ファチマの聖母マリア

ゴリツィンの最近の書物、恐るべきファチマの預言を確証する

The Fatima Crusader, Isuue 51: Winter 1996より

ウィリアム・ファンテ

「ソビエトは西側民主主義との真正の永続的調停を目指して努力しているのではなくて、共産主義の最終的世界勝利を目指して努力しているのである」...アナトリー・ゴリツィン、1995年

神が一つの計画を提示なさるとき、人間は他の計画を選ぶ自由はない。それから神が一つの救済策をお与えになると相手である人間は「よりよい」方を選ぶ権利を持たない。それは神の計画を人間自身の見通しと取り替えようとするうぬぼれと傲慢である。特にファチマの場合には、そのような取り替えは恐るべき忘恩の趣がある。われらの祝せられた御母が単に20世紀の差し迫った災厄についてわれわれに警告なさるためばかりでなく、われわれがそれらの災厄をどのように避けることができるかをわれわれに告げるためにファチマに来られたのはまったく神の善性である。ファチマは本質的に超自然的であるがゆえに、そのメッセージに従うことは世界の危機を妨げる以上の多くのことをする。それは数百万の霊魂を地獄の火から救う。

聖母の救済策は単純なものであって、「この世の住人たち」が「余りにも単純すぎる」とそれを笑い飛ばすほどに単純である。しかしファチマに同意しないことは日の出に同意しないことにほとんど似ている。20世紀に関するファチマの予告が非常に正しかったということを時が証明した。それゆえに、ファチマの聖母によって与えられた救済策以外の他の救済策はないのである。世界平和を手に入れるためには十分な数のカトリック教徒が毎日のロザリオを祈り、茶色のスカプラリオを着用し、神に日々の義務を捧げ、5回の初土曜日を実行しなければならない。最後にある特別の日に世界のカトリック司教たちと一致して教皇によるマリアの汚れなき御心への特殊的かつ名を挙げてのロシアの奉献を求める断固たる要求が存在する。もしこのことがなされるならば、ロシアは回心し、多くの霊魂が救われるであろう。神がそのことを保証なさったのだ。

1982年と1984年に教皇ヨハネ・パウロ2世はマリアの汚れなき御心に世界を奉献された。しかしこのことにはほとんど注意が払われなかった。というのは、それは明らかに神が御要求になった線に沿っていなかったからである。神は要求なさった。誰もがそのことを知っていた。10年前、100万部が出回った書物ファチマの聖母というその評判のよい書物の中で、ウィリアム・トマス・ウォルシュ(William Thomas Walsh)はルチアが彼に、彼らの有名なインタビューにおいて「聖母はご自分の汚れなき御心への世界の奉献をお求めにはなりませんでした。聖母が特殊的に要求なさったのはロシアの奉献でした」ということを明らかにした、と書いた。

突然、1989年にゴルバチョフのグラスノスチ/ペレストロイカが世界の舞台に現れた。西側の政府と彼らのニュース・メディアはすぐさま、血に飢えた共産党の熊としてではなく、写真写りのいい抱きしめたくなるテディベアとしてゴルバチョフを歓迎した。彼らの「冷戦」のまどろみから突然起こされたたいていのファチマ使徒職を含めて世界中の多くのカトリック教徒は「わーっ、1984年の奉献が聖母の要求を満たしたのだ。結局、ロシアは回心した、そうじゃないかね」という軽率なふらふらした結論を出した。

しかしながら、そのような致命的な結論に達することからわれわれを守るためには考察されなければならない三つの反省させる点がある。

1)ロシアが経験した変化は何であれ聖母がロシアの奉献を要求なさったという客観的な事実とは何の関係もない。教皇ヨハネ・パウロ2世は世界の奉献を行われた。それがたとえ何であれ、奉献はファチマの聖母が要求なさったようには果たされなかった。

2)たとえロシアにおける諸変化が実質的に真正のものであるとしても、このことはそれでもなおカトリック信仰への回心ではなくて、政府のより「民主的な」あり方へのロシアの見かけの変形にすぎない。ロシアにおいて起こっていることは「アメリカ化」(宗教的自由の見地からでさえ)に似ているかもしれない。しかし真のカトリック的な回心はそこにはない。

3)ロシアの「アメリカ化」あるいは民主化のこの描写さえ誤りである。これは多くの政治分析家たちの見解である。その中でも最も重要なものは元KGB捜査官、アナトリー・ゴリツィンの証言である。

KGB捜査官は彼の諸事実を知っている

アナトリー・ゴリツィンの最初の書物古い嘘に代わる新しい嘘は、たいていの西側の分析家たちとは違って、著者が諸事件の数年前に正確に予告した、--1989年から1991年にかけて東ヨーロッパとソビエト連邦において起こった「過去との断絶」-- ということが発見されたときに長期にわたるセンセーションを引き起こした。

マーク・リープリング(Mark Riebling)はその著くさび:FBIとCIAとの間の秘密の戦争(Wedge:The Secret War Between the FBI and CIA)(Alfred A Knopf, New York 1994)において、古い嘘に代わる新しい嘘におけるゴリツィンの予告の秩序だった分析を遂行した。リープリングは「148のうちの139が1993年の終りまでに実現された--その正確度はほとんど94%」と言っている。そしてリープリングの評価はただ

最後の15年間だけでもソビエトの指導者たちと政策の注目すべき変化に関する彼の予告は著しく正確であることが分かった。彼はソビエトの諸事件を予告することにおいて無比の者であったが、同様にまたソビエトの戦略を理解することにおいてもそうであった。彼の1984年の古い嘘に代わる新しい嘘(ゴルバチョフのグラスノスチの5年前に出版された)においてゴリツィンが予告したのは:

--グラスノスチとペレストロイカの「偽りの自由化」キャンペーン

--アンドレイ・サハロフ(Andrei Sakharov)のような偽りの「反体制派」の出現--彼らを「敵」と見せるようにする中国とソビエト連邦との間の展開。

--ワルシャワ条約の解消。

--ポーランドにおける連帯の「再出現」。

--「東」ドイツと「西」ドイツの再統一。

--ベルリンの壁の取り壊し。

--アフガニスタンからのソビエトの撤退とその初期の侵攻の否認。

これらの、そして他の多くの展開をゴリツィンは驚くべき正確さで予告した。

今、ゴリツィンは再びさまざまの予告をしている。そしてその予想は、単に描かれたイメージそれ自体の未来のゆえにだけでなく、主としてそれらが起こる以前に諸事件を予告するゴリツィンの顕著な実績のゆえに、恐るべきものである。

その最近の著ペレストロイカ欺瞞(1995年出版)においてゴリツィンは、「かつての」共産主義者たちが偽の「民主主義に向かっての改革」と「進歩」の覆いの下に追求しているレーニン主義的戦略の背後にある回りくどい秘密の意図を説明している。直接的な戦略的目的は西側との収斂--彼らの折り合いで、であって、われわれの折り合いでではない--である。

究極の目的はレーニンの「新世界社会秩序」--世界共産党政府--の諸ブロックを形成するものとしての集団的地域諸政府で諸々の国民国家を置き換えることである。

それは1960年代に始まった。

ペレストロイカ欺瞞は、大部分は見えないソビエト集団指導部がどのように、アントニオ・グラムシのマインド・コントロールの考えを借用しながら、彼らの長い間準備したレーニンの「プロレタリアの独裁」から彼の「人民全体の国家」への移行を実行したかを明らかにする。このことの主たる特徴は、西側の諸政府が警戒を放棄し、「かつての」ソビエト・ブロックとの協力の制限のない計画に乗り出すように勇気づけるために、決定的な「過去との断絶」が起こったということを西側に確信させることをもくろんだ「民主化ポーズ」("democratism")の演劇的展示である。

1960年代に、戦略家たちはUSSR科学アカデミーの支配の下に諸々の特別研究所を設立した。これらは西側の態度を研究し、ソビエト指導部に一定の戦術的策略やシナリオに対するありそうな西側の反応について知らせるように教えられた。

ソビエトの戦略家たちが予期したように、これらの研究の結果として、西側は警戒を怠って捕らえられ、この過去との断絶によっておびき寄せられた。ゴリツィンはなぜ西側の反応がそのように熱狂的であったかを明らかにしている。欺瞞は、成功するためには、標的の知られた切望にできる限り近くマッチしなければならないと彼は説明している。このようにして、西側は政策と貿易のための諸々の新規の機会を提供しながら、うわべだけの変化を「ソビエト改革」の過程の深化だと解釈した。実際は、西側は「究極的な共産主義世界政府の下での西側のモスクワへの従属状態をもたらそうと意図されているソビエト収斂戦略の展開の加速化」に直面しているのである。

ゴリツィンはこう警告している。「『ペレストロイカ』はそれが単なるソビエトの国内的刷新ではなくて、全世界を「再構築する」ための戦略であるという、党機構の指導の下での共産党、ソビエト政府およびKGBによる30年間の準備の結果であるということが明らかにされなければならない...ソビエトは西側民主主義諸国との真正の永続的な順応を求めているのではなくて、共産主義の最終的な世界勝利を求めている...彼らは彼ら自身の「再構築」とこの目的のために核の紛争の恐怖を用いてソビエトとアメリカの体制の収斂を採用させるようにアメリカ人たちを誘い込む同じ幻想を利用しようと意図している。」

もしゴリツィンが正しいならば、グラスノスチ、ペレストロイカ、そしてゴルバチョフおよびエリツィンの下で目撃されている巨大な「諸改革」や激動は、「悪の帝国」が今や過去の事柄であるということを合衆国や西ヨーロッパの人々に確信させるように計算され犯されている統制された欺瞞であったし(そして今もそうである)。実際には、彼の分析によれば、「ソビエトの脅威」はその歴史の他のどの時期よりも今世界にとってより大きな危険を提示している。

ロシアは今、もっと危険である

ペレストロイカ欺瞞はクレムリンの「欺瞞の大家たち」の仮面を剥ぎ取り、そして彼らの大がかりなごまかしを裸にする。ゴルバチョフ、エリツィン!シュワルナゼ、サハロフ、チェブリコフ、ワレサ、リアチェフ、ヤコヴレフ、ポズナー、コズィレフ、ハヴェル、マネスク、クラフチュク、クチマ、ナザルバエフ、プリマコフ、アカーエフ、およびその他の者は彼ら自身の二枚舌の言葉と行動とによって十分に暴露されている。

政治の「専門家たち」やメディア人たちによって報告された「諸事実」とは反対に、USSRは「崩壊し」なかったし、そして共産党、KGBおよびソビエト軍は廃止されたり、あるいは解散されたりはしなかった。共産主義権力のこれらの同じ構造は--幾分改造はされたけれども--ロシアにおいてだけでなく、「独立諸共和国」と考えられている国々のすべてにおいても同様に、支配し続けている。ロシア、独立諸国家の共和国そして「かつての」東側ブロック諸国家は今日もなお特権階級、冷戦の間それらの不幸な国々を動かした同じ共産党のボスたちによって動かされている。

ゴリツィンは、合衆国の敵であることを止めることからはほど遠く、ロシアは「もっと恐るべきもの、もっと精巧なもの、もっと危険なもの」になっていると警告している。なぜなら、共産党世界勝利の新しい計画は古い計画よりももっと現実主義的になっているからである、と。新しい計画は最も簡潔に「協力-脅迫」と記述され得る。これは北朝鮮やイランあるいは「ごろつき諸要素」の幽霊のような「否認できる資産」のソビエトの使用、あるいは合衆国の安全保障と世界平和に脅威を与えるために核軍備に対する支配を獲得する「強硬派の共産主義者たち」を交互に含んでいる。それゆえ、言葉を換えて言えば、もし西側が協力しないならば、今日の協力には「冷戦への逆戻り」--あるいはもっと悪いこと--のソビエトの脅迫が暗に含まれているのである。ゴリツィンはこの策略を「われわれと協力せよ、さもなくば核の混沌と葛藤の見通しに直面するぞ」として既述している。これは「協力-脅迫」である。」

収斂(Convergence)であって、回心(Conversion)ではない。

「収斂」はソビエト戦略の新しい決まり文句である。ゴリツィンは自分の力でかち得た権威をもってこう述べている。この「収斂は西ヨーロッパと合衆国において大虐殺と政治的再教育収容所を伴うであろう。ソビエト戦略家たちは合衆国における経済的不況を計算に入れている。そして不況の間にアメリカの体制に対する一つの選択肢として人間的な顔をもった社会主義の彼らの改革されたモデルを導入しようと意図している。」

収斂戦略はすでにその完成へ向かって順調である。収斂の主たる使徒、ゴルバチョフ氏は彼の「財団」に対するアメリカ不動産の最良の区画を与えられた。そして特許権使用料の地位を与えられている。ソビエト軍人たちはわれわれのエリート軍隊によってわれわれの最も進んだ軍事基地で訓練されている。ソビエトKGBはわれわれの警察軍へと歓迎されている。指導的なソビエト偽情報エージェントたちは彼らの如才ない「人間的な顔」のプロパガンダをアメリカのテレビ聴衆たちへ投げつけるためにゴールデン・アワーを与えられている。

ゴリツィンはこの「人間的な顔をした」策略の重要性を暴露しているクレムリンの欺瞞専門家の一人による一つの重大な自認を引用している。ゲオルギー・アルバトフ(Georgy Arbatov)はソビエト連邦共産党(CPSU)のジャーナル、共産党員の1988年6月号に書きながら、こう述べた。

浸食されている「敵のイメージ」は...合衆国およびその同盟諸国の外交および軍事政策にとって絶対的に重要なものであった。この月並みな考え方の破壊...がゴルバチョフの武器である...軍備競争も第三世界における権力ブロックも、軍事ブロックも「敵」なしには、そして「ソビエトの脅威」なしには考えられない...もちろん、この武器は秘密ではない。しかしそれは巨大な力を持っているのである。」

ゴリツィンの書物に関して、著作家ウィリアム・ジャスパー(William Jasper)は「浸食されているのは敵の現実、脅威の現実ではなくて、ただイメージだけである、脅威はこれまでよりももっと現実的に残っている」と指摘している。

合衆国の戦略的な敵、中国

ゴリツィンが明るみに出している最も魅力的な点の一つは次のことについての真実である:

いわゆる「中国-ソビエト」分裂についての真実--すなわち、中国はロシアの敵であり、そして合衆国の友人であるという幻想--。ゴリツィンは「共産党中国は合衆国の戦略的パートナーではなくて、その隠された戦略的敵である」と警告している。中国は合衆国における、そして世界じゅうあまねくの、「再構築」をもたらしているソビエトに参加するであろう。

浸透を通じて、中国共産党情報部は1950年代、1960年代および1970年代の間の中国におけるCIAの諸々の関係と資料とを破壊した。彼らはまた中国の指導者たちの戦略的意図に関する信頼できる資料を展開させることからCIAを妨害した。

ゴリツィンは、この事態はアメリカの政策決定者たちをその問題に関する情報にあまりふれさせないようにしていると書いている。西側が接近できる最善の「情報」は唯一中国共産党指導者たちの言語的な保証である。

ゴリツィンは指摘している。「この情報ギャップのゆえに、アメリカの政策決定者たちは中国の戦術と戦略との間を区別しなかった...この混同のゆえに、アメリカの政策決定者たちは、共産党中国が合衆国の重要な戦略的パートナーであり、ソビエト連邦の戦略的ライバルそして敵であると信じている。このことにおいて彼らは間違っている。中国は合衆国の戦術的なパートナーであって、戦略的なパートナーではないし、またロシアの戦術的な敵であって、戦略的な敵ではないのである。

ゴリツィンはさらに続けて、共産党中国は共産主義の長期の戦略の主たる立案者のひとつであると言う。中国-ソビエト「分裂」は「再構築」という彼らの共通の戦略の準備がうまくゆくことを確保するために両国によって遂行されている戦略的な偽情報作戦であった。ソビエトと中国の指導者たちは分業を通じて彼らの秘密の戦略的協力を続けてきたのである。

合衆国との中国の密接な関係、そしてパキスタン-アフガニスタン状況に関して中国が合衆国の役に立っていることさえ、アメリカの工業技術の援助で現代の超大国になるという中国の主要な戦略を確保するために意図された戦術である。

ゴリツィンは「中国はそれに向かってモスクワと北京が共同して進んでいる未来の世界政府における主たるソビエトのパートナーとなる運命にある」という動かし難い予想を述べている。

欺瞞の概要

ペレストロイカ欺瞞は補遺、あとがきそして付録をもった6部に分けられる。

第1部のタイトルは「ペレストロイカ欺瞞」であり、そこでは著者はペレストロイカのための長期の政策の採用、その戦略のためのソビエトの研究、その戦略のための準備におけるKGBの役割、ならびにペレストロイカのための実験とリハーサルを論じている。

またペレストロイカの最終局面の主たる目的、すなわち、東ヨーロッパ、第三世界、および合衆国の再構築、アメリカの軍事的および政治的同盟諸国の再構築の論述もある。それはまた西側における反共産主義に対するソビエトのキャンペーンについても述べている。

第2部、共産党の大戦略と西側の幻想は1987年1月4日付けのCIAへの覚え書きであり、それはソビエトの大欺瞞戦略の見地からのゴルバチョフの合衆国訪問の評価である。著者はまた戦術的諸変化および偽情報を通じての「収斂」をも既述している。

「ペレストロイカに対するアメリカの対抗戦略が第3部を形成する部分である。著者は共産主義世界を取り扱う際の過去のアメリカの悲劇的な誤り、ならびにさまざまのアメリカ指導者たちの誤り、ベトナム[戦争]の時期の誤りを論じている。

ペレストロイカ戦略の実行とそれに対する西側の盲目的な反応がこの書物の第4部を構成する。

著者はペレストロイカを理解するための7つの鍵を与えている。

1)ペレストロイカの先例となるレーニンの新経済政策。

2)共産主義ブロックの十分な政治的および安全保障の潜在力の使用のための準備。

3)共産主義諸国における統制された「政治的対立」の創出。

4)社会主義を発展させるためのレーニンの「古い形式と新しい形式の偽造」と非共産主義者たちの承認を通じての偽の代表制度というチチェリン(Chicherin)の考え。

5)共産主義諸国における統制された「政治的対立」の発展。

6)極東の共和国およびグルジア共和国のための形式的な政治的「独立」のレーニンの使用。

7)反西側戦略の実行におけるブロックの政治的および安全保障の潜在力の発展。

これら7つのキーポイントは、この種の戦略が西側の精神構造にとっては無縁のものであり、またそれがこの戦略が西側の人々の精神を欺きそして捕らえるのにそのように成功したかの理由であるがゆえに、読んで理解する必要がある。

第5部は第2の10月社会主義革命のための戦略としてのペレストロイカを暴露している。それはまた、共産党独裁権、ソビエト軍そして暴力によるのではなくて、USSRにおける統制された「民主化」といわゆる多党制に携わったソビエト諸権力の偽りの改革、影響および政治的活動を通じての非暴力的革命の新しいパターンについて論じている。ゴリツィンはまたペレストロイカ戦略の成功した実行におけるソビエトの戦略的偽情報の主要な役割をも説明している。

「インチキの『8月クーデタ』とその計算された失敗」がゴリツィンの著作の第6部を構成している。熟慮してたくらまれた「過去との断絶」そして8月クーデタが実際にはいったい何であったかの物語は魅力あるそして啓発的な読書に役立つ。1973年から1985年の間のゴリツィンのCIAへの覚え書きからの抜粋を含んでいる補遺がある。著者がソビエトの長期にわたる欺瞞戦略の包括的な分析を提供している後書きがある。その書物はKGBの現在の諸活動の多くの局面がスポットライトを当てられ、そして分析されているCIAへのさらに重要な覚え書きの付録で終わっている。

どのパラグラフも詰まっている

しかしながら、この概観はこの重要な書物に正当な取り扱いをしていない。この著作にはこの概観が提供しているよりはるかに多くの資料が含まれている。実際、この書物の正確な要約を提供することは困難である。というのは、どの章やどのパラグラフも筆者が圧縮するのに困難を見出す情報ではち切れそうであるからである。完全なメッセージを受け取るためにはその書物全体を読まなければならない。ゴリツィンは言うべきものを持っている。彼は聴く必要のある声である。少数の他の人々と共に、彼は欺瞞を見通した。この書物はこれらの現在のソビエトの大きな嘘の最も洞察力のある暴露である。

間違った救済策は間違った結果を産む

ゴリツィンのペレストロイカ欺瞞は、他のどの書物より以上に、ロシアがどこででも回心に近づいていないという真理、そしてロシアの現在の状態は「冷戦」のソビエト連邦よりも遙かに危険であるという真理を補強している。

マリアの汚れなき御心へのロシアの奉献はまだなされていない。そして敵はただ転覆subversionの精巧化において進歩しただけであって、回心conversionの恵みにおいて進歩したのではない。ゴリツィンによれば、ペレストロイカグラスノスチの策略はソビエトが世界に対してこれまでに突きつけた最大の欺瞞である。

おそらくわれわれの仲間のカトリック者たち、諸々のファチマ使徒職、そして高い地位に就いている教会人たちでさえの盲目は、人間は神が要求なさったものとは異なった解決を間違いなしに提案し、実行することができると考える人々の思い上がりと尊大さに対する一つの罰としてやって来る。聖母の特別の要求を無視する人々は実際に「神の思し召しにもかかわらず」世界平和のために働き、同じ結果を得ると期待することに終わる。彼らの「解決」はそのような一つの偽りに基づいているから、罰として神が偽り、恐ろしい結果を持つ偽りに基づいている回心の幻想を許されるかもしれないということは考えられない。

教皇がマリアの汚れなき御心にロシアを奉献なさるように祈り、教皇に嘆願することは今まで以上にもっと緊急のことである。1917年は今から79年前であった。今までにわれわれは聖母の意志以外の何ものも世界平和を、そして世界の上に神の恵みのなだれをもたらさないということを学ばなかったのか? ファチマは希望と慈悲のメッセージである。しかし同時にそれはわれわれが神のために受け入れなければならない妥協を許さないあれかこれか[の選択]である。いかなる人間も[神の御計画と異なる]もう一つの計画を提案したり、あるいは信じたりする権利を持っていない。そしてゴリツィンが指摘しているように、ペレストロイカの嘘を信じることの結果は、まさにファチマの聖母が予言なさったように、モスクワによる世界の奴隷化を保証するだけであろう。

2004/03/10 三上 茂 試訳
(原文には語句に活字の脱落・ミスプリが数カ所あり、適当に類推して訳したので、思い違いあるやも知れません。)

作成日:2004/03/10

最終更新日:2004/03/10

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