述べられた目的もなしに、戦争を助長しながら、単純に殺している。彼らは死、破壊、混沌以外のいかなる目標をも持っていないように見える。なぜなのか?」

メイベリーはその質問を「警察の刑事が犯罪に近づくやり方」に近づけている。私は、誰が儲けるかと質問することによって始める。この見たところ不可解なことを調査する際にメイベリーはイラクにおけるアメリカのますます差し迫った状況とクリミア戦争の間のロシアとの間の一つの興味深い類似を引いている。

メイベリーが指摘しているように、ロシアが1812年にナポレオンを打ち破り、パリに進撃した同盟を率い、彼を捕虜にし、このようにしてヨーロッパを小さな独裁者から解放した後に、ロシアはヨーロッパとアジアにおける「勝利者」、「フランスの狂人から世界を救った力」となった。

しかし、次の40年にわたって、ロシアがイスラム教徒たちに対してヨーロッパを護ると見せかけてその帝国を拡大したので、勝利者はだんだんと憤慨の対象となった。

遂に1854年に、オーストリア、イギリス、フランスそしてトルコはロシアに対して同盟を結び、クリミア戦争においてロシアを打ち破った。ロシアがこれらの国々をナポレオンから「救出した」、そして彼らをイスラム教から「護った」ということはもはやロシアの拡張していく覇権の犠牲者たちにとっては重要ではなかった。勝利者はその自惚れた野心のゆえに倒れた。

同じように、合衆国はヒットラーを打ち破ることを助け、そして「歴史における最も強力な勝利者」となった、とメイベリーは述べる。それから、「世界をUSSRに対して護る」という表向きの目的のために、アメリカは十数カ国に対してその覇権を拡大しながら、ヨーロッパにおいてその帝国を拡張した。そのプロセスにおいて、合衆国政府はイランにおけるシャー・パーレヴィ、そしてレーガン政権の間にはサダム・フセイン自身を含む多くの独裁者たちに財政および軍事援助を提供した。これらの合衆国によって支持された独裁者たちは、合衆国政府に対する巨大な国際的憤慨を引き起こしながら、合衆国の援助でもって、数百万の人々を殺し、拷問し、掠奪し、テロ手段で抑圧することができたのであった。

メイベリーは、ちょうど「ナポレオンからヨーロッパを救い出した」というロシアの主張がその効力を失ったのと同じように、ヒットラーからヨーロッパを救い出し、「世界を民主主義のために安全にした」というアメリカの主張もその効力を失ったのだ、と論じている。メイベリーは、9/11は世界の勝利者に対する反撃の始まりであったと述べている。しかし、クリミア戦争とは違って、この反撃は、直接に対決するよりはむしろ、勝利者を悩まして徐々に血を流させて死に至らせるよう目論まれたゲリラ戦争である。

このことは、われわれの軍隊を攻撃しているゲリラ・グループがどんな明白な要求をも出さなかった理由を説明する、とメイベリーは言う。アメリカに対するこのゲリラ戦争の基本的な目標は、合衆国がイラクおよびアフガニスタンにおける絶え間のないゲリラ攻撃そしてメイベリーが「操縦不能な混沌」と呼ぶものに対処しているときに、中東において動きが取れなくなるということを確実にすることである。この手段によって、合衆国軍隊は、「地球のあちこちでのワシントンの敵どもの協議事項」が邪魔されずに進行する間に、縛りつけられ、そして屈辱的な死傷者に苦しんでいるのである。このように、合衆国は、イラクとアフガニスタンにおけるゲリラ戦争に従事するというまさにその行為によってゲリラの基本的要求にすでに応じているのである。

メイベリーが指摘しているように:「イラクにおいてだけでも、ゲリラ攻撃は一日に70件に達している。爆弾攻撃はますます凶暴になっている。例えば、5月5日には一つの爆弾がエブリアルにおいて60人のクルド人を殺した。5月11日には、少なくとも63人のイラク人がティクリットとハウィージャで死んだ。」そしてこの論考が印刷されるときには、イラクのゲリラ攻撃からのアメリカ人の死者の数は、生涯身体障害となる数千人以上の多くの負傷した兵士たちと共に、2000人に達する。London Daily Telegraph を引用しながら、メイベリーが述べているように、もっと悪いことには、「イラクにおけるエスカレイトし急上昇する攻撃のために、イラク軍と警察は反乱の支持者たちによって深く侵入されている。」そして合衆国指揮官たちは「今や長期の滞在に備えて気を引き締めつつある。」

この段階で、メイベリーは、これらの反アメリカ・ゲリラの活動がロシア、イラン、そして中国の諸政府によって資金提供を受けている可能性大であると結論している。それらの国の政府は、ちょうどロシア自身がクリミア戦争における反ロシア同盟によって倒されたと同じように、世界の現在の勝利者を打ち倒すために共謀しているのである。莫大なそして見たところ無制限の費用を支払ってアメリカがそれに参加することを強いられているそのゲリラ戦争から利益を受けるのは、イラクあるいはアフガニスタンの人々ではなくて、これらの政府である。

メイベリーの分析は熟考に値する。アメリカ人たちは今や誠実に自問しなければならない:「これはアメリカのクリミア戦争であるのか?」と。

2005/08/30三上 茂試訳

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作成日:2005/08/30

最終更新日:2007/09/27

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