ファチマ・パースペクティヴズ

529号

ウィールガス事件と第三の秘密

2007/01/11

クリストファー・A. フェララ

スタニスラウ・ウィールガス司教が、教皇ベネディクト十六世がほんの数日前に彼を昇進させられたワルシャワの大司教の地位から辞任したので、次のように問うことは適切である:いったい教皇はなぜ共産主義者たちとの周知された協力者の昇進を意識的に承認なさったのか?

そうだ、意識的に、である。なぜなら、ウィールガスが自分自身でワルシャワの大司教区の人々に対して2007年1月6日のその書簡の中で認めているように、「教会に対して敵対的な全体主義国家の諸状況の下で働いていた過去の時代の秘密警察との接触に掛かり合いになっていることを含む私の過去のこの部分を含んで、私の生涯の歴史を教皇および聖座の適切なディカステリーに提示するために彼の指名の受諾を遅らせた」からである。

彼のポーランドのそのように多くの仲間たちが忠実に留まったのに、ウィールガスが教会を裏切ってきたということを彼らは皆知っていた。そして教皇御自身も知っておられた。にもかかわらず、罪の告白さえなしに、彼は他のすべての人々を越えて昇進させられた。ウィールガスが同じ書簡の中で認めているように、全く反対に、「私は、熱狂したメディア・キャンペーンに直面して、この協力の事実を否定した最近の日々に再び彼女[教会]を傷つけた。」すなわち、真理が新聞において明らかになったときに、彼の指名を救うために彼はそのことについて嘘を言ったのである。

そしてヴァチカンは彼の嘘において彼を擁護した。弁護士で作家のロバート・ミラーが第一の事柄 First Things (2007年1月9日)における記事において述べているように:「ウィールガスは申し立てを否定した。そして聖座とポーランド司教団は彼をバックアップした。」ウィールガスを擁護して、ヴァチカンの広報当局はこう述べた:「聖座はワルシャワの新しい首都大司教を指名するために選ぶに際して、彼の過去に関する事柄を含む彼の生涯のあらゆる状況を考慮した。このことは聖座が大司教スタニスラウ・ウィールガスに完全な信頼を抱いたということ、そして完全に意識してワルシャワの大司教区の牧者の使命を彼に委ねたということを意味している。」

ウィールガスの立場が完全に擁護できないものとなった時に初めて、ヴァチカンは最終的に彼の辞任を求めそして受け入れた - それは文字通り大司教としての彼の就任の数時間前であった。しかし、ミラーが述べているように、陰謀は濃くなっている。ミラーは、司教省長官ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿によれば、「ウィールガス大司教が指名されたとき、われわれは秘密警察との彼の協力については何も知らなかった」と報告している。ミラーは、「このことは、もちろん、ウィールガスの容認と[1月6日の彼の書簡における]弁明とに真っ向から矛盾している、と書いている。その弁明は、ウィールガスが彼の過去の諸活動を教皇と司教聖省を含まなければならなかった適切なヴァチカン・ディカステリーに対して十分に明らかにしたとはっきりとそして繰り返して述べていた。

しかしおそらくミラーはここで一つの微妙な留保を見逃した。ウィールガスが彼の1月6日の書簡において述べているように、彼は彼の共産主義者との協力の詳細を明らかにするために彼の指名の受諾を遅らせた。このように、技術的に言えば、指名の正確な瞬間に司教聖省がすべての詳細を知らなかったということは真実であり得るであろう。しかし、ウィールガス自身が明らかにしているように、司教聖省はその後間もなく知った。このように、レ大司教は、それを外交的に処理するために、むしろここでは賢明なのである。

そしてそれはファチマの第三の秘密に関してもそうなのであると、われわれが当然推測するのはもっともである。アントニオ・ソッチが「ファチマの第四の秘密」という彼の書物において結論しているように、「ヴァチカンは第三の秘密の部分を含んでいるファチマのおとめの言葉を教皇の説教において間接的に明らかにする」ことを明白に決定したのである。この「暴露」はヨハネ・パウロ二世の黙示録第12章のファチマ・メッセージへの連関にある。このようにして、ヴァチカンは今や技術的に、ちょうどレ枢機卿がウィールガスが指名された正確な瞬間に彼の共産主義者としての過去については何も知られていなかったと技術的に言うことができたのと同じように、第三の秘密に関しては「すべての事柄」が明らかにされた、と言うことができるのである。

そのような技術的な言い抜けは、もちろん、真理全体を隠す欺瞞である。しかしウィールガス事件がわれわれに示すように、ヴァチカン当局はそのような欺瞞にまったく喜んで従事しているのである。ここでわれわれは、われらの主の、御自分の教会の欠点のなさに関する約束が、ヴァチカン官僚制において高い役職を占める人々を含む、教会の個々のメンバーたちの完全無欠さにまで拡大しなかったということを思い起こさなければならない。それゆえにわれわれは、ヴァチカンがファチマの第三の秘密に関して言っているより以上のことを知っていると疑うあらゆる理由を持っているのである。

作成日:2007/01/25

最終更新日:2007/01/25

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