GRAMMATICA LATINA
サン・スルピス会諸師著
サン・スルピス大神学校訳
発行所 光明社
[三上記:これは昭和26年(1951年)4月3日福岡のサン・スルピス大神学校から出された初学者のためのラテン語文法書です。私は院生の時にしばらくこの大神学校の図書館で図書の整理のアルバイトをしていたことがあり、この書物の代表者のツルデル神父様にもお会いしたことがあって、その時のことを懐かしく思い出します。以下に少しずつ、その内容を紹介していきたいと思いますが、適宜、省略・加筆した箇所があります。]
第一部 基礎論
p.1
基本概念
1.品詞--ラテン語には8種の品詞がある。その中4種は変化語で即ち、名詞、形容詞、代名詞、動詞;他の4種は不変化語で即ち副詞、前置詞、接続詞、間投詞である。
2.性、数--ラテン語には3種の性がある、即ち男性、女性、中性で①、数には単数、複数の2種がある。
3.語根、語尾--言葉の語根とは不変化の部分であり、語尾とは格と数とに従って変化する部分である。例えばrosarum, rosisにおいて語根はrosで、語尾はarum, isである。実際上では語根は単数、属格の語尾を切り離した時に残るものである。
4.格および格の用法--格は語尾によって区別され、語と語との関係を示す、ラテン語には”6つ”の格がある②。
主格:これは主語あるいは属辞、形容詞、同格名詞のように主語に関係する語の格である。
例:"Rosa " est "pulchra". バラは美しい。
呼格:これは呼びかけの時に使われる。
例:"Rosa", es pulchra. ”おー、バラよ”汝は美しい。
属格:限定補語の格である。
例:Odor "rosae". バラの香り。
与格:これは間接補語の格である。(...に、...のために)。
例:"Rosae" aquam do. 私はバラに水を与える。
対格:これは直接補語、あるいは属辞、形容詞、同格名詞のように直接補語に関係する言葉の格である。
例:Habeo "pulchram rosam". 私は美しいバラを持っている。
奪格:これは状況補語の格である(より、によって、と共に)。
例:Ornare statuam "rosa". バラをもって像を飾ること。
5.変化--5つの変化がある、それは単数、属格の語尾によって区別される。
|
第一変化 |
第二変化 |
第三変化 |
第四変化 |
第五変化 |
---|---|---|---|---|---|
単数属格の語尾 |
AE |
I |
IS |
US |
EI |
注
①ラテン語では、名詞の性は慣習または辞典によって知る。
②第7格とも言うべき地格がある、それは居る場所あるいは行為がなされる場所を示す。しかし、これはいくらかの普通名詞または第一変化と第二変化との町の単数名詞にしかない。
第一章 名詞
第一変化
6.この変化のすべての名詞は、単数、主格において-aで終わり、大部分は女性であるが、いくらかのものは男性である。
単 数 |
複 数 |
---|---|
主格 Ros a バラ が 呼格 (O)① Ros a バラ よ! 属格 Ros ae バラ の 与格 Ros ae バラ に、のために 対格 Ros am バラ を 奪格 Ros a バラ より、によって |
主格 Ros ae バラ が 呼格 Ros ae バラ よ 属格 Ros arum バラ の 与格 Ros is バラ に、のために 対格 Ros as バラ を 奪格 Ros is バラ より、によって |
7.第一変化についての備考
I. 与格と奪格とは-abusで終わる名詞--Dea 女神とfilia 娘とはしばしば複数においてdeabus, filiabusとなる、教会ラテン語においては、またanima 魂はanimabusの与格あるいは奪格の形をとる。
II. 数--a)いくらかの名詞は複数においてしか用いられない。
divitiae, arum 富裕;nuptiae, arum 結婚式;epulae, arum 祝宴;Athenae, arum アテネ等。
copia, ae 豊富;copiae, arum 軍隊;fortuna, ae 運命;fortunae, arum 財産; littera, ae 文字; litterae, arum 手紙;vigilia, ae 不眠;vigiliae, arum 歩哨等。
III. ギリシア語より転化した名詞--3種が第一変化に関係する。
1.女性で-eに終わり |
2.男性で-esに終わり |
3.男性で-asに終わり |
---|---|---|
主格 Music e 音楽 呼格 Music e 属格 Music es 与格 Music e または ae 対格 Music en 奪格 Music e |
Comet es 彗星 Comet e Comet ae Comet ae Comet en Comet e |
AEne as エネアス AEne a AEne ae AEne ae AEne am(an) AEne a |
複数がある時はrosaのごとく変化する。
注① 呼格の前に何らかの感情を表すためにOがおかれる。
O fortunate adolescens! オー!幸運なる青年よ。
注② 第一変化の地格はaeで終わる。 Romae ローマにおいて。
p. 3
第二変化
8.第二変化は-usに終わる名詞(男性あるいは女性)-erに終わる名詞(すべて男性)と、-umに終わる名詞(すべて中性)とを含む。
Dominus, m 主人(男) |
Puer②, m 子ども(男) |
Liber, m 本(男) |
Templum, n 神殿(中) |
---|---|---|---|
主格 Domin us 呼格 Domin e 属格 Domin i 与格 Domin o 対格 Domin um 奪格①Domin o 主格 Domin i 呼格 Domin i 属格 Domin orum 与格 Domin is 対格 Domin os 奪格 Domin is |
Puer③ Puer Puer i Puer o Puer um Puer o④ Puer i Puer i Puer orum Puer is Puer os Puer is |
Liber Liber Libr i Libr o Libr um Libr o Libr i Libr i Libr orum Libr is Libr os Libr is |
Templ um Templ um Templ i Templ o Templ um Templ o Templ a Templ a Templ orum Templ is Templ a Templ is |
9. 第二変化についての備考
I. 呼格--a)Agnus(男)羊;Chorus(男)合唱隊;Deus(男)神の単数呼格は主格と同じである。
b)Filius(男)息子;genius(男)天才の単数は-iに終わる:fili!同様に-iusに終わるローマ人の固有名詞も単数呼格において-iに終わる:o Vergili! o Antoni!しかし他国人の固有名詞は規則通りに-ieに終わる:o Darie!
II. 中性名詞--a) (すべての変化において)中性名詞は主格、呼格、体格において同形である。複数においてはこの三つの格は-aに終わる。
b) -usに終わる第二変化には三つの中性名詞がある、すなわちpelagus(詩的語)海;vulgus 群衆;virus, (主格と対格のみ)毒、しかしこれらには複数はない。
III. 数--a)いくつかの名詞は単数を持たない:liberi(男)子どもたち。
b)あるものはまた、単数と複数とにおいて意味が異なる。
単数 auxilium, lii,(中)助け、複数 auxilia, liorum(中)援軍。
IV. Deusの複数--この言葉は複数において次のごとく変化する。
主格と呼格 Dei Dii Di
属格 Deorum Deum
与格 Deos
与格と奪格 Deis Diis Dis
V. ギリシア語より転化した名詞--主格において-eusに終わる名詞のみが特別の形を持つ、すなわち、呼格は-euになる、他のすべてのものは第二変化の規則的な変化に従う。
[注]
①第二変化の地格は-iに終わる:Lugduni リオンにおいて。
②Vir, viri(男)人とその合成語はpuerのごとく変化する。
③Puer と他のいくくかの名詞とは語根のr の前のe をそのまま保つ。
④Vesper, vesperi(男)夕方は奪格においてvespere となる(vesperiは副詞である)。
p. 4
第三変化
10.第三変化は単数、主格において一定の語尾をもたず、三つの性の名詞を含む。この変化の名詞は同数音節語か、異数音節語である。a)同数音節語(Noms parisyllabiques)とは単数、属格と主格とにおいて音節数の同じいものである(a-vis 鳥の属格はa-vis.)b)異数音節語(Noms imparisyllabiques)とは単数、属格よりも主格において音節数の少ないものである(homo, 人間の属格はho-mi-nis).
-usに終わる名詞(男性あるいは女性)-erに終わる名詞(すべて男性)と、-umに終わる名詞(すべて中性)とを含む。
男性あるいは女性 homo(男) 人間 |
中性 |
||||
---|---|---|---|---|---|
主格 単数 Homo
対格 Homin em |
複数 Homin es
Homin es |
単数 Caput Capit e |
複数 Capit a Capit ibus |
11. 異数音節名詞の変化についての備考
I. 複数属格の-iumになるもの--a)二つの子音によって終わる語根を有する名詞。
例: urbs, rubis(女)町はurbiumになる。しかし、parentes 両親、gigas 巨人はparentum, gigantumとなる。
b)次の音節の名詞。
Dos, dotis(女)持参金、dotium, Mas, maris(男) 男子、[雄] marium
Glis, gliris(男)山鼠、glirium, Nix, nivis(女)雪、nivium.
Lis, litis(女)訴訟、litium. Trabs, trabis(女)梁、trabium.
II. 数--a)ある名詞は単数を持たぬ;fauces, faucium(女)咽喉。
b)他のあるものは単数と複数とにおいて意味が異なる。単数pars, partis(女)部分;複数 partes, partium(女)当事者、役目。
III. -orに終わる名詞の性--次のものを除いて男性である。
三つの女性:arbor, 木; soror, 姉妹; uxor, 配偶者。
四つの中性:marmor, 大理石; ador, 麦; aequor, 平野; cor, 心。
IV. Bos, bovis, 牡牛の複数--主格:Boves,属格:boum,与格:bubus(bobus),対格:boves,奪格:bubus(bobus).
V. ギリシア語より転化した名詞--第三変化の規則通りに変化する。しかし複数において規則通りの形の外に属格-orum, 与格-is,奪格-isの形もある。
注① 第三変化の地格はruri(田舎において)しか使われない。
II 同数音節名詞(複数属格が-iumとなる)
12. 同数音節名詞の中にはavis, 鳥のごとく変化する男性名詞、女性名詞、およびmare, 海のごとく変化する中性名詞とがある。
avis, 鳥(女) |
mare, 海(中) |
||
---|---|---|---|
主格 単数 Av is
対格 Av em |
複数 Av es
Av es |
単数 Mar e Mar i |
複数 Mar ia Mar ibus |
注意---al, -alis,また-ar, -aris(昔は主格の形は-ale, areであった)に終わる中性名詞はmareのごとく変化する。それゆえにこれらの名詞の単数、奪格は-iであり、複数、主格、呼格、対格は-iaである。
例: animal, 動物; exemplar, 見本。
13. 同数音節名詞についての備考。
I. 複数、属格において -umに終わるもの。
Pater, tris, (男)父、patrum. Frater, fratris, (男)、fratrum.
Mater, tris, (女)、matrum. Senex, senis,(男)老人、senum.
Vates, is, (男)占者、Vatum. Juvenis, is,(男)青年、juventum.
Canis, is,(男)(女)犬、canum. Strues, is,(女)塚、struum.
II. 対格の -imとなるもの。a)-asis, esis, isisに終わる名詞(すべて女性)basis, is, 土台、basim; poesis, is, 詩、poesim.
b)Febris, is, 熱、febrim. Puppis, is, 艫(とも)、puppim.
Sitis, is, 渇、sitim. Securis, is, 斧、turrim.
Tussis, is, 咳、tussim. Turris, is, 塔、turrim.
c)普通-isに終わり、また属格も-isに終わる地理的名詞とArar, Araris, ソーヌ河;Liger, Ligeris, ロアール河。 例:Tiberis, チベル河。
III. 奪格の-iとなるもの。a)一般には対格が-im①となるもの。
b)この変化に属する月の名前は対格が-emであっても、奪格が-iとなる。
IV. 数--a)あるものは複数を持たぬ:vestis, is(女)着物 等。
b)あるものは単数を持たぬ:altaria, ium(中)、祭壇、moenia, ium(中)、城砦。
c)あるものは単数と複数とにおいて意味が異なる。
単数:AEdis, is(女)神殿。 複数:AEdes, aedium,(女)家。
単数:Vis(属格なし)(女)暴力。 複数:Vires, virium(女)力。
ギリシア語より転化した名詞--すべて第三変化の規則通りに変化する。しかし単数、対格において-emの代わりに-a,複数、対格において-esの代わりに-esがおかれることもある。
注
① Ignis(男)火は対格において、-em,奪格において-eとなる。しかし次の表現句においては-iに終わる形が用いられる。"Igni" eremare, 灰に戻る;ferro et "igni" vestare, 劫掠する(剣と火とをもって劫掠する); aqua et "igni" interdicere alicui, ある人を流刑に処す(彼に水と火とを禁ずる)。
p.6
第四変化
14.第四変化にはManus(女)手のごとく変化する男性と、若干の女性名詞とCornu 角のごとく変化する中性名詞とがある。
男、女性 |
中性 |
Domusの変化 |
---|---|---|
主格 Man us 呼格 Man us 属格 Man us 与格 Man ui(u) 対格 Man um 奪格 Man u 主格 Man us 呼格 Man us 属格 Man uum 与格 Man ibus 対格 Man us 奪格 Man ibus |
Corn u Corn u Corn us Corn ui(u) Corn u Corn u Corn ua Corn ua Corn uum Corn ibus Corn ua Corn ibus |
Dom us Dom us Dom us(i)① Dom ui(o) Dom um Dom o Dom us Dom us Dom um(orum) Dom ibus Dom os(us) Dom ibus |
15. 第四変化についての備考
I. 複数、与格、奪格が-ubusとなるもの。
a)artus,(男、複)肢体; partus,(男)出産; tribus,(女)族。
b)-cusに終わる二音節の語:acus, (女)針 ”acubus”。
II. 不規則名詞--Domus, 家(上記参照)は第二変化と第四変化とを含む。Jesus イエズスは主格Jesus,対格 Jesum,他の格においてJesuとなる。
第五変化
16.第五変化のすべての名詞は、主格において-esに終わる。そしてdies, 日のごとく変化する。
dies 日 |
---|
主格 Di es 呼格 Di es 属格 Di ei 与格 Di ei 対格 Di em 奪格 Di e 主格 Di es 呼格 Di es 属格 Di erum 与格 Di ebus 対格 Di es 奪格 Di ebus |
17. 第五変化についての備考
I. 数--ただDiesとRes, 事のみが、単複両数、すべての格をもっている。他の第五変化の名詞は単数において規則通りであるが、複数においては-esに終わる格だけしか使われない。
II. 性--第五変化の名詞はmeridies, 正午(複数なし)とDiesを除いて、すべて女性である。しかしDiesも日付、定まった日という意味では普通女性として使われる。
五変化の補足
18. 合成名詞--a)もし主格にある二つの語の合成名詞であれば、二つとも変化する。jusjurandum, (中)誓い、jurisjurandi.
b)主格と他の格にある語の合成名詞であれば、主格にある名詞のみが変化する。aquaductus, us,(男)水路、対格 aquaductum.
19. 不規則名詞--ある名詞は単数と複数とでは性あるいは意味または変化が異なる。
p.7
第二章 形容詞
20. 形容詞は変化し、また三つの性を有する。変化に従って二つに分類される。
第一類は第一、第二変化の名詞のごとく変化する。すなわち、男性においては-usあるいは-er、女性においては-a、中性では-umに終わる。
第二類は第三変化の名詞のごとく変化する。
Bonus, 善い | Niger, 黒い | ||||
---|---|---|---|---|---|
.......男性 主格 Bon i |
女性 Bon a Bon aeBon ae Bon arum Bon is Bon as Bon is |
中性 Bon um Bon a Bon orum Bon is |
男性 Nigr um Nigr i Nigr orum Nigr is Nigr os Nigr is |
女性 Nigr ae Nigr arum |
中性 Nigr o Nigr a Nigr orum Nigr is Nigr a Nigr is |
21. 形容詞の一致--形容詞は関係ある語と同性、同数、同格に置かれる。
例:"Boni" pueri amant "suos" magistros.
良い子どもたちは自分らの先生を愛する。
22. 形容詞の位置--I. 一般に修飾形容詞は修飾される語の前に置く。特に形容詞を明らかにする必要があればそうである。
例:"Barbari" populi vastaverunt "bonos" agros.
野蛮な人民は肥沃な畑を荒らした。
しかし単音節の名詞を修飾する形容詞はその名詞の後ろに置かれる。
例:Vir "bonus"正直な人間。
II. 量の形容詞①と指示形容詞とはむしろ単音節の名詞の時でも名詞の前に置かれる。
例:"Aliqua" perturbatio,ある混乱。 Maximus "ille" vir, かの偉人。
注意--Illeはもし形容詞があれば常に名詞と形容詞との間に置かれる。
注① Magnus, 大きな;nullus, 何らの...ない;omnis,すべての;duo, 二つ、等。
p. 8
形容詞の第二類
23. 第二類の形容詞は同数音節か異数音節であり、第三変化の名詞のごとく変化する。
I--同数音節形容詞
24. 同数音節形容詞には二つの群がある。
1. 第一群は単数、主格において、二つの語尾を有する。一つは男、女性の-is(avisに従って変化する)で、他は中性の-e(mareに従う)である。
2. 第二群は単数、主格において、三つの語尾を有する。すなわち一つは男性の-erで、他は女性の-is、今一つは中性の-eである。
Fortis, 大胆な
第一群すなわち二つの語尾を有するもの |
Acer, 鋭い 第二群すなわち三つの語尾を有するもの |
||||
---|---|---|---|---|---|
対格 属格 与格 対格 奪格 |
男、女性 Fort is Fort ium Fort ibus Fort es Fort ibus |
中性 Fort ium |
男性 Acr em Acr ium Acr ibus Acr es Acr ibus |
女性 Acr is Acr ium Acr ibus Acr es Acr ibus |
中性 Acr ium |
25. 第二群の同数音節形容詞についての備考。
I. 次の二つの形容詞は複数属格において-umとなる。
celer, 早いとvolucer, 翼のあるはcelerum, volucrumとなる。
II. この群の形容詞の中、celer, 早いただ一つはすべての格においてrの前にeを保つ:celer, celeris, celere.
III. この群の多くの形容詞は男性、単数、主格において、二つの形、すなわち-erか-isを有する:"Silvestris" collis, 森のある丘。
注
① 男性、単数、主格および呼格のみが-erの語尾を有し、他のすべての格はfortisの規則通りの語尾を取る。
② 注意、同数音節形容詞のすべての単数、与格とは-iである。
p.9
II--異数音節形容詞
26. 異数音節形容詞は単数、主格において一つの語尾しか有しない。すなわち三つの性に共通である。
Vetus, 古い 語根が一つの子音(c ではない)で終わるもの 複数、属格の-umとなるもの |
Prudens, 思慮ある 語根が二つの子音またはcで終わるもの 複数、属格の-iumとなるもの |
||||
---|---|---|---|---|---|
属格 |
男、女性 Veter em Veter um Veter ibus Veter es Veter ibus |
中性 Vetus Veter um Veter ibus Veter a Veter ibus |
男、女性 Prudent ium |
中性 Prudens Prudent ium Prudent ibus Prudent ia Prudent ibus |
27. 異数音節形容詞についての備考
I. 異数音節形容詞は複数、属格においては-um(n. 10 参照)となり、vetusに従って変化するはずであるが、しかし少数の形容詞しかそのように変化せず、またvetusのごとく変化する形容詞の中でも、中性、複数はわずかのものにしか用いられない。
II. 単数奪格が-iとなるもの--Vetusに従って変化するいくつかの形容詞は単数奪格において-iとなる。
Inops, inopis, 乏しい;Memor, memoris, 記憶する;
Anceps, ancipitis, 不定な; Immemor, immemoris, 忘れ易い。
III. 複数属格が-iumとなるもの--語根が二つの子音あるいは一つの-cによって終わる形容詞はprudensに従って変化する。それゆえ複数属格は-iumで終わり、中性複数の主格、呼格、対格は-iaで終わる。
例えばfelix, felicis, 幸いなはfelicium, felicia②となる。
注
① a)人の名詞に関係する時、奪格は-eとなる:a viro "sapiente"賢人によって、また事物の名詞に関係する時、奪格は-iとなる:"sapienti" consilio, 賢明な計画のうちに。
b)-nsに終わる分詞は、もし動詞としてとられた時には奪格は-eとなる:Fugit, urbe "ardente". 町が火の中にあった時に彼は逃亡した。
しかし、形容詞としてとられた時には、注意①a)に与えられた規則に従う。
② しかしながら、supplex, supplicis, 懇願するとredux, reducis, 帰る者の属格は-umとなる。
p.10
28. 階級--質の形容詞と副詞とには、三つの階級がある。
1. 原 級 |
2. 比較級 |
3. 最上級 |
---|---|---|
単に何かの品質があることを |
これは他のものに比し上級、下級 例: 彼はより勇敢である。 |
これは非常に(あるいは一番)高い程度に |
29. 比較の程度による構成
劣 等 |
同 等 |
優 等② |
---|---|---|
minusと形容詞または副詞の原形により |
副詞tam, 同じ程度(あるいはnon minus)と原形によって表わされる。 |
語根に男、女性のためには-iorを加え、中性 例:doctior,より学者な。 |
① 副詞比較級は不変化である。形容詞比較級はdoctiorに従って変化する。
② 一般に比較と言われる。
30. 範例--比較級は次のごとく変化する。
単数 | 複数 | ||||
---|---|---|---|---|---|
男性 Doct ior |
女性 Doct ior① Doct ior |
中性 Doct ius① Doct ius Doct ior is |
男性 Doct ior es Doct ior es Doct ior um Doct ior ibus |
女性 Doct ior es① Doct ior es Doct ior um Doct ior ibus Doct ior es Doct ior ibus |
中性 Doct ior a① Doct ior a Doct ior um Doct ior ibus Doct ior a Doct ior ibus |
① 女性は男性のごとく変化し、また中性においては主格、呼格のみが男性のそれらの格と相違する。
31. 最上級の規則的な構成
形容詞の最上級① |
副詞の最上級 |
---|---|
語根に-issimus, a, um(bonus, a, um |
語根に-issime②(不変化)を加えて作る。 Sanctissime, 非常に聖に。 |
① 賞賛あるいは非難を意味する形容詞は(原級にあっても)、ラテン語においてはしばしば最上級におかれる:例:Duo "fortissimi" viri. 二人の勇敢な兵士。
② 劣等最上級は副詞minime, 非常に少なく、一番少なく、を原級の前に置いて表わされる;minime doctus,非常に学問のない;minime docte,非常に学問のないもののように。
p.11
32. 不規則な構成
A)不規則な比較級と最上級とを持つもの
1. -dicus, -ficus, -volusに終わるもの |
2. 次の形容詞 |
---|---|
これらの形容詞は、比較級では-entiorと . |
Bonus, 良い、melior, optimus. |
① 中性、複数、主格=plura: 複数、属格:plurimum.
B)不規則な最上級を持つもの
1. -erに終わる形容詞 |
2. -ilisに終わる七つの形容詞 |
---|---|
この形容詞の最上級は単数、男性、主格に 非常に健康的な空気。 |
Facilis, 易しい、facillimus. Dissimilis, 異なる、dissimillimus. |
① 三つの語尾を有する形容詞には、-erで終わる形よりも-isで終わる形の方が多いものがある。これらの形容詞の最上級は-errimusとなる。例外としてvetus, 古いの最上級はveterrimusであるが、その代わりにvetustissimus(vetustusより)が用いられる。
② 他の-ilisで終わる形容詞においては、最上級は規則的に作られる:utilis, 有益な、utilissimus.しかし比較級はすべての形容詞にとって規則通りである。
C)比較級も最上級も持たぬもの
1. -eus, -ius, -uus①で終わる形容詞 |
2. 分 詞................................ |
---|
優等比較級の観念を表わすために原級の前にmagis, より、更に、を置く:"magis pius" より敬虔な。
最上級の観念を表わすために原級の前にmaxime, valde, admodum, 非常に、大層を置く:"
"maxime pius", 最も敬虔な。
① しかしこれらの中でも多くのものは、一般規則に従う。(特に-quusで終わるもの):antiquus, 古い、antiquior, antiquissimus.
D)種々の不規則--
1. 比較級を持たぬもの |
2. 最上級を持たぬもの |
---|---|
Falsus, 謬りの、falsissimus |
Adolescens, 成長しつつある、adolescentior. |
p.12
33. 比較級の補語の規則--
I. 比較級が”ただ一つの言葉”によって作られる場合--その補語(すなわち、比較の属部)は次のごとく表わされる。
1. quamなしに奪格 動詞が主部と属部に共通であ |
2. quam と同格 動詞が両部に共通であれば (この構成法は主部の格い かんに関せず可能である。) Romulus fuit gratior multitudini "quam Senatui". ロムルスは元老院よりも人 民に愛せられていた。 |
3. quam と共に主格と esse. 動詞がもし両部に共通でなければ: Utor equo meliore "quam tuus est". 私は汝のものよりもよい馬を使って いる。 Neminem vidi callidiorem "quam |
---|---|---|
① 主部が対格にあるから次のようにも言い得る。しかし余り良くはない:neminem vidi callidiorem "Phormione". |
II. "二つの語"によって作られる比較級--比較級が二つの言葉(minusあるいはmagis+原級)によって作られる場合、属部ではquamと共に主格とesseとが用いられる。ただし、esseは一般に省かれる。
例:Paulus est magis strenuus "quam tu"(es).
パウロはあなたよりも活動的である。
Hominem cognosco magis strenuum "quam Paulus"(est).
私はパウロよりも活動的な人を知っている。
Praemium dedi puero magis strenuo "quam vos"(estis).
私は汝らよりも活動的な子どもに褒美を与えた。
34. 最上級の補語の規則--もし最上級の補語が
複数であれば 次のように置かれる。 1)属格:Altissima① "arborum". 木々の中最も高いもの。 2)e(あるいは ex)と共に奪格: 3)inter と共に対格: |
複数であれば 常に属格におく。しかして最上級はその補語 とではなく、省かれている語と一致する。 Ditissimus "urbis" |
|
---|---|---|
① 一見すれば解るように最上級はその性を補語と一致する。--しかし |
p.13
比較級と最上級とについての注意事項
35. ラテン語の比較級の特殊の意味--ラテン語の比較級は(特に補語を持たぬ時)かなり、余りを意味することがある。
例:"Loquacior" est.彼はかなり多弁である。
36. 二つの形容詞の比較--二つの形容詞あるいは副詞を比較する時は、常に quam を用い、属部の形容詞は二つの方法によって表わされる。すなわち、
1. 比較の主部が比較級であれば、属部も比較によって表わされる。
例:Miserunt ducem audaciorem "quam peritiorem".
彼らは巧妙なよりも勇敢な将軍を送った。
37. 数形容詞を伴う amplius, plus, minus(quam と共にあるいはそれなしに)は、補語の格に影響がない。
例:Emi "plus centum jugera".私は百ユゼル以上買った。
38. 比較の属部がラテン語において関係代名詞であるならば、常に奪格におく。
例:Mihi reddidistis patriam, "qua" nihil est jucundius.
汝らは私に世において最愛のものたる祖国を戻した(すなわちそれよりも親愛なるものは何もない)。
39. 比較が二つのもの、あるいはものの二つの"グループ"との間になされる時は比較級で表わされる(フランス語では最上級を用いる)。
例:"Validior" manuum(あるいはmanus), 両手の中より強い方(La plus forte des deux mains.)
Major" natu.兄(二人の間において)、"Minor" natu.弟。
40. 次の表現の後に使われる奪格(与格にあらず)に注意しなければならぬ。
Anterior, に先; Posterior, の後;
Inferior, の下; Potior, より好ましい;
Prior,の前; Superior, の上の、等。
例:Paulus est superior "fratre".パウロは彼の兄弟よりも上である。
41. 常に奪格が使われるいくつかの表現法がある。
Major opinione, 思ったより大きな;
Major spe, 期待したより大きな;
Major solito, 常より大きな;
Plus aequo, justo, 適度以上に、等。
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数形容詞
42. 三種類がある。すなわち基本数詞、順序数詞、個別数詞である。基本数詞は単に数を示し、順序数詞は順、列、号を示す。
数 1 I 2 II 3 III 4 IV 5 V 6 VI 7 VII 8 VIII 17 XVII 70 LXX 600 DC |
基本数詞 Unus, a, um(n. 44) Duo, duae, duo Tres, tres, tria Quatuor または quattuor Quinque Sex Septem Octo Septemdecim Septuaginta Sexcenti, ae, a |
順序数詞(bonusのごとく変化する) Primus② Secundus② Tertius Quartus Quintus Sextus Septimus Octavus Nonus Duodevicesimus Octogesimus Septingentesimus |
---|
① -centi, -genti, で終わる基本数詞は(singuliを除いて個別数詞も同様)男、中性、複数、属格は-orum よりも -um で終わる。
② 二つのことだけについて話す場合は第一番目は prior となり、第二番目は posterior あるいは aliter となる(primus, secundus の代わりに)。
③ 100000はCの上部に横棒が入って、100と区別されます。
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43. 個別数詞は人あるいは物がいかに組分けされ、配分されたかを示す。数形容詞より出て来た副詞の表は次のごとくである。
数 1 I 10 X 19 XIX 90 XC 800 DCCC |
個別数詞(Bonus のごとく変化する) Singuli, ae, a① Bini Undeni Viceni Centeni Nongeni |
数詞的副詞 Semel Bis Ter Duodecies Vicies semel, Semel et vicies Centies semel Millies |
---|
① 単数を持たない名詞と共には基本数詞の代わりに個別数詞を用いる:"bina" castra, 二つの陣営--しかしその時 singuli を uni に、terni を trini に変える。
② 100000はCの上部に横棒が入って、100と区別されます。
p.16
数形容詞についての注意
44. 基本数詞の変化--1)基本数詞はquatuorよりcentumまで不変化である。2)百の倍数はboni, ae, a のごとく変化する。3)最初の三つは次のごとく変化する。
|
男 |
女 |
中 |
男 |
女 |
中 |
男、女 |
中 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
主格 |
Unus |
Una Unam |
Unum |
Duo① Duorum |
Duae Duabus |
Duo |
Tres Tribus |
Tria |
① Ambo, ae, o 二つとも、はduo のように変化する。
45. 基本数詞の表現法--
8 あるいは 9 で終わる数詞 一般に減法によって言い表わされる。故に28 はduodetriginta(すなわち 30から2を引く)になる . |
21から100の間に含まれる数 一番小さい数はetなしに後に置かれるか、あるいはetと共に初めに 置かれる。23=viginti tres あるいはtres et viginti① |
100以上の数詞 一番大きな数が一番小さな数の前に置かれる。すなわち223はducenti viginti tres である。 . |
---|---|---|
① Unus を複数名詞の直前においてはならない。故に21人の兵士はunus et viginti milites あるいはmilites viginti unus となる。 |
46. Milleとmilia--
一千の場合はmille これは不変化形容詞である。 例:Grex "mille" ovum. 千匹の羊の群。 . |
二千以上の場合は milia これは中性名詞で、数えられるものは属格に置かれる。 (maria のごとく変化する)すなわち Duo milia "ovium".二千匹の羊。 町で一番の金持。 |
|
---|---|---|
① 不定的の大多数(千万のごとき)を表わすためには sexcenti, ae, a あるいは permulti, ae, a を用いる。"sexcenta" pericula. 危険千万。 |
47. 順序および個別形容詞--
順序的形容詞 番号づけをするために用いられる。 すなわち順序、日付、時、等を示す。 例:Hora "sexta" est. 6時である。 |
個別的形容詞 割り当てを示す。 例:Hostes "singuli" venerunt. 敵は一人づつ来た。 Acceperunt "binos" denarios. 彼らは二デナリオづつ受けた。 |
---|
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第三章 代名詞
48. ラテン語には人称代名詞と形容代名詞とがある。後者には指示(n.51)、所有(n.57)、関係(n.60)、疑問(n.66)、不定(n.70)の五つがある。
第一人称 | 第二人称② | ||||
---|---|---|---|---|---|
奪格 |
単数 |
複数 Nos |
単数 Tibi |
複数 Vobis |
① -iに終わる形は属格を要求する語の補語として使われる:Miserere "nostri". われらを憐れみ給え。-umに終わる形は部分的意味を示すために使われる:Unus "nostrum". われわれの中の一人。
② ラテン語には第三人称の人称代名詞はない。それらを訳すためには指示代名詞が使われる(n.51)。
49. 人称代名詞についての注意
I. ラテン語の人称代名詞では丁寧さを顧慮しなくて「お前呼び」をし、第一人称は冒頭に置かれる。すなわち、"Ego" et "tu" et ille amamus. あなたも、彼も、私も愛する。
II. "主語"として使われた人称代名詞--a)一般に主語として使われた人称代名詞を省く。
例:Amo.私は愛する。
b)しかし次の三つの場合には表わす。
1. 二つの行為が相対する場合。
例:"Ego" fleo, "tu" vero rides.私は泣き、汝は笑う。
2. 一つの動詞が多くの主語を持っている場合。
例:Ego et tu et ille amamus.あなたも、彼も、私も愛する。
3. もし主語を表わさねば曖昧となるような場合。
例:Pater tuus amabat sororem, obiit "illa".
あなたの父は姉妹を愛していたが、彼女は死んだ。
50. 再帰代名詞--再帰代名詞は第三人称のものであり、自分自身に対する自己の行為が自分自身になされる場合に使われる。
属格 Sui, 自身の、彼(ら)の、
与格 Sibi, 自身に、彼(ら)に、
対格 Se, 自身を、彼(ら)を、
Se, 自身によって、彼(ら)によって、
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II. 指示形容代名詞
51. IS, 彼、あの、かの、
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
与格 |
男 Eo |
女 |
中 Id |
男 Eis(iis) |
女 Eis(iis) |
中 |
51の2. ISの意味と用法
1. 形容詞として用いられた場合は、isは指示の意味を持つ。しかし物が遠いか、近いかは示さない:Is homo. かの人間。
2. 代名詞として用いられた場合は、a)補語として人称代名詞となる:"Eos" amavi. 私は彼らを愛した。"Eis" dedi. 私は彼らに与えた。
b)関係代名詞の先行詞として用いられる:"eorum" quos...ところのもの。
注意:しかし先行詞が関係代名詞と同格であれば、一般に省略される:(id)quod vidi. 私が見たところのものを。
52. HIC 彼、後者、この、後者の
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
与格 |
男 Hoc |
女 |
中 Hoc |
男 His(iis) |
女 His(iis) |
中 |
52の2. HICの意味と用法
a) Hicは手近の物を示す:"Haec domus. この家。
b) それゆえ、hicは第一人称すなわち話す人に属するものを示すこともある。例えば "haec" domusは私の家(私が持っている、あるいは住んでいる家)を意味することもある。
c)Hic...illeの表現法は、後者...前者を意味する。
53. ILLE. あれ、前者、あの、前者の
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
対格 |
男 |
女 |
中 Illius |
男 Illos |
女 |
中 |
53の2. Illeの意味と用法
a)Illeは遠い物を示す:"Illa" domus. あの家(遠くにある家)。
b)それゆえilleは第三人称すなわち話題となる人に属するものを示すこともある。例えば"ille" liberは"彼の"本の意味もある。
c)Hic...illeの表現法については52の2, c)参照。
d)Illeはまた、驚嘆の意味を表わしたり、"かの名高い"、"かの有名な"等を意味することもある。Cecero, orator "ille". かの有名な演説家チチェロ。
54. ISTE.彼、あれ、この、あの
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
属格 |
男 Istum |
女 |
中 |
男 Istorum |
女 Istas |
中 |
54の2. Isteの意味と用法
a)Isteはしばしば第二人称に関係がある。"Ista" domus.は"汝"の家(汝に属する家、汝の住む家)を示すこともある。
b)また、しばしば軽蔑の意味を表わすことがある。その場合の"このあわれな"、"馬鹿な"、"野郎"等の意味を持つ:"Iste" miles. この卑怯な兵士。
55. IPSE.自身
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
男 Ipse |
女 Ipsi |
中 Ipso |
男 |
女 Ipsae |
中 Ipsis |
55の2. Ipseの意味と用法
Ipseは三つの人称の代名詞または名詞を修飾し"自身"の意味を表わす:"Ipse" feci. 私"自身"なした;Rex "ipse" fecit. 王"自身"がなした。
Ipseは再帰代名詞ではない。ゆえにsui, sibi, se の代わりに用いてはならない。
56. IDEM.同じ
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
奪格 |
男 |
女 Eadem |
中 Eidem |
男 Eisdem(iisdem) |
女 |
中 Eadem |
56の2. Idem の意味と用法
Idem は同一性を示す。それゆえ idem rexは"同じ王"を示し、他の王ではない。(Ipse rex は王自身を意味し、他の人物ではない)。
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III. 所有形容代名詞
57. ラテン語においては各々の人称に対して一つの所有を示す御がある。この各々の語は形容詞あるいは代名詞として用いられる。
第一人称 第二人称 第三人称 |
Meus, a, um, Noster, tra, trum, |
私の(形容詞) 私のもの (代名詞) 彼の (同 上) 彼のもの (同 上) |
---|
Meus, tuus, suusはbonus, a, um のごとく変化する。しかしmeusの単数、男性、呼格はmiである。例:"Mi" fili! わが子よ!
Noster とvesterはniger, nigra, nigrumのごとく変化する。
第三人称の所有形容代名詞の大略の規則
58. 第三人称に帰する所有を示すために所有者が主語であるか否かによって二通りの表現がある。
1. 所有者が主語である時--もし所有者と所有物とが同一命題中にあれば所有形容詞はsuus(所有されるものと一致する)となる。
例:Pater amat "suos" liberos.父はその子を愛している。
2. 所有者が主語でない時--所有形容詞はeius, eorum, earum となる(所有者の聖、数に従って)。
例:At "eorum" vita odit.しかし彼は彼らの欠点を嫌っている。
ここは所有者すなわち子どもは同一命題の主語ではない。
例:"Eius" indoles est optima."彼の"性質は非常に良い。
所有者はこの命題の主語ではない。
注意: 所有形容詞はもし所有者が明白であれば、表わさなくてもよい。
例:Patrem diligo.私は"私の"父を愛する。
59. 第三人称代名詞はもし同一命題の主語と同一のものを示すならば、sui, sibi, se をもって表わされる。
例:Homo non "sibi" soli vivit.人間は自己一人のために生きない。
もし主語と異なるものを示すならば、eius, ei, eorum 等をもって表わされる。
例:(Naturam sequimur)et "ei" paremus.
(われわれは自然に属し)しかして"それ"に従おう。
p.21
IV. 関係形容代名詞
60. 主な関係形容代名詞は qui, quae, quod である。
日本語の対応する発表法:動詞は名詞または代名詞の前に置かれる。例えば来る人、Homo qui venit.
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
男 Cuius |
女 Quam |
中 |
男 |
女 Quarum |
中 Quae |
61. 使用法--1. 多くの場合"代名詞"として用いられ、名詞または他の代名詞の代わりをする。
例:Laudo puerum "qui" laborat.私は働いているところの子どもを褒める。
2. その外に形容詞のように用いられて、名詞の直前に置かれ、それと一致する。
例:Cognovi adventum tuum, "qui nuntius" fuit mihi gratissimus.
汝の来着を知った。その知らせは私を大変喜ばせた。
62. 先行詞なき関係代名詞--ラテン文においてたびたび先行詞が示されない。この場合:
1. 先行詞は省略された指示代名詞である。
例:Faciam(id)quod jussisti.私は汝が命じたことをしましょう。
2. 代名詞 qui, quae, quod が連続的関係代名詞であることがある。この場合代名詞は接続詞 et, enim, autem...によって先立たれて指示代名詞を示す。
例:Caesar equites mittit; "qui" praelium committunt(qui= et ii)
チェザルはその騎士たちを遣わす;彼らは戦いを始める。
N.B.この場合、関係代名詞は文章の始めにある。あるいは「コンマ」(,)以外の句点(;!等)の後に来る。
63. 関係代名詞の一致--関係代名詞の性、数、人称は先行詞の性、数、人称と一致する。けれどもその格は関係命題における役目に応ずる。
例:Deus, "cuius" miramur providentiam nos amat.
われわれが(その)御摂理を感嘆する神は、われわれを愛する。
Cuiusは男性、単数である。それは先行詞 Deus が男性単数であるからである。しかしprovidentiamの補語であるから属格におかれる。
① ある作家はたびたび単数、男性および中性奪格のために qui を用いる。すなわち、特に quicum の表現句の時に。
② 複数、与格、奪格に詩人は quibus の代わりに qui を遣う場合がある。
p.22
64. 他の関係形容代名詞
1. Uter, 二人の内...する一人は二人、二つの物、二つの「グループ」についてしか話さない時、 qui の代わりに用いる。それは次のように変化する。
単数 | 複数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
男 |
女 |
中 Utrum |
男 |
女 |
中 |
① 単数、属格は-ius で終わり、また与格が-i で終わり、男、女、中性とも同じであることによく注意せねばならぬ。
② Uter の複数は単数を持たない名詞と共にも用いられる。
2. Utercumque, utracumque, utrumcumque, 二人の内...する人が誰であっても、は Uter のように変化する。ただし、-cumque の接尾は不変である。
3. Quicumque, quaecumque, quodcumque, ...する誰でも、...する何れでも、...する所のすべて、は関係代名詞 qui (n.60)のごとくに変化する。ただし、-cumque は不変である。それは関係代名詞として用い得る。
例:"Quoscumque" audivi de te queri,(quoscumqueは代名詞)
placavi "quacumque" potui ratione.(quacumqueは代名詞)
私はあなたについて非難を聞いた。それを皆出来る限りの手段をもってなだめた。
4. Quisquis(女性なし), quidquid, ところのすべて、...ところの誰でも、ところの何でも、は実際上 quicumque と同じ意味を持つ。
それは次のように単数にしか用いられない。
|
男 |
中 |
備考 である。quoquo は形容詞でもあり得る。 |
---|
65. 注意--これらの関係形容代名詞のいくつかは不定形容代名詞としても用いられる。
p.23
V. 疑問形容代名詞
66. 主なものは quis? 誰? 何? である。
単数① | 備考 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
|
男 |
女 |
中 |
① 複数においては、疑問形容代名詞は関係 |
67. 他の疑問形容代名詞
代 名 詞 Uter? Utra? Utrum? (二つの中)どの...? Quisnam? quaenam? quidnam? さあ、誰...か? Numquis? numquae? numqua? numquid? ある者が...か? Ecquis? ecquae? ecqua? ecquid? ある者が...か? |
形 容 詞 Uter? utra? utrum? (二つの中)何れの? Quinam? quaenam? quodnam? さあ、何の...が? Numquis? numquae? numqua? numquid? ある...か? Ecqui? ecquae? ecqua? ecquod? ある...か? |
|
---|---|---|
N.B.--Uter(単数、属格、utrius, 単数与格 utri, 三性とも)は、二人の者、二つのこと、あるいは二つの組に |
68. 上記の外に以下の疑問形容代名詞がある。
Qualis, is, e ?(fortis のごとく変化する)どんな...?(性質について問う)
Quantus, a, um ?(bonusのごとく変化する)どれほど大きい...の? (大きさについて問う)
Quotus, a, um ?(同上)どれくらいの...? (順番について問う)
Quot ?(不変化)いくら...? (数について問う
69. 注意--これらの形容代名詞はまた、感嘆の意味にも用いられ得る。
例:Quantos orator! なんと偉大なる雄弁家よ!
p.24
VI. 不定形容代名詞
70. 不定形容代名詞の中であるものは肯定の意味を持ち、あるものは否定の意味を持つ。
A--肯定の意味のある不定形容代名詞
71. 不定形容代名詞は変化の形式によって三つの群に分けられる。
72. 第一群--Quis と qui のごとく変化するもの(n. 66)
. 代名詞 Quis quae,qua quid ある人、あるもの 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 代名詞 形容詞 |
備考(形=形式、意=意味、用=用法) 形--複数、中性、主格と対格はquaeとqua. 意--Quisは不現実すなわち想像的のものを示す。 用--1. Si, もし;nisi, もし...でないならば; ne, 内容に;num? ...か? の後に。 2. 仮定的文章において。 例:Venit quis, ある人が来た(と私 は仮定する)。 3. 疑念、疑問を示す附属文において。 形--単数、女性、主格はaliquae. 形--Quidpiam の代わりに quippiam の綴り 形--形容詞は単数、中性だけ異なる。 形--Quidquam の代わりに quicquam の 形--形容詞は単数、中性で代名詞と異なる。 形--形容詞は二つとも単数、中性において |
---|
① Quisque には以下の合成語がある。unusquisque, unaquaeque, unumquidque(代名詞)各々;unusquisque, unaquaeque, unumquodque(形容詞)各々のの属格はuniuscuiusque, 与格はunicuique(三性とも同じ)である。
73. 第二群①--Uter のごとく変化するもの(n.64 参照)
Alter altera alterum Alteruter alterutra alterutrum Uterque utraque utrumque Neuter neutra neutrum② |
Alter すべての格において r の前に e を保つ。 属格 alterutrius 属格 utriusque, 与格 utrique は三性共同じ。 属格 neutrius, 与格 neutri は三性共同じ。 |
---|
① この第二群のすべの語は代名詞と形容詞と同じ形を有する。
② -ter に終わるこれらの語はすべて単数形をもたない名詞と共には複数に用いられる。
例:Neutra castra. この二つの陣のどれも...ない。
p.26
74. -terに終わる疑問あるいは不定形容代名詞の一致の規則
1. それらの伴う語が代名詞である時、属格におき、-terに終わる代名詞はその役目による格におかれる。
例:Alteruter "vestrum" veniet.あなたがた二人のうちどちらかが来るだろう。
2. それに伴う語が名詞である時、文の要求する格におかれ、-terに終わる語を形容詞として、名詞と一致させる。
例:"Utrum militem" vidisti?この二人の兵士のうちどちらを見たか?
3. しかし伴う名詞が指示形容詞によって限定されているならば、-terに終わる語は代名詞のままにし、補語たる名詞はその限定詞と共に属格におかれる。
例:Neutri "horum puerorum"この二人の子どものうちいずれにも...ない。
75. 第三群--Unus, 一つ、ただ一つ、のごとく変化するもの
.... 男性 女性 中性 主格 Unus Una Una 属格 Unius 三性共通 与格 Uni 三性共通 対格 Unum Unam Unum 奪格 Uno Una Uno Ullus ulla ullum Nonnullus nonnulla nonnullum Totus tota totum Solus sola solum Alius alia aliud Nullus nulla nullum |
備考 単数を持たぬ名詞と共にこれらすべての形 容代名詞は複数を持つ(boni のように変化 する)。例:Una castra. 一つの陣営。 第二および第三群のすべての語は属格を-ius に、与格を-iにすることに注意すべきである。 Ullus は否定ではない。しかし否定詞またsi, 複数 nonnulli は若干数を表わし、複数 N.B.--三性共属格は totius, 与格は 属格 solius 三性とも同じ。 N.B.--単数、中性、主格と対格は-d に Nullus は否定の意味を持つ。ここに掲げ |
---|
p.27
B--否定の意味のある不定の代名詞
76. Neuter と nullus (n.73 および 76)以外に、ラテン語では否定の意味の代名詞が二つある。すなわち、nemo, 誰も...ない, nihil, 何もない。
男 性 主格 Nemo 属格 Nullius① 与格 Nemini 対格 Neminem 奪格 Nullo② |
中 性 Nihil Nullius rei③ Nulli rei④ Nihil Nulla rei⑤ |
備 考 ① Nullius(hominis 省略)nullus の属格。 ② Nullo(homine 省略)nullus の奪格。 ③ Nullius rei 直訳:一つのものも...ない。 ④ Nulli rei 直訳:一つのものに...ない。 ⑤ Nulla re 直訳:一つのものによっても...ない。 |
---|---|---|
注意--代名詞 nihil はさらにある表現法にしか使用されていない次の形を持つ:nihil(属格), nihilum(対格), nihilo(奪格)。 |
77. 注意。I. Nemo は時々形容詞として用いられ得る。
例:Neminem novi poetam.私はどの詩人をも知らない。
II. Nihil は対格を支配する前置詞の後では nullam rem によって代用される。
例:"Ad nullam rem" utilis est.何ものにも有益でない。
78. 表現された res の語①--Nihil の変化では res の語は属格、与格また奪格において表されるすべての中性代名詞②の属、与、奪三格はこのように作られる。
例:Cui "rei" studes?汝は何を励んでいるか?
しかし"quid facis?(対格)汝は何をしているか? と言われる。
79. Nemo と nihil とは否定詞③である。それで誰も...ない、何も...ないを訳するときに、他の否定詞を附加してはならない。
例:"Neminem" vidi, 私は誰をも見なかった。
80. 否定詞が et によって先行されているような場合。
Et nemo の代わりにneque quisquam を用いる。
Et nihil の代わりにneque quidquam を用いる。
Et nulls の代わりにnec ullus を用いる。
Et nunquam の代わりにneque unquam を用いる。
① 和訳においてはquod, id 等または res の意味を明白にしなければならぬ。例えば文章の前後の大体の意味に従って、この話、このできごと、この理由等と訳すべきである。
② 次の場合は例外である。1. in eo, in hoc, "それにおいて"の表現法の時。
2. 関係代名詞の先行詞である場合。
例:In omnibus quae feci.私がなしたすべてのことにおいて。
3. 他の否定詞もある。nunquam, 決して...ない;nusquam, どこにも..ない。
p. 28
第四章 動詞
1 基本概念
81. 四つの活用--能動に四つの活用があり、これらの各々に受動形が変化する。これら四つの活用は不定法現在の語尾と直説法、単数、二人称によって区別される。
活用 |
能動形 不定法 直説法 ARE as ERE es ERE is IRE is |
受動形 不定法 直説法 ARI(aris) ERI(eris) I(eris) IRI(iris) |
第三の正則活用(範例はlego)以外に、他の一つ |
---|
82.--I. 語根は動詞の変わらない部分である。この語根は不定法現在から第三活用の -ere ,他の第一、第二、第四活用の -re を除けば得られる。
活 用 |
不定法 |
語 根 |
備 考 |
---|---|---|---|
第 三 第 一 第 二 第 四 |
leg ere ama re mone re audi re |
leg ama mone audi |
語根は子音で終わる。 語根は a で終わる。 語根は e でおわる。 語根は i で終わる。 |
II--語根後に来るものは"特徴"と"語尾"で相、法、時称、人称によって変化する(n.88)。
83. 三相--ラテン語には能動、受動があり、さらに受動形能動がある。
84. 八法--ラテン語には八法がある。すなわち直説法、接続法、命令法、不定法、分詞、目的分詞、動詞的中性名詞、動詞的形容詞である。
p.29
85. 六時称--ラテン語には現在、半過去、過去、大過去、未来、先立未来の六つの時称がある。
備考。ラテン語には能動形過去分詞と受動形現在分詞とがない。その代わりに状況命題を用いる。
86. 時称の特徴--時称の特徴とは語根と語尾との間にある文字や音節を言う。ここには表をもってそのいくつかを挙げる。
直説法 |
接続法 |
||
---|---|---|---|
..........半 過 去 |
未 来 |
現 在 |
半 過 去 |
87. 数と人称--ラテン語には二数がる。すなわち、単数と複数とがこれで、各数には三つの人称がある。
88. 人称の語尾--動詞の人称、数、相は語尾によって表される。次に表によりいくつかを示す。
直説法と接続法 |
接続法過去 |
命令法 |
||
---|---|---|---|---|
..........能 形 複数一人称 -mus |
受 形 -mur |
能 形③ -imus |
能 形 -. |
受 形⑤ -mini -ntor |
① 受動詞において-ris の代わりに-re を用い得る。
② 受動詞において-erunt の代わりに-ere を用い得る。
③ 受け身において過去は"合成時称"であり、動詞受身形過去分詞と助動詞 sum との合成によって形成される。
④ Dicere, 言う;ducere, 導く;facere, なす;ferre, 運ぶ;の命令形はdic, duc, fac, fer, である。これらの動詞の合成語も同じ規則に従う。
⑤ 受け身の命令法は稀に用いられる。
p.30
2 動詞の種類
89. 動詞は意味によってあるいは活用によって次のように分類することができる。すなわち:
意味による分類 1. Esse①,"ある"の動詞;不規則動詞 である。 2. 他動詞②と④ 例:Amo Deum. 私は天主を愛する。 すなわち直接補語を要求する動詞。 3. 自動詞③すなわち直接補語を要求しない動詞。 例:Dormio. 私は眠る。 |
活用による分類 A)規則的動詞 1. 能動詞⑤ 2. 受動詞例 3. 形式受動詞⑥ 4. 半形式受動詞 B)不規則的動詞 1. 不規則形動詞 2. 非人称動詞 3. 不完全動詞 |
|
---|---|---|
① Esse は補語をもたぬが、それに伴うののは主語の属辞である。 |
3 時称の構成
90. 基本時称と転化時称--基本時称は他のすべての時称を作る本となるものである。(動詞の基本時称は辞書に表わされている)。
四つの基本時称がある。すなわち直説法現在、直説法過去、目的分詞、不定法現在である。
他のすべての時称は転化時称と言われる。それは次に示すような方法によって構成される。
p.31
91. "能動の時称"の構成
基本時称 直接法現在から 直接法過去から 目的分詞から二 不定法現在から |
転化時称 1-直説法半過去 . . 2-単純未来 3-接続法現在 4- 現在分詞 5- 動詞的中性名詞 1- 直説法大過去 2- 先立未来 3- 接続法過去 4- 接続法大過去 5- 不定法過去 1- 未来分詞 2- 不定法未来 1- 命令法 |
変化 o を abam(第一活用)に eo を ebam(第二活用)に o を ebam(第三、第四)活用に o を abo(第一活用)に o を em(第一活用)に o を ans(第一活用)に o を andi(第一活用)に i を eram(四活用共同じ)に i を ero(同上)に i を erim(同上)に i を issem(同上)に i を isse(同上)に um を urus(同上)に um を urum esse に re を除いて |
例 am o から am abam. mon eo から mon ebam. leg o から leg ebam... am o から am abo. am o から am em. am o から am ans. am o から am andi. amav eram; monu eram; amav ero; monu ero; amav erim; monu erim; amav issem; monu issem; amav isse; monu isse; amat urus; monit urus; amat urum, am, um esse; ama; mone; lege; audi. |
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p.32
"受動の時称"の構成
92. 単純時称(現在の組)と複合時称(過去の組)の区別をせねばならぬ。
A --単純時称
93. 直説法、接続法および命令法--これらの法の各人称の構成は能動形語尾に変えることによって行われる(n.88の表参照)。 94. 不定法現在--第三活用においては能動形不定法の語尾 -ere を -i に変えて、他の活用においては、-e を -i に変えて受身不定法を構成する(n.81の表参照)。 95. 分詞--過去分詞は目的分詞の um を -us に変えて作られる。 96. 目的分詞--目的分詞を作るには、単に能動形目的分詞の -um を除く。 97. 動詞的形容詞--これは動詞的中性名詞の -dum を -dus, da, dum(bonus のように変化する)に変えることによって作られる; amandus, a, um. B-- 複合時称 98. 過去、大過去および先立未来--これらの時称は過去分詞と助動詞 esse の現在半過去、単純未来とをもって構成される。 99. 不定法未来---um に終わる目的分詞に、iri(ire, 行くの非人称的受身不定法)を加えて作る。 |
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4 動詞の活用
100. 規則的動詞(能動と受動)の模範動詞を挙げる前に esse ①の活用を学ぶことは有益である。なぜなればこの動詞は他の動詞のいくつかの時称の構成に用いられるからである。
注意--模範動詞中に本書は直説法現在による時称または不定法現在による時称を同じ枠の中に置く。
① Esse の二つの合成動詞posse, できる、prodere, 役立つは少し特徴があるから esse のすぐ後に取り扱うことにする。
p.33
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私がある |
|
汝があれ Es 汝らがあれ Es te |
あること ESSE |
(なし)② (n.112 参照) |
||
半 |
私があった |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私があるだろう |
. |
汝があれ(未来に) Es to(es) Es tote |
あろうとすること Fo re(不変化) |
あろうとする Fut urus, a, um |
||
過 |
私があった |
|
. |
あったこと Fu isse |
目的分詞 (無し) |
||
大 |
私がすでにあった |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私があったであ |
. |
. |
. |
. |
Esse についての備考
① この動詞は二つの語根を持つ:一つはes(母音の前ではer となる:er amまたはs だけになる:es mus の代わりにsumus)であり、他は過去の組ではfu である。
② この動詞は現在分詞、動詞的中性名詞、目的分詞はもたないが、未来分詞はもっている。
③ 他の形--接続法半過去において forem, fores, foret, forent も言われる。
④ 不定法命題において事実に反対のことを示すために futurum(am, um)"fuisse" を用いる。(n.256参照)
p.34
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直説法 |
接続法 |
不定法 |
備 考 |
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現 |
私が出来る |
|
出来ること Pos se |
この動詞には |
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半 |
私が出来た |
|
. |
Possum は potis, 能力ある、と sum |
|||
未 |
私が出来るだろう |
. |
. |
3)過去において f(fu の語根から possum を伴う動詞は不定法におかれる。 例:Possum hoc "facere". 私はこれをなすことが出来る。 |
|||
過 |
私ができた |
|
出来たこと Potu isse |
他の ESSE の合成動詞 |
|||
大 |
私がすでに出来た |
|
. |
注意 Abesse(a, ab と共に奪各 |
|||
先 |
私が出来たであ |
. |
. |
. |
p.35
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が役立つ |
|
汝が役立てよ Pro d es 汝らが役立てよ Pro d este |
役立つこと Pro d esse |
(なし) |
||
半 |
私が役立った |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が役立つだ |
. |
汝が役立てよ Pro d esto Pro d estote |
役立とうとす Pro futurum, |
役立とうとする Pro futurus, a, |
||
過 |
私が役立った |
|
. |
役立ったこと Pro fuisse |
目的分詞 (無し) |
||
大 |
私がすでに役立った |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が役立っただ |
. |
. |
. |
. |
動詞 Prodesse についての備考
① この動詞は pro, のためにと sum とによって合成されている。これは sum の通りに活用するが、母音の前では d を挿入する:pro-d-esse, pro-d-est.
② この動詞には目的分詞も動詞形容詞もない。
③ 未来不定法の第二の形は profore, (不変化)である。
④ 不定法命題における現在あるいは過去の事実に反対することを示すために profuturum(am, um)"fuisse"を用いる。
例:Credo hos libros "profuturos fuisse".
私はこの書物が有益であったろうにと思う。
p.36
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が愛する |
|
汝が愛せよ Am a 汝らが愛せよ Am ate |
愛すること AM ARE |
愛する 主格 Am ans |
||
半 |
私が愛した |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が愛するだ |
. |
汝が愛せよ Am ato Am atote |
愛しようとす Amat uturum, |
愛しようとする Amat urus, a, |
||
過 |
私が愛した |
|
. |
愛したこと Amav isse |
目的分詞 愛するため 愛するに |
||
大 |
私がすでに愛した |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が愛したであ |
. |
. |
. |
. |
四つの活用についての備考
条件付きの観念を表わすために。
1. 可能なこと、すなわちいつかあり得ることを示すには、接続法現在を用いる。
2. 現在の事実に反対することを示すには接続法半過去を用いる。
3. 過去の事実に反対することを示すには接続法大過去を用いる。
動詞的中性名詞 (直説法現在から形成される)
属格 Am andi 愛することの
(与格)Am ando 愛するに
対格 (ad)Am andum 愛するために
奪格 Am ando 愛することによって
p.37
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が愛される |
|
汝が愛されよ Am are 汝らが愛されよ Am amini |
愛されること AM ARI |
(なし) (n.112 参照) |
||
半 |
私が愛された |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が愛されるだ |
. |
汝が愛されよ Am ator Am amini |
愛されるだろう Amat um iri |
. |
||
過 |
私が愛された |
|
. |
愛されたこと Amat um, -am, |
愛された AMAT US, A, |
||
大 |
私がすでに愛された |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が愛されただ |
. |
. |
. |
. |
動詞的形容詞 (直説法現在から形成される)
Am andus, a, um
p.38
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が忠告する |
|
汝が忠告せよ Mon e 汝らが忠告せよ Mon ete |
忠告すること MON ERE |
忠告する 主格 Mon ens |
||
半 |
私が忠告した |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が忠告するだ |
. |
汝が忠告せよ Mon eto Mon etote |
忠告するだろう Monit uturum, |
忠告するだろう Monit urus, a, |
||
過 |
私が忠告した |
|
. |
忠告したこと Monu isse |
目的分詞 忠告するため 忠告するに |
||
大 |
私がすでに忠告し |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が忠告しただ |
. |
. |
. |
. |
動詞的中性名詞 (直説法現在から形成される)
属格 Mon endi 忠告することの
(与格) Mon endo 忠告するに
対格 (ad)Mon endum 忠告するために
奪格 Mon endo 忠告することによって
p.39
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が忠告される |
|
汝が忠告されよ Mon ere 汝らが忠告されよ Mon emini |
忠告されること Mon eri |
(なし) (n.112 参照) |
||
半 |
私が忠告された |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が忠告される |
. |
汝が忠告されよ Mon etor Mon emini |
私が忠告される Monit um iri |
. |
||
過 |
私が忠告された |
|
. |
忠告されたこと Monit um, -am, |
忠告された MONIT US, A, |
||
大 |
私がすでに忠告された |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が忠告されただ |
. |
. |
. |
. |
動詞的形容詞 (直説法現在から形成される)
忠告されるべき Mon endus, a, um
p.40
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が読む |
|
汝が読め Leg e 汝らが読め Leg ite |
読むこと MON ERE |
読む 主格 Leg ens |
||
半 |
私が読んだ |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が読むだろう |
. |
汝が読め Leg ito Leg itote |
読むだろうこと Lect uturum, |
読むだろう Monit urus, ① |
||
過 |
私が読んだ |
|
. |
読んだこと Leg isse |
目的分詞 読むため 忠告するに |
||
大 |
私がすでに読んだ |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が読んだだろう |
. |
. |
. |
. |
四つの活用についての備考
① -urus の未来分詞は esse と共にしか使われないが、しばしば esse を省略する。
② 不定法未来では esse がしばしば省略される。
例:Scio eos lecturos(esse).
彼らが読むだろうと私は知っている。
動詞的中性名詞 (直説法現在から形成される)
属格 Leg endi 読むことの
(与格) Leg endo 読むに
対格 (ad)Leg endum 読むために
奪格 Leg endo 読むことによって
p.41
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が読まれる |
|
汝が読まれよ Leg ere 汝らが読まれよ Leg imini |
読まれること Leg i |
(なし) (n.112 参照) |
||
半 |
私が読まれた |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が読まれるだ |
. |
汝が読まれよ Leg itor Leg imini |
私が読まれる Lect um iri |
. |
||
過 |
私が読まれた |
|
. |
読まれたこと Lect um, -am, |
読まれた LECT US, A, |
||
大 |
私がすでに読まれた |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が読まれただ |
. |
. |
. |
. |
動詞的形容詞 (直説法現在から形成される)
読まれるべき Leg endus, a, um
p.42
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が捕まえる |
|
汝が読め Cap e 汝らが読め Cap ite |
読むこと CAP ERE |
読む 主格 Cap i ens |
||
半 |
私が読んだ |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が捕まえる |
. |
汝が捕まえよ Cap ito Cap itote |
捕まえるだろう Capt uturum, |
捕まえるだろう Capt urus, a, |
||
過 |
私が捕まえた |
|
. |
捕まえたこと Cep isse |
目的分詞 捕まえるために 捕まえるに |
||
大 |
私がすでに捕まえた |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が捕まえただ |
. |
. |
. |
. |
備考
① 第三活用の混合形動詞を第四活用の動詞と混同してはならない。第四活用の直説法現在は -io であるが不定法現在は ire である。
② この Cap-i-io の模範動詞には lego と対応するすべての形に母音 i を孤立させた。
動詞的中性名詞 (直説法現在から形成される)
属格 Cap i endi 捕まえることの
(与格) Cap i endo 捕まえるに
対格 (ad)Cap i endum 捕まえるために
奪格 Cap i endo 捕まえることによって
p.43
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が捕まえられる |
|
汝が捕まえられよ Cap ere 汝らが捕まえられよ Cap imini |
捕まえられること Cap i |
(なし) (n.112 参照) |
||
半 |
私が捕まえられた |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が捕まえられる |
. |
汝が捕まえられよ Cap itor Cap i mini |
捕まえられる Cap um iri |
. |
||
過 |
私が捕まえられた |
|
. |
捕まえられたこと Capt um, -am, |
捕まえられた CAP US, A, |
||
大 |
私がすでに捕まえら |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が捕まえられた |
. |
. |
. |
. |
四つの活用についての備考
義務の観念--義務の観念は次のように言い表わし得る。
1. -dus の形容詞(受動形である)と esse の助動詞の適当な時称とによって。
Mihi virtus "corenda est".
私は徳を修めなければならぬ。
"Dicenda erit" veritas.
真理を言うべきだろう。
2. Debere の動詞と不定法現在とによって。
Debeo colere virtutem.
Debebimus dicere veritatem.
動詞的形容詞 (直説法現在から形成される)
捕まえらるべき Cap i endus, a, um
p.44
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が聞く |
|
汝が聞け Aud i 汝らが聞け Aud ite |
読むこと AUD IRE |
聞く 主格 Aud iens |
||
半 |
私が聞いた |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が聞くだろう |
. |
汝が聞け Aud ito Aud itote |
聞くだろうこと Audit uturum, |
聞くだろう Audit urus, a, |
||
過 |
私が聞いた |
|
. |
聞いたこと Audiv isse |
目的分詞 聞くために 聞くに |
||
大 |
私がすでに聞いた |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が聞いただ |
. |
. |
. |
. |
動詞的中性名詞 (直説法現在から形成される)
属格 Aud iendi 聞くことの
(与格) Aud iendo 聞くに
対格 (ad)Aud iendum 聞くために
奪格 Aud iendo 聞くことによって
p.45
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直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が聞かれる |
|
汝が聞かれよ Aud ire 汝らが聞かれよ Aud imini |
聞かれること Aud iri |
(なし) (n.112 参照) |
||
半 |
私が聞かれた |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が聞かれる |
. |
汝が聞かれよ Aud itor Aud imini |
聞かれる Audit um iri |
. |
||
過 |
私が聞かれた |
|
. |
聞かれたこと Audit um, -am, |
聞かれた AUDIT US, A, |
||
大 |
私がすでに聞かれた |
|
. |
. |
. |
||
先 |
私が聞かれた |
. |
. |
. |
. |
四つの活用についての備考
1. 他の形---ris (n.88, n.1 参照)を re に代え得る。しかし直説法現在においては稀である。
2. ESSE の省略---us の過去分詞または-dus の動詞的形容詞と共に、est, sunt, esse の形は省略され得る。
3. 命令法の複数二人称は直説法現在の同じ人称と同様である。
動詞的形容詞 (直説法現在から形成される)
聞かれるべき Aud iendus, a, um
p.46
能動活用についての注意
109. 不定法の使用法--ラテン語の不定法は中性名詞として、あるいは動詞として用いられ得る。
名詞として用いられる場合
1. --主語になり得る。
Utile est "legere".読むことは有益である。
2. --属辞になり得る。
Servire Deo "regare" est.天主に仕えることは支配することである。
3. --直接補語になり得る。
Cupio "audire".聞くことを私は切望する。
Vellem "legisse".私は読んだことを望むのに。(読んだらよかったのに)
動詞として用いられる場合
独立命題の中において
1.--記述的不定法であり得る(主語は主格におかれる)。
Consul "laudare".執政官は讃美していた。
2. --間投的不定法であり得る(主語は対格におかれる)。
Regem sic "agere".王はこうするだろうか!
附属命題において
不定法命題の動詞として
Credo eum "legere".彼が読むと私は思う。
N.B.--陳述、認識、意見の動詞の後には、補足命題は接続詞を持たず、主語は対格、動詞は不定詞に置く。
110. 動詞的中性名詞の使用法
di ①に終わる動詞的中性名詞(動詞の属格)は以下のごとく使用される。
1.--名詞の限定補語として、
Gaudium "audiendi". 聞くことの喜び。
2. --属格を要求するいくつかの形容詞の補語として、
Cupidus "discendi". 学ぶことに熱中する。
3. --属格を要求するいくつかの前置詞の補語として、
"Laborandi" causa. 働くことのために。
dum ①に終わる動詞的中性名詞(常に前置詞がある)は以下のごとく使用される。
ある方へ動き、勧告、傾向を示す動詞と形容詞との後に、
Venio "ad ludendum". 私は遊びに来る。
Te hortor "ad legendum". 私は汝に読むように勧める。
Pronus "ad irascendum". 怒り易い。
-do に終わる動詞的中性名詞(動詞の与格、奪格)は以下のごとく使用される。
1. --与格を要求する形容詞、動詞の補語として、
Intentus "scribendo". 書くことに専心する。
2. --動詞の状況補語として、動詞的中性名詞が、その時、理由、方法、手段をしめす。
Mens nutritur "legendo". 読むことにより精神は養われる。
① 動詞的中性名詞、動詞的形容詞への置換については n.112 を参照。
p.47
111. 目的分詞の使用法 -- 目的分詞はあまり使用されない。しかし次の場合に使用し得る。
-um に終わる目的分詞①
行く、来る、送る等のような動きの動詞の補語として使用され得る。
例:Venio "lusum". 私は遊びに来る。
Venimus "spectatum". われわれは眺めに来た。
-u に終わる目的分詞②
易しい、難しい、有益な、愉快な等を意味する形容詞の補語として用いられ得る。
例:Pictura mirabilis "visu". 見て快い画。
Res facilis "dictu". 言うに易いこと。
① しかしながら目的分詞の代わりに一般にラテン語はad と dum に終わる動詞的中性名詞 Venio "ad ludendum"(n.120 参照); -di の動詞的中性名詞と causa: "ludendi causa"(n.120 参照); あるいは ut と接続法(目的命題);Venio "ut ludam" を使用する。
② しかし通例、特に動詞が用うべき目的分詞を持たないならば、他の構文を用いる:lectio mea difficilis est "ad discendum." あるいは difficile est "discere" meam lectionem.(主語たる不定法、n.109 参照)私の日課は学ぶに難しい。
112. 現在分詞① -- Esse または受動詞は現在分詞を持たぬ。しかしながらこの概念は適当な状況命題によって表わし得る。
例:Cicero "cum esset" consul, conjurantionem detexit.
執政官であるチチェロは陰謀を看破した(ここでは執政官であるは、あったを意味する)。
"Cum sit" in nobis ratio, intelligemus.
推理力がわれわれにあって、われわれは了解するだろう(ここではわれわれにあっては、われわれにあるからを意味する)。
113. 過去分詞① -- Esse または規則動詞の能動形には過去分詞がなく、その代わりに適当な状況命題を用いる。
例:Cicero "cum fisset" consul, missus est tamen in exsilium.
執政官であったチチェロは、それにもかかわらず流謫の地に送られた。
"Cum haec(verba)dixisset" profectus est.
彼はこの言葉を述べて出発した。
① 奪格別句 -- 分詞を伴う奪格の名詞は附属命題になり得る。ただしこの名詞が主動詞の主語でも補語でもないことを条件とする(n.431 参照)。
例:"Partibus factis" sic locutus est leo.
割り当てがされて(から)獅子はこのように話した。
Artes repertae sunt "docente natura".
芸術は自然の教えに従って(自然が教えて)発明された。
p.48
114. -to ①で終わる命令法の使用法 -- 命令法の -to 形は次の場合に使用される。
1. 法則と格言とにおいて
Homines ad Deum caste "adeunto".人々は潔白さをもって天主に近づかんことを。
2. 未来に果たすべき命令について
Cum Caesar advenerit, mihi "scribito".チェザルが着いたら私に書けよ。
3. 次の表現において
scito, ② 知れ;
esto, ...であれ;
memento, 記憶せよ;
sic habeto, 納得せよ;③
① 古典的散文は-tor で終わる受身動詞と受動形能動詞の形を用いない。
② Scire 命令法は常にこのようである。
③ また、Putato, 考えよ等の表現において、それらの-to に終わる表現の意味は現在である。
115. 受身の時称の特別な意味 -- Aedificare, legere, scribere, claudere 等の動詞の受動形において、行為またはその行為からの結果である状態を示すために異なった時称を用いる。
1.) 現 在 の a)行為を示すために現在を 使う。 例:Domus "aedificatur" a patre. 家は父より建築され る。 b)状態を示すために過去を 使う。 例:Domus jam "aedifi- cata est. 私の家は既に建てられている。 . |
2.)半 過 去 の a)行為を示すために半 過去を使う。 例:Epistola "legeba- tur" cum adveni. 私が 着いた時、手紙は読まれた。 b)状態を示すために大 過去を使う。 例:Templum jam "clausum erat" cum adveni. 私が着いた時、寺は閉まって いた。 |
3.)未 来 の a)行為を示すために未 来を使う。 例:Urbs "capietur" ab imperatore. 町は将軍から占 領されるであろう。 b)状態を示すために先立未 来を使う。 例:Urbs "capta erit" cum imperator adveniet. 将軍が着く時町は占領されてい るであろう。 |
---|---|---|
N.B. 要求される時称を知るためには能動形にすればよい、すなわち私の父は家を作る、人は家を建 |
116. 受身によってラテン訳された能動形 -- 直接補語があれば、ラテン語にては次の場合受動形に変える。
1.) 主語が不定である場合① 例:人は徳を愛し、また実行する Virtus "amatur" et "colitur". |
2.)主語が物の名詞である場合 例:汝の脅迫は私に感動させない Minis non "moveor" tuis. |
|
---|---|---|
① しかし不定主語は意味に適応する代名詞によって訳され得る。その時は能動形のままにして |
p.49
117. 不定法命題における未来と条件付き動作 -- 未来または可能的意味を有する条件付き動作は不定法命題で次のように表わされる。
1.) 不定法命題の動詞が目的分詞を a)能動には、 -urum esse の不定法未来 によって(不定法は不定法命題の主語と一致 する)。 Credo hos pueros "lecturos esse". これらの子どもが読むであろうと信ずる。 b)受動には、-um iri(常に不変)の不 定法未来によって: Credo eos "monitum iri". 私は彼らが忠告されるだろうと信ずる。 |
2.)不定法命題の動詞が目的分詞 必ず futurum① esse ut② と動詞の接 続法とによって、時称はもし主要動詞が過去 の時にないならば接続法現在であり、過去の 時にあるならば接続法半過去である。 Credo "futurum esse ut studeat". 私は彼が学ぶだろうと信じている。 Credebam "futurum esse ut stu- deret". 彼が学ぶだろうと私は信じていた。 |
|
---|---|---|
① Futurum はこの場合常に不変である。 |
118. 不定法命題における事実に反対することの発表法 -- 不定法命題における現在あるいは過去の事実に反対することは次のように発表される。
1.) 能動において a)動詞が目的分詞をもっていれば -urum fuisse (不定法命題の主語と一致する)によ って: Credo eos "lecturos fuisse". 私は彼らが読むだろうにと信ずる。 私は彼らが読んだだろうにと信ずる。 b)もし動詞が目的分詞をもたぬ場合は、 私は彼が学ぶであろうにと信ずる。 |
2.)受動において 必ず futurum fuisse ut① と接続法半 過去とによって: Credo "futurum fuisse ut"Caesar. ab Alexandro "vinceretur". 私はチェザルがアレクサンドルに負けただ ろうにと信ずる。 Credebam "futurum fuisse ut" urbs "oppugnaretur". 彼が町が攻撃されるだろうにと信ずる(実 際には今攻撃されない)。 . . . |
|
---|---|---|
① この用法は動詞が目的分詞を持たないか、あるいは受動相であるならば、義務的であるが、目 |
受動活用についての注意
119. 受動詞の補語 -- 受動詞の補語(この補語とは動詞の行為をするものをしめす)前置詞 a 或いは ab (n.135 参照)と共に、またこれなくして補語の性質に従って奪格におかれる。
補 語 . . . a, ab と奪格 . . . 前置詞なしの奪格④ . |
条 件 . 人を示す名詞①であれば 動物②を示す名詞であれば 人格化された事物③の名詞であれば 事物を示す名詞であれば |
例 Amor "a Deo". 私は神から愛される。 Leo victus est "a culice". ライオンはブヨに負けた。 Vita data est "a Natura". 生命は自然により与えられている。 "Maerore" conficior. 私は悲しみに悩まされている。 . |
---|---|---|
① 代名詞は代用する名詞の規則に従う。 |
120. 動詞的中性名詞の動詞的形容詞への置換 -- この置換をなすには動詞的中性名詞が対格の補語をもつことを条件とする。その方法は対格の補語を動詞的中性名詞の格におき、動詞的形容詞をそれと一致させることである。
A)対格の補語をもつ時、動詞的中性名詞の属格(-di)および前置詞のない奪格(-do)の動詞的中性名詞の場合、しばしばこの置換がなされる。しかし義務的ではない。すなわち、
次のように言われ得る:
Tempus legendi historiam.①
歴史を読むの時間。
Didicit legendo historiam.
歴史を読むことによって学ぶ。
しかしながら次の発表法の方がよい:
Tempus "legendae historiae".②
Didicit "legenda historia".
B) この動詞的中性名詞の置換は次の格の場合義務的である。
a) 与格の場合:Vacare "discendo juri".法律の研究に従事する。
b) 対格の場合:Venit "ad amicos invisendos".友人を見に来た。
c) 奪格の場合:(前置詞 a, ab, ex 等に先立たれている):Redeo "ab amicis invisendis". 友人を見てから帰る。
① 動詞的中性名詞が補語として中性名詞をもつとき、一般に置き換えない。
例:Cupidus "aliquid dicendi".何事か言おうとしている...。
② 補語として代名詞 nostri, vestri, sui 等を有するとき、動詞的形容詞は中性単数におかれる(それは動詞的中性名詞 -di の形をとる) 例:"Vestri adhortandi causa", pueri.子どもたちよ、あなたたちを激励するために。
p.51
形式受動詞(Deponentia verba)
121. 定義 -- 形式受動詞は受動的な形を有するが他動あるいは自動的意味を有する。
例:Imitor, 私は真似る(他動的形式受動詞);blandior, 私がへつらう;morior, 私が死ぬ(自動的形式受動詞)。四つの活用の各々に形式受動詞がある。
形式受動詞がラテン語で Deponentia verba と言われるのは、始めもっていた能動形を捨てた(deponere = 捨てておく)からであるが、なお以前と同じ能動的意味を保っているからである。しかしながら、
次の能動形を保持する 1.-- 現在分詞: imitans, 真似る。 2.--動詞的中性名詞: imitandi, 真似ることの 3.--目的分詞: imitatum, 真似るために。 4.--未来分詞: imitaturus, 未来に真似るだろう。 5.--不定法未来: (crdo eum)imitaturum esse, 彼が真似るだろう(と私は信ずる)。 |
次の形は受動的意義がある 1.-- -dus に終わる動詞的形容詞: imitandus, 真似られるべきである。 2.-- -u に終わる目的分詞。 N.B.−−原則として他動的形式受動詞のみ -dus に終わる動詞的形容詞と、-u に終わる 目的分詞を持つ筈であるが、しかし uti, 使用 する、frui, を楽しむ、fungi, 果たす(奪格を要 求する動詞)は utendus, fruendus, fungendus になる。これらの形は特に非人称的に使用する。 . |
---|
122. 注意 -- 羅訳の場合、原文において受動的に使われている動詞がラテン語において形式受動詞、あるいは自動詞の時は受動構成を能動構成にすべきである。
例:子どもは先生によって訓戒される(先生は子どもを訓戒する)。
Magister hortatur(形式受動詞)puerum.
私は私の友人たちより恵まれる(友人たちは私を恵む)。
Amici mei favent(自動詞)mihi.
123. 特例 -- I. 若干の形式受動詞は各々の時称と法とにおいて能動または受動の意味を有する。例えば criminari は訴えると訴えられるとの意味がある。
II. 例外としてある形式受動詞の過去分詞は能動と受動との意味をもち得る:expertus(experiorの過去分詞)試みた(能動)と試みられた(受動)との意味がある。
III. 少数の動詞は能動形を有するが、しかし受動的意義を有する:vapulo, 私が打たれる; veneo,(eo の合成詞)、私が売られる。
IV. いくつかの動詞は能動のごとく活用するが、しかし形式受動的過去分詞を有する:cenare, 食事する、cenatus, 食事した。
V. ある動詞は二組の基本時称を有する。一つは能動詞で、他は形式受動形である:mereo あるいは mereor, 私は....に値する。
p.52
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が真似る |
|
汝が真似よ Imit are 汝らが真似よ Imit amini |
真似ること Imit ari |
真似る 主格 Imitans 属格 Imit antis |
||
半 |
私が真似た |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が真似るだろう |
. |
汝が真似よ |
真似るだろう Imitat rum, |
真似るだろう Imitat urus, |
||
過 |
私が真似た |
|
. |
真似たこと Imitat um, am, |
真似た IMITAT US, |
||
大 |
私がすでに真似た |
|
. |
. |
目的分詞 |
||
先 |
私が真似ただろう |
. |
. |
. |
. |
注意 -- 不定法命題において事実に反対することはImitaturum, -am, -um fuisseによって表わされる。ここでは形式受動詞の過去分詞が能動の意義をもつことに注意しなければならぬ。
動詞的中性名詞
属格 Imit andi, 真似ることの。
(与格) Imit ando, 真似るに。
対格 (ad)Imit andum, 真似るために。
奪格 Imit ando, 真似ることによって。
動詞的形容詞 真似らるべき Imit andus, a, um
p.53
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が恐れる |
|
汝が恐れよ Ver ere 汝らが恐れよ Ver emini |
恐れること Ver eri |
恐れる 主格 Ver ens 属格 Ver entis |
||
半 |
私が恐れた |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が恐れるだろう |
. |
汝が恐れよ |
恐れるだろう Verit urum, |
恐れるだろう Verit urus, a, |
||
過 |
私が恐れた |
|
. |
恐れたこと Verit um, -am, |
恐れた VERIT US, A, |
||
大 |
私がすでに恐れた |
|
. |
. |
目的分詞 |
||
先 |
私が恐れただろう |
. |
. |
. |
. |
注意 -- 不定法命題において事実に反対することは Veriturum, -am, -um "fuisse" によって表わされる。
受動詞におけるように -risの語尾を -re に変え得る。
動詞的中性名詞
属格 Ver endi, 恐れることの。
(与格) Ver endo, 恐れるに。
対格 (ad)Ver endum, 恐れるために。
奪格 Ver endo, 恐れることによって。
動詞的形容詞
恐れらるべき Ver endus, a, um
p.54
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が従う |
|
汝が従う Sequ ere 汝らが従う Sequ imini |
従うこと Sequ i |
従う 主格 Sequ ens 属格 Sequ entis |
||
半 |
私が従った |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が従うだろう |
. |
汝が従え |
従うだろうこと Secut urum, |
従うだろう Secut urus, a, |
||
過 |
私が従った |
|
. |
従ったこと Secut um, -am, |
従った SECUT US, A, |
||
大 |
私がすでに従った |
|
. |
. |
目的分詞 |
||
先 |
私が従っただろう |
. |
. |
. |
. |
注意 -- 不定法命題において事実に反対することは Secuturum, -am, -um "fuisse" によって表わされる。
動詞的中性名詞
属格 Sequ endi, 従うことの。
(与格) Sequ endo, 従うに。
対格 (ad)Sequ endum, 従うために。
奪格 Sequ endo, 従うことによって。
動詞的形容詞
従えるべき Sequ endus, a, um
p.55
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私が忍ぶ |
|
汝が忍ぶ Pat ere 汝らが忍ぶ Pat imini |
忍ぶこと Pat i |
忍ぶ 主格 Pat i ens 属格 Pat i entis |
||
半 |
私が従った |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私が忍ぶだろう |
. |
汝が従え |
忍ぶだろうこと Pass urum, |
忍ぶだろう Pass urus, a, |
||
過 |
私が従った |
|
. |
従ったこと Pass um, -am, |
従った Pass US, A, |
||
大 |
私がすでに従った |
|
. |
. |
目的分詞 |
||
先 |
私が従っただろう |
. |
. |
. |
. |
注意 -- 不定法命題において事実に反対することは Pass urum, -am, -um "fuisse" によって表わされる。
動詞的中性名詞
属格 Pat i endi, 忍ぶことの。
(与格) Pat i endo, 忍ぶに。
対格 (ad)Pat i endum, 忍ぶために。
奪格 Pat i endo, 忍ぶことによって。
動詞的形容詞
忍ばるべき Pat i endus, a, um
p.56
|
直説法 |
接続法 |
命令法 |
不定法 |
分 詞 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私がへつらう |
|
汝がへつらえよ Bland ire 汝らがへつらえよ Bland imini |
へつらうこと Bland iri |
へつらう 主格 Bland iens 属格 Bland ientis |
||
半 |
私が従った |
|
. |
. |
. |
||
未 |
私がへつらうだろう |
. |
汝がへつらえよ |
へつらうだろうこと Blandit urum, |
へつらうだろう Blandit urus, a, |
||
過 |
私がへつらった |
|
. |
へつらったこと Blandit um, -am, |
へつらった BLANDIT US, A, |
||
大 |
私がすでにへつらった |
|
. |
. |
目的分詞 |
||
先 |
私がへつらっただろう |
. |
. |
. |
. |
Oriri(第四活用)起こるには第三活用のいくつかの形がある。
直説法現在 orior, oreris, oritur, orimur, orimini, oriuntur
命令法 orere, orimini
接続法半過去 orerer または orirer (転化した形容詞 oriundus から生まれた)
動詞的中性名詞
属格 Bland iendi, へつらうことの。
(与格) Bland iendo, へつらうに。
対格 (ad)Bland iendum, へつらうために。
奪格 Bland iendo, へつらうことによって。
動詞的形容詞
Blandior 自動詞であるから、非人称的用法以外には、動詞的形容詞をもたない。
p.57
半形式受動詞
129. 半形式受動詞とは直説法現在および目的分詞の組の時称において能動形をとり、過去の組の時称において受動形をとる動詞である。例えば、
|
|
|
(過 去) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
audeo, es |
audere, |
敢えてする、 |
ausus sum |
I -- 不規則動詞
130. 不規則形動詞とは時称あるいは人称の構成において普通の規則によらない動詞または別個の語根からの基本時称をもつる動詞である。その主なものは次のようである。
|
直説法 |
接続法 |
不定法 |
分 詞 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
現 |
私がなる(される) |
|
なること FIERI |
(無し) |
|||
半 |
私がなった |
|
. |
. |
|||
未 |
私がなるだろう |
. |
されるであろ |
. |
|||
過 |
私がなった |
|
なったこと Factum, -am, |
なされた FACTUS, A, |
|||
大 |
私がすでになった |
|
. |
||||
先 |
私がなったであろう |
. |
備考
1. この動詞には命令法も動詞的中性名詞もない。しかし受身の意味での目的分詞をもつ:factu.
2. 語根の a が残る facio の合成動詞の受身は -fio である:
patefacio, 私があらわす。
patefio, 私があらわれる。
a が i に変わった場合には -facio の合成動詞は capior のごとき受身形をとる:
conficio, 私が完了する。
conficior, 私が完了される。
動詞的形容詞
なされるべき Faciendus, a, um
なろうとする Futurus, a, um.
p. 58
|
能 動 形 |
受 動 形 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
直 |
現在 Fero Ferimus |
Feror Ferimur | |||||
接 |
現在 Feram, as...Feramus... |
Ferar, aris, Feramur | |||||
命 |
現在 Fer, Ferte |
Ferre, Ferimini Ferre, Ferimini | |||||
不 |
現在 Ferre |
Ferri | |||||
分 |
現在 Ferens |
--- | |||||
. |
目的分詞 Latum |
Latu |
動詞的形容詞 能動形 ---
受動形 Ferendus, a, um
Fero の合成動詞はこの範例に従って活用する。その主なものは次の通りである。
Affero, attuli, allatum, 持って来る。
Aufero, abstuli, ablatum, 持って行く、ひきづる、奪い取る。
Confero, contuli, collatum, 集める、合わせる、比べる。
Defero, detuli, delatum, 譲る、告発する。
Differo, distuli, dilatum, 散らす、違う、延ばす。
Effero, extuli, elatum, 外へ持って行く、上げる、公表する。
Infero, intuli, ellatum, 中へ(上に対して)持って行く、宣する(戦いを)。
Offero, obtuli, oblatum, 捧げる、表わす。
Refero, rettuli, relatum, 返す、持って来る。
Suffero, sustuli, sublatum, 忍ぶ。
p. 59
|
VELLE |
NOLLE |
MALLE |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
直 |
現在 Volo, Volumus |
Nolo, Nolumus |
Malo, Malumus | ||||
接 |
現在 Velim, is... |
Nolim, is... |
Malim... | ||||
命 |
現在--- |
Noli, Nolite Nolito, Nolitote |
. | ||||
不 |
現在 Malle |
Nolle |
Malle | ||||
分 |
現在 Volens(形容詞) |
Nolens(形容詞) |
. |
注意 -- I. -- Nolo は non volo(昔は ne volo)の代わりであり、malo は mage(magisの省略形)volo の代わりである。
II. -- Nolle の動詞のみ命令法がある。この命令法は第二人称の禁止において使うことができる。その時は不定法現在を伴う。例:oli existimare, 汝は考えるな、Nolite existimare, 汝らは考えるな。
III. -- Volens と nolens とは特に形容詞として用いられる。またそれらを分詞として使う代わりに cum vellem 等、 cum nollem 等を用いる。
IV. -- これらの三つの動詞は動詞的中性名詞と目的分詞とを持たない。
p. 60
直 |
現在 Eo, Imus | ||||||||
接 |
現在 Eam..., Eamus | ||||||||
命 |
現在 I(単数、二人称)、 Ite(複数、二人称) | ||||||||
不 |
現在 Ire | ||||||||
分 |
現在 Iens, 属格 euntis | ||||||||
. |
動詞的中性名詞 Eundi, -do, -dum | ||||||||
. |
目的分詞 Itum(Itu) |
備考:
Ire の語根は i である。この i は o, a, u の前では e に変化する。
過去あるいは過去から転化した時称においては v のない形がむしろ使用されている。 ire の合成動詞においても同様である。queo, 私が出来る、nequeo, 私が出来ないは eo のように活用するが、命令法、分詞、動詞的中性名詞、目的分詞はない。これらの動詞は古典的散文ではいくつかの表現句以外にはあまり使われない。
Eo と多くの eo の合成動詞は自動詞である。それゆえ受身は非人称としてしか用いられない:例えば itur, 人が行く, itum est, 人が行った;eundum erit, 行くべきであろう 等である。
他動詞たるものは受動相のすべての人称に用いることができる。例:adeo, に近づく、adeor, 人が私に近づいた。
Eo の合成動詞 多くの動詞が eo に従って活用する。その主なものは次の通りである。
Abeo, 自動詞 去る。Adeo, 他動詞 に近づく。
Exeo, 自動詞 出る。Ineo, 他動詞 始める。
Intereo, 自動詞 死ぬ。Obeo, 他動詞 冒す。
Pereo, 自動詞 なくなる。Praetereo, 他動詞 除く。
Veneo, 自動詞 売られる。Transeo, 他動詞 通過する。
① Pereo, ii(稀に vi ), peritum, perire, なくなる、なくならせるは、perdere, なくなす,の受身として用いられる。Perdere には受身の形として、受身過去分詞 Perditus がただ一つ使用される。
② Veneo, ii, ire は vendere, 売る, の受身として用いられる。この venndere は受動形としては、分詞の venditus と動詞的形容詞 vendendus にのみ用いられる。
p. 61
II -- 非人称動詞
131. 非人称動詞は直説法と接続法との単数、三人称しか持たない動詞である。それはまた、不定法にも用いられ得る。それらは四つのグループ①に列挙し得る。
1. -- 大気現象
Fulgurat, 稲妻がする。
Tonat, 雷鳴がする。
Grandinat, 雹が降る。
Gelat, 凍る。
Hiemat, 冬である。
Ningit, 雪が降る。
Pluit, 雨が降る。
Lucescit, 光り始まる。
Advesperascit, 夕方になる。
注意 -- このグループの動詞はラテン語では実際の主語を持たない。
2. -- 適合性、必然性...
Decet, 適している。
Licet, 許される。
Oportet, 必要である。
Constat, 明らかである。
Juvat, 喜ばせる。
Praestat, 方がよい。
Evenit(ut), 起こる。
Contingit(ut), 起こる。
Accidit②(ut), 起こる。
注意 -- これらの動詞の主語はラテン語の不定法または命題である。例:"Studere" decet.勉強することは適している。
3. -- いくつかの感情
Me paenitet, 私が悔やむ。
Me pudet, 私が恥じる。
Me piget, 私が怒っている。
Me taedet, 私が飽きる。
Me miseret, 私が憐れむ。
注意 -- これらの動詞の主語は、ラテン語動詞に含んでいる名詞である。例えば pudor, 恥 等。それゆえに、悔やむ、恥じる等をする人を示す名詞はこれらの動詞とと共に対格におかれる。例:"Paulum" pudet "culparum" suarum.(=Paulum culparum suarum pudor tenet、 彼の過ちの恥がパウロを抱擁する)パウロは自分の過ちを恥じる。(これらの動詞の活用にはいくつかの特徴があるので、次のページに掲げる。)
4. -- 非人称的受身
Dicitur, 言われる。
Curritur, 人が走る。
Narratur, 話されている。
Nocetur, 人が害する。
Pugnatur, 人が戦う。
注意 -- このグループの動詞はそれらの属する活用の範例に従って形成される。
現在 Pugnatur, 未来 Pugnabitur, 過去 Pugnatum est,
Dicitur, dicetur, dictum est
自動詞もこの非人称的受動形をとり得る。(n.89, n.4 参照)
これらの動詞には動詞的形容詞がある。
Credo "pugnandum" esse. 私は戦わねばならぬと思う。
① 前の二つの表に引用された動詞の他に習慣によって知られ得る多くの非人称動詞がある。
② Evenit, contingit, accidit の三つの動詞は、...が起こるを意味するが、、一般には不幸の出来事に関する時は accidit, 幸福な事件に関する時は
contingit, また、幸、不幸を明確にせず、一般的意味においては evenit が使用される。
p. 62
|
悔やむ |
恥じる |
憐れむ |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
直 |
現在 Me paenitet, Nos paenitet |
Me pud et, Nos pud et |
Me miser et, Nos miser et | ||||
接 |
現在 Me paenit eat... |
Me pud eat... |
Me miser eat... | ||||
不 |
現在 paenit ere |
Pud ere |
"Misereri" | ||||
分 |
現在 Paenit ens |
Pud ens |
"Miser ens" |
動詞的中性名詞 Paenit endi..., Pud endi..., "Miser endi..."
動詞的形容詞 Paenit endus..., Pud endus..., "Meser endus..."
注意 -- I -- Me taedet, me pertaesum est, taedere, 私が起きる、私が疲れた、私が退屈する、は me pudet のように活用するが、動詞的中性名詞をもたない。その過去分詞は pertaesus である -- Me piget, me piguit, pigere, 私が不愉快である、私が悲しい、私につらいは me paenitet のように活用するが、分詞を持たない。
II -- Me miseret は欠式動詞である。それに欠けている時称は misereor, 私が憐れむの動詞によって補われる。Misereor は属格を要求する。例:Rex miseritus est "Pauli". 王はパウロを憐れんだ。
III -- Pudens, 憐れみ深い、とpudendus, 恥ずべきの分詞は形容詞的にとられる。
IV -- これら五つの非人称動詞の動作する人の名詞(または代名詞)は対格におかれることを忘れてはならぬ。すなわち、"eam" paenitet; "eas" paenitet;"hos pueros" paenitet.
V -- これら五つの非人称動詞に伴う動詞は、動詞的中性名詞の属格にではなく、不定法におかれる。例:Me pudet "dicere".私は言うのを恥じる。
p. 63
III -- 欠式動詞
132. 欠式動詞とはある法の時称あるいは人称の欠けた動詞を言う。その主なものは次の通りである。
|
MEMINISSE |
ODISSE |
COEPISSE |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
直 |
過去 私が記憶する |
私が嫌う |
私が始めた | ||||
接 |
過去 Memin erim |
Od erim |
Coep erim | ||||
命 |
汝が記憶せよ |
(なし) |
(なし) |
注意 -- 1. Novi, 私は知るもこのように活用する。
2. 欠けている時称を補うためにrecordari, 記憶する;odio habere, 嫌う;incipere, 始める;cognoscere, 知る,を用いる。
3. Memini, odiおよび novi の過去形は現在の意味を持ち、大過去は半過去の意味を、先立未来は未来の意味を持つ。何となれば memini, 私の記憶の中においたの意より私が記憶するであり、 odi は反対の立場をとったより私が嫌うの意、 novi は私が学んだより知るとなったのである。
4. Coepi と desii(desino, 止める,より)とは受身不定法(非人称的でも)と共に用いられる受身の過去形を持つ。例:Coeptus est caedi, 彼は打たれ始めた。
5. Coepi と odi は未来分詞 coepturus, 始めようとしている, osurus, 嫌おうとしている,を有する -- 過去形は osus sum, 私が嫌った,であり、古典的ではない。また過去分詞 osus, 嫌った,は稀にある。-- 受動形嫌われるは esse in odio で表わされる。しかし過去分詞は osus である。
p.64
2. -- ESSE, 食べる
Edere, 食べる,の動詞は能相および受相にも規則的であり、(edo, is, edi, esum), これは legere のように活用する。しかし規則的活用以外にも、この動詞は es によって始まる sum の人称と時称とに似た欠式活用をもつ。
直説法現在 |
接続法半過去 |
命令法 |
不定法 |
---|---|---|---|
Es(または edis) |
Essem(または ederem) |
Es(esto)(または ede) |
Esse |
|
A I O |
I N Q U A M |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
直 |
現在 半過去 Aiebam Aiebas Aiebat etc. 過去 . Aisti(稀に使われる) Ait . 未来 . . . . |
現在 半過去 . . Inquiebat . 過去 . Inquisti Inquit . 未来 . Inquies Inquiet . | |||||
命 |
現在 Ai, 汝が言え |
. | |||||
分 |
現在 |
. |
単数 |
複数 |
表現句 |
Ave,今日は! さようなら! |
Avete, |
Salvete te jubeo; |
---|
Cedo,さあ! やれ! |
Quaeso,何とぞお願いします。 |
p. 65
第五章 -- 副 詞
副詞は主に動詞①に加えられて、その意味を限定する不変化語である。副詞にはいろいろの種類がある。
1. 場所の副詞
|
UBI?の質問は |
QUO?の質問は |
UNDE?の質問は |
QUA?の質問は |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|
疑 |
Ubi? どこに? |
Quo? どこへ? |
Unde? どこから? |
Qua? どこを通って? | |||
指 |
Ibi, |
Eo, |
Inde, |
Ea, | |||
関 |
Ubi, |
Quo, |
Unde, |
Qua, | |||
不 |
Alicubi, |
Aliquo, |
Alicunde, |
Aliqua, |
① 副詞はまた形容詞、品質を示す名詞、あるいは他の副詞を修飾することもある。
例:Vere pius; vere pater; paulo post.
真に敬虔な; 真に父らしい; 少し後。
p. 66
2. -- 時間の副詞
I Quando? いつ? |
Hodie, 今日 Mane, Meridie, 正午(に) Interdiu, 昼間(に) Vespere, 夕方(に) Noctu, 夜(に) Noctu diuque, 昼夜(に) Heri, 昨日 Cras, 明日 Perendie, 明後日 Pridie, 前日 Postridie, 翌日 Propediem, もうすぐ Quotidie, 毎日 Nondum, まだ...ない Adhuc, まで、今まで、なお Brevi, 近いうちに Deinde, それから Modo, ちょっと前に Mox, やがて Hic, 今 Repente, 突然 Cito, 早く Jam, ちょっと前(過去) 今(現在) 今後(未来) Jam...non, も...ない |
Olim, 昔、他日 Aliquando, 時々 Quondam, 昔、時々 Alias, また Nunc, 今 Nunquam, 決して...ない Nuper, 最近 Saepe,① しばしば Semper, 常に Quotannis, 毎年 Simul, 同時に Tandem, 終に Denique,② 終に Tunc, tum, 当時 Statim, 直ちに、すぐに Illico, 直ちに、たちまちに Extemplo, 直ちに、たちまちに Protinus, 直ちに、すぐに Confestim, 直ちに、すぐに Invicem, 互いに Plerumque, ほとんど、いつも Primum, まず Iterum, 再び Rursus, なおまた(過去) Raro, 稀に Interea, その間に Demum, 遂に |
---|
II Quamdiu? どれだけの間? |
Diu,③ 永らく Jamdiu, Tamdiu, それほど長く Quamdiu, ...ほど長く |
Aliquandiu, ある期間 Parumper, ちょっとだけの間 Paulisper, 少しの間 Tantisper, それくらいの間 |
---|
III Quamdudum? からどれほど? |
Dudum, ずっと前からく Jamdudum, ずっと前から Pridem, ずっと前 Jampridem, ずっと前 |
Nudius tertius, 三日前から Nudius quartus, 四日前から Heri nudius quintus, 昨日から五日前 . |
---|
① Saepe には比較級 saepius, 最上級 saepissime がある。
② Denique は列挙の最後のものを指示し、tandem は期待の実現を告げる。
③ Diu には、比較級 diutius, 最上級 diutissime がある。
p. 67
3. -- 疑問副詞
Cur? Quare? Quid? なぜ? く Quomodo? いかに? Quorsum, 何の役に立つか? |
Quosque?, いつまで? -ne? か? An? num? ...か? |
---|
4. -- 否定副詞
Non, いいえ, ...ない Haud, ...ない Nec...nec, ...も...もない |
Minime, ちっとも...ない Nequaquam, 少しも...ない Ne...quidem, ...さえ...ない |
---|
5. -- 肯定副詞
Et, vel, ...もまた Ita, etiam, かくて、は、もまた Certe, 少なくとも Quidem, equidem, 実際に Quin etiam, それにもまして |
Profecto, 確かに Sane, certo, 確かに Immo, これに加え Utique, もちろん Demum, ちょうど |
---|
6. -- 量の副詞
Multus, 多く Parum, 少なく、あまり少なく Paulum, 少しく Magis, plus, いっそう |
Minus, より少なく Nimis, あまり Satis, 十分に Tantum, それほど |
---|
7. -- 方法の副詞
方法の副詞 quomodo? いかに? の質問に答え、ほとんどみな形容詞または分詞から転化し、次のごとく構成される。 1. -- -us と -er とに終わる第一類の形容詞においては、単数、属格の i を長い e ①に変える。 Doctus, 博学の、属格 docti, 副詞 docte, 博学に。 Liber, 自由の、 属格 liberi, 副詞 libere, 自由に。 2. -- -ans と -ens とに終わらない第二類の形容詞においては、単数、属格の is を -iter ②に変える。 3. -- -ans と -ens とに終わる形容詞においては、単数、属格の is を -er に変える。 |
---|
① 例外:bonus は bone になる。(語尾の e は短い;malus, 悪い,からの male, 悪く,の語尾の e も短い)。 ② 例外:audax, audacis, 勇敢な、横柄な,は audacter, 勇敢に, 横柄に,に、solers, solertis, 巧みな,は sorerter, 巧みに,になる;facilis, recens は単数、中性の対格と同形の副詞を有する:facile, recens.
p.68
第六章 -- 前 置 詞
135. 前置詞は名詞、代名詞、動詞の前に置かれ、それらと他の語との関係を示す不変化詞である。
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
Ad① |
場所の |
において |
Ad Zamam vicerunt.彼らはザマにおいて勝った。 |
. |
時間の |
まで |
Ad noctem pugnare.夜まで戦う。 |
. |
以外の |
に従って |
Ad nutum alicuius.ある人の意思に従って。 |
Adversus, |
場所の |
の正面に |
Adversus castra consistere.陣営の正面に止る。 |
Ante. |
場所の |
の前に |
Ante oculos ponere.眼前に置く。 |
Apud. |
場所の |
において |
Apud Zamam vicerunt.彼らはザマにおいて勝利を得た。 |
. |
以外の |
の作品中に |
Apud Livium legimus.われわれはリヴィウスの作品中に読む。 |
① Ad は数詞の前において副詞となり得るが、その時、格には影響がない:ad mille "ducenti" homies,約二千人の人々。
p.69
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
Circa, |
場所の |
の周りに |
Circa forum erant.彼らは広場の周りにいた。 |
. |
時間の |
ころ |
Circa eamdem horam advenit.彼は同じころ到着した。 |
. |
以外の |
約(数と共に) |
Circa ducentos occidit.彼は約百人殺した。 |
Cis, |
場所の |
の手前に |
Cis Taurum habitat.タウルス山の手前に住む。 |
. |
時間の |
前 |
Cis paucos dies veniet.彼は数日経たない前に来るだろう。 |
. |
以外の(詩的) |
までなく |
Citra scelus.罪を犯すほどまでなく。 |
Contra. |
場所の |
の眞向に |
Contra Galliam.ガリヤの眞向うに。 |
. |
以外の |
に反して |
Contra spem sperare.希望に反して望む。 |
Erga. |
-- |
に対して |
Bonitas erga homines.人々に対しての善良さ。 |
Extra. |
場所の |
の外に |
Extra provinciam esse.州の外にいる。 |
. |
以外の |
を除いて、の外 |
Omnes, extra ducem.将軍を除いてすべて。 |
Infra. |
場所の |
の下に |
Infra frontem.額の下に。 |
. |
時間の |
後に |
Infra Lycurgum fuit.彼はリクルグスの後に生きた。 |
Inter. |
場所の |
の間に後に |
Inter Galliam et Hispaniam.ガリヤとイスパニアの間に。 |
. |
時間の |
の間 |
Inter noctem.夜の間。 |
① 以下の表現句に注意すべきである:inter paucos disertus, 少数の人が到達し得た雄弁家; clades inter paucas memorata, ほとんど例のないほどの記憶さるべき敗北。
p.70
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
Intra. |
場所の |
の中に |
Intra parietes meos.私の部屋の中に。 |
. |
時間の |
前に |
Intra vicesimum annum.二十歳前に。 |
Juxta.① |
場所の |
の近くに |
Juxta muros ponere castra.城壁の側に陣営を布く。 |
. |
時間の |
頃 |
Juxta finem vitae.生命の終期に。 |
. |
以外の② |
に基づいて |
Juxta legem Romanam.ローマに基づいて。 |
Ob. |
場所の |
前に |
Ob oculos ponere.眼前に置く。 |
. |
以外の |
ために |
Ob eam causam.その理由で。 |
Penes. |
-- |
の手に |
Penes consulem erat.それは執政官の権限内にあった。 |
Per. |
場所の |
を通って |
Per membranas cernere.膜を通して見る。 |
. |
時間の |
の間 |
Per totum diem dormire.一日中眠る。 |
. |
以外の |
の仲介で |
Per exploratores scire.探検家によって知る。 |
Pone. |
場所の |
の後に |
Pone portam collocare.戸の後ろに置く。 |
Post. |
時間の |
後に |
Post Brutum consulens.ブルートゥス執政官時代後。 |
Praeter. |
場所の |
前に |
Praeter castra manere.陣営の前に止まる。 |
. |
以外の |
の外に |
Praeter ducem, decem erant.頭の外に十名あった。 |
① 古典時代においては juxta は場所の関係にのみ用いられた。
② これは凋落時代の用法である。
p. 71
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
Prope. |
場所の |
の側に |
Prope Romam esse.ローマの近くにいる。 |
Propter. |
場所の |
の側で |
Propter Platonis statum.プラトンの像の傍で。 |
. |
以外の |
の理由で |
Propter dolorem.苦しみのために。 |
Secundum. |
時間の |
に沿うて |
Iter secundum mare facere.海岸に沿うて進む。 |
. |
時間の |
の後 |
Secundum vindemiam.ぶどうの収穫の後に。 |
. |
以外の |
に従って |
Secundum naturam vivere.自然に従って生活する。 |
Supra. |
場所の |
の上に |
Supra delphinum sedens.イルカの上に坐って。 |
. |
時間の |
の前 |
Supra hanc memoriam.われわれの時代の前。 |
. |
以外の |
以上 |
Supra centum homines.百人以上。 |
Trans, |
場所の |
の向こう側で |
Trans Rhenum vivere.ラインの向こう側で生活する。 |
. |
時間の |
の後 |
Ultra pueriles annos.幼年時代の後。 |
. |
以外の |
...以上に |
Ultra modum.過度に。 |
Versus.① |
場所の |
の方へ |
Romam versus iter facere.ローマの方へ進む。 |
① Versus は支配される語の後に置かれる(n. 137 参照)。それはしばしば前置詞 in あるいは ad を伴う:in forum versus, 広場の方へ; ad Oceanum versus, 大西洋側へ。
p.72
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
A, |
場所の |
から |
A signo Platonis venire.プラトンの像から来る。 |
. |
時間の |
から、より |
A principio; a pueritia.始めから; 幼少の時より |
. |
以外の |
に従って |
Ab insignibus cognovit.彼は旗によって認めた。 |
Coram. |
場所の |
の前に |
Coram aliquo.誰かの前に。 |
Cum. |
場所の |
と共に |
Habitare cum patre.父と共に住む。 |
De. |
場所の |
から、の上から |
De muro se deiicere.壁から身を投げる。 |
. |
時間の |
の間に |
De mense decembri navigare.十二月の月に航行する。 |
. |
以外の |
の中に |
Homo de comitibus meis.私の同輩の中の一人の者。 |
① A は子音の前にしか用いられぬ。ab は母音の前に常に使用されるが、b, p. m, v を除いて子音の前にも使い得る。abs はほとんど代名詞 te の前にしか使われない。
p. 73
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
E, |
場所の |
から |
E portu exire.港より出る。 |
. |
時間の |
から |
Ex eo tempore.その時から。 |
. |
以外の |
の中に |
Delecti ex civibus.市民の中より選ばれた人々。 |
Pro. |
場所の |
の前に |
Sedens pro aede.神殿の前に坐しながら。 |
. |
以外の |
を守るために |
Pro patria mori.国を護るために死ぬ。 |
① E は子音の前にしか用いられない;ex は母音の前に常に使われるが、すべての子音の前にも使われる。
p. 74
前置詞 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|
Prae. |
場所の |
の前に |
Prae se agere.自分の前に押す。 |
. |
以外の |
に鑑み |
Prae vobis sapiens.あなたたちに比べて賢明な。 |
Sine. |
-- |
...なしに |
Sine ullo domino vivere.主人なしに生きる。 |
Tenus.② |
場所の |
まで |
Tauro tenus regnare.タウルス山まで支配する。 |
① Prae は(形または意味の)否定的の文中にこのように使用される。肯定文においての”...の理由で”はPropter または ob と対格とによって表わされる。
② Tenus はその支配される語の後に置かれる(n. 137 参照)。
前置詞 |
支配 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|---|
In. |
対格支配 |
場所の |
の中へ |
In portum accedere.港に入る。 |
. |
. |
時間の |
まで |
Dormire in lucem.明るくなるまで眠る。 |
. |
. |
以外の |
に対して |
Pietas in deos.神々に対する敬虔。 |
. |
奪格支配 |
場所の |
の中に |
In portu manere.港に留まる。 |
. |
. |
以外の |
の内で |
In decem mensibus.十ヶ月以内に。 |
p. 75
前置詞 |
支配 |
関 係 |
訳 |
例 |
---|---|---|---|---|
Sub. |
対格支配 |
場所の |
の下に(quo の質問) |
Sub jugum mittere.軛の下を通らせる。 |
. |
. |
時間の |
頃 |
Sub lucem.夜明け頃。 |
. |
. |
以外の |
の下に(動き) |
Sub dicionem cadere.権力の下に屈する。 |
. |
奪格支配 |
場所の |
の下に(ubi の質問) |
Sub terra vivere.地下に生活する。 |
. |
. |
時間の |
のちょうどその時 |
Sub ipsa profectione.出発の間際に。 |
. |
. |
以外の |
の下に(動きなし) |
Sub regno esse.権力下にある。 |
① 他の一つの前置詞 super, の上に、の上の方に、の頂上には散文において対格を支配する:Super theatrum consistere, 劇場の上に止まる。
136. 前置詞名詞 -- 奪格 causa, の目的で、の理由で、の利益に、の為に;gratia, のためにおよび loco, のために、は属格と共に前置詞のごとく使用され、”その支配された語の後”に置かれる。
例:"Rei publicae causa" id faciam.私はそれを国家のために為そう。
137. 前置詞の位置--
一般規則 前置詞は普通その補語の”前 に”おかれる。 "Prae moerore" loqui non poterat. 悲しみのために彼は語ることができ なかった。 . |
例外 1) Versus と tenus とは常に補語の”後に”お かれる(71 および 74 ページ参照)。 2) Cum は me, te, se, nobis, vobis の後に常 に、または quo, qua, quibus の関係代名詞に一般に附 加される。 例:Mecus, 私と共に;quibuscum, 彼らと共に ...するところの人々。 |
|
---|---|---|
① 前置詞とその保護との間に属格あるいは副詞を挿入することもある:pro "Manlii" domo, |
138. 前置詞の使用 -- ラテン語ではしばしば前置詞なしに格の関係だけで、その意味を示すことがある。従って、フランス語、英語等より前置詞の使用される場合が少ない。
p.76
直 接 補 語
139. 定義 -- 動詞の直接補語は他動詞の意味を補足するもので、前置詞なしの対格に置かれる語である。それは誰を? 何を? の質問に答える。
間 接 補 語
140. 定義 -- 間接補語とは動作の利害を受ける人または事物を示す語である。それは誰に? 誰のために? 誰の利益のために? 誰の不利のために? 誰の不利益のために? の質問に答えるものである。
141. 規則 -- ラテン語では間接補語は前置詞なしに与格に置く。
例:Rosius praedia coluit "aliis", non "sibi".
ロシウスは土地を自分のためにではなく、他の人たちの利益のために耕した。
場所の状況補語
142. 定義 -- 場所の状況補語はubi? どこに? quo? どこへ? unde? どこから? qua? どこを通って? の四つの質問に答える語である。
1)いる処 |
中にいるならば |
in と奪格 |
Sum "in urbe", "in Italia". |
2)行く処 |
中へ行くならば |
in と対格 |
Eo "in urbem". |
3)去る処 |
中から来るならば |
e あるいは ex と奪格 |
Rdeo "ex urbe". |
4)通る処 |
-- |
per と対格 |
Iter faciam "per Britanniam". |
他の状況補語
144. 他の状況補語は時間、原因、道具を示す語である。
格 |
状況 |
例 |
前置詞なしの奪格 |
a)時間 |
a)Viniet "hieme".)彼は冬に来るだろう。 |
p. 77
第七章 -- 接 続 詞
145. ラテン語には対等接続詞と隷属接続詞とがある。
対等接続詞とは二つの相似た命題あるいは同じ命題における二つの相似た部分を結ぶもので、隷属接続詞は主文に附属文を結びつけるものである。-- 隷属接続詞のみが法を支配することができる。
連 結 選 択 理 由 |
対 立 結 果 |
|
備 考
① Ac は母音の前にも、無音の h の前にも置かれない。 |
146. 注意 -- 二つ以上の語を含む列挙において:
a) 各語の間に et を繰り返すことができる:dies et menses et anni;
b) 最後の語の後に -que を附加することができる:dies, menses annique;
c) まったく接続詞を省き得る。その場合接続詞の代わりに( , )を置く:dies, menses, anni.
p. 78
意 義 |
接続詞 |
被支配法 |
訳 |
|||||||
補足 |
Ut, uti, |
接続法 |
...ということを(は)。 | |||||||
目的 |
Ut, quo, |
接続法 |
ように, ために。 |
|||||||
結果 |
Ut, |
接続法 |
ほど。 |
|||||||
時間 |
Ut, ut, |
直説法 |
時, や否や。 |
|||||||
理由 |
Quia, quod, |
直説法 |
から, ために。 |
|||||||
条件 |
Si, |
直接法,接続法 |
ならば。 |
|||||||
譲歩 |
Quanquam, |
直接法 |
にもかかわらず, にしても。 | |||||||
比較 |
Quam, |
直接法 |
より, ほど。 | |||||||
対立 |
Nedum, |
接続法 |
というよりもむしろ。 |
p.79
147. 時間の附属文 --- 148. 理由の附属文(から, ゆえに, ので)は |
① 学習者が最もよく使用される接続詞に慣れるように、ここにこれらの概念を記す。文章論にはさらに詳細に附属文の規則を説明することにする。
p. 80
149. 設若文 -- Si で始まる附属文は条件文と言い、条件の結果を示す主文は結題と言う。設若文は結題と条件文とより成る文章である。条件文と結題との二つの動詞はたいてい同じ法、時称に置かれる。
1)現在または過去のことを示す設若文の動詞は次の法、時称に置かれる。
直説法の適当な時称① 条件が真に成立する時(si=quia) または条件が成立するか否か明瞭でな い時 例:Si "vis" pacem, "para" bellum.② もし汝が平和を望むならば、戦争を 準備せよ。 Si non "audivisti", "erra- visti". もし汝が聞かなかったならば、汝 は間違った。 |
接続法半過去 現在に条件が成立しない ことを示すために。 例:Si "viveret", ver- ba eius "audiretis". もし彼が生きていたなら ば、その言葉を聞くだろう に。 . . . . |
接続法大過去 過去に条件が成立しなか ったことを示すために。 例:Si dives "fuissem", te "adiuvissem". もし私が金持であったな らば、あなたを助けただろ うに。 . . . . |
① 反覆を示す設若文(si=度毎に)は常に直説法に置かれる。 例:Si "veniebat", "laetabar".彼が来る度毎に、私は喜んでいた ② 時として結題は命令法である。 ③ しかしながら条件文が過去のことを示し、結題が現在のことを示すならば、条件文に大過去、結題に半過去を用いる。例:Si has inimicitias cavere "potuisset", veveret.彼はもしこの怨みを免れることが出来たならば、今なお生きているだろうに。 |
2. 未来のことを示す設若文の動詞は次の法、時称に置かれる。
直説法① 単純未来② 単なる条件と結果との関係を示すために。 例:Hunc librum si "leges",lae- tabor".もしあなたがこの本を読むならば、 私は喜ぶだろう。 . . |
接続法現在 条件が成立する可能性が少ないこと、またはそ れについて、何ほどかの望み、恐れを示すために。 例:Si obsides mihi "dentur", pa- cem "faciam". もし人質が私に与え られるならば、私は平和を結ぶけれど。 |
|
① 命令法は以後になすべきことについてであるから、時としてそれを伴う条件文を未来(単 純あるは先立)にする。 例:Defendite castra, si quid durius "acciderit". もし戦況が悪化すれば、陣営を守れ。 ② 条件文の動詞は結題の動詞の前の動作を示す時には、先立未来に置かれる。 例:Si "moratus eris", medicum iam non poteris offendere. もしもあなたが遅れるならば、医者に会うことが出来ないであろう |
p. 81
150. 目的附属文 -- ために, ように,は ut と接続法とによって訳される。
現 在 主動詞が現在または未来であるならば、 例:Labora, ut te tui parentes "di- ligant". 汝の親たちが汝を愛するように働け。 |
半 過 去 主動詞が過去のことを示すならば、 例:Cincinnatum abduxerunt, ut dic- tator "esset".彼らはチンチナツスを独 裁者にするために無理に連れて来た。 |
第八章 -- 間 投 詞
151. 間投詞は呼びかけまたは種々の感情を表わす不変化語である。
次にいくつかの間投詞をその使用法とともに挙げる。他のものは辞書または習慣によって知られる①。
格 |
間投詞 |
例 |
||||||||
主 格 |
O |
O servandus civis! 何と救いに値する国民! | ||||||||
呼 格 |
O |
O Romule! おー, ロムルスよ! |
||||||||
与 格 |
Hei, ei |
Ei mihi! ああ, 私に悲しいかな! | ||||||||
対 格 |
O |
O fortunatos agricolas! 何と幸運な農夫! | ||||||||
奪 格 |
Macte |
Macte animo!さあ、元気で! |
① 自己の言うことに力を入れる場合に、ローマ人が用いた表現語を間投詞にしてもよい:男は Hercule! mehercule! mehercle! hercle! ヘルキュールに誓って!女は Ecastor! mecastor! カストルに誓って!を用いた。Pol! edepol! ポルックスに誓って!は男女共に用いられた。
以上 第一部終わり
参考文献:
初等ラテン語文典 Latinae Grammaticae Rudimenta, 田中秀央著、研究社、 1954
初級ラテン語入門 Elementa Linguae Latinae, 有田 潤著、白水社、1964
Gildersleeve's Latin Grammar, Third Edition revised and enlarged, by B. L. Gildersleeve and Gonzalz Lodge, London, Macmillan & Co, 1960
羅和辞典 Lexicon Latino-Japonicum, 田中秀央著、研究社、1957
Macmillan's Elementary Latin-English Dictionary, G. H. Nall、Macmillan、1960
An Elementary Latin Dictionary, by Charlton T. Lewis, Oxford at the Clarendon Press, 1966
Oxford Latin Dictionary, P.G. W. Glare、Oxford at the Clarendon Press、1982
作成日:2004/08/03
最終更新日:2004/09/10