ファチマの聖母マリア

熊に催眠術をかけられて:ソビエトの大きな欺瞞

The Fatima Crusader, Isuue 31/32: March-May 1990より

この論考はドナルド・S.マックアルヴァニー(Donald S. McAlvany)が編集者をしているThe McAlvany Intelligence Advisor1989年12月号から取られている。「私としては、それが精神の苦悶をどれほど必要としようとも、真理全体を知り、最悪のことを知り、そのために準備したいと心から願っている。」--パトリック・ヘンリー(Patrick Henry)、1776年。

「アメリカにとって当面の問題は確かに共産主義ではなくて、ソビエト権力である。USSRはこれまでに召集した最も強力な軍事体制を、偽情報の巨大な体系、積極的な方策、そして影響力をもった実行機関--それらすべてはソビエトの人間たちに意のままに世界の世論を操作することを許している--と協力して、掌握している。今日、ソビエト連邦においては共産主義イデオロギーは長い間死んでいた。しかし巨大なソビエト軍事体制は無傷のままであり、行動へと向けられている。」アルバート・ジョリス(Albert Jolis)、アメリカ国際レジスタンス財団、執行部理事(11/89)

「あなたの強さの頂点にあるとき、弱さの振りをせよ。」孫子。

合衆国共産党はこれまで以上に大きな影響力を持っている。なぜなら、われわれはUSSRがもはやアメリカに脅威ではないという雰囲気を創り出したからである。」ガス・ホール(Gus Hall)アメリカ合衆国共産党書記長、ニューヨーク・タイムズとのインタビューの中で。(ホールは2万人の党員と50万人のシンパがいると主張している。)

序論

「加速要因」*を考えるならば、ヨーロッパにおける、そして東と西との間、そしてアメリカとロシアとの間の現在の展開を見るとき、一つの時間のひずみ[SFで言う時・空間の移動]にいるように感じる。冷戦と共産主義は死んだと公式に宣言された。NATO同盟がそうであるのと同じように、東ヨーロッパは解体しているように見える。そしてゴルバチョフとブッシュはわれわれの新しいパートナーシップ、われわれの共通の諸目標の融合、そして新世界秩序について話し合っている。世界平和と兄弟愛はついに達成されたのか? MIAのこの論考は諸々の出来事のこの地滑りを分析し、いくつかの結論を引き出すよう試みるつもりである。

*この号の20ページの加速要因を見よ。[この論考の最後にある=訳者]

MIA=McAlvany Intelligence Advisor.

A.世界征服のためのソビエトの戦略

ソビエトの人間たちは10−20手(あるいは年)先を前もって考え、戦略的な陽動作戦、欺瞞、ごまかしを用いることを地勢戦略的に学んできた世界のチェス・チャンピオンたちであるということは決して忘れられるべきではない。エドガー・フーバー(J. Edgar Hoover)が「欺瞞の大家」と呼んだ人々は孫子やフォン・クラウゼヴィッツ(von Krauzewitz)ならびにヒットラー、毛主席、レーニンのような現代の戦略的天才たちから戦争の技術や戦略的欺瞞を学んできた。

1.ソビエトの6つのグラスノスチ--グラスノスチ/ペレストロイカの現在の時期(1921年以来6つ目)はアメリカの軍備を縮小させ、西側にソビエト連邦が経済的および産業的に増強し、困難から脱出するように助けさせ、そして西ヨーロッパを中立化し、NATOを解消するために計画されている。このグラスノスチが一つの大きな欺瞞であるということは、それを最初の5つのロシアのグラスノスチの見方において眺めればもっと容易に理解される。

グラスノスチ--もともとは知れ渡ることあるいは悪名の高さを意味したロシアの概念--はボルシェヴィキ革命の初期の頃からソビエト政策の一つの効果的な道具となった。エドワード・ジェイ・エプスタイン(Edward Jay Epstein)が彼の有名な著作『欺瞞』において書いたように、「グラスノスチは最初レーニンによって用いられた。彼は権力は他の人々に彼らの意志決定のためのプライバシーのベールを否定することから生じたということを理解した。それゆえ、グラスノスチあるいは「公的な開陳」が共産党のための一つの武器となった。...その論理は次のように進んだ:民主主義は官公吏の公的批判を許す;ソビエト連邦は官公吏の公的批判を許す;それゆえに、ソビエト連邦は民主主義である...」

「グラスノスチは、さもなければ共産党の代弁者と考えられるであろう政府によって統制された諸新聞に信憑性を与える。それは、ジャーナリストたち、学者たちそして他のクレムリン・ウォッチャーたちに、それを通して彼らがソビエト社会の選択された情勢を見ることができる一連の便利なのぞき穴を設定するために用いることができるであろう...レーニンは、彼の革命が西側の諸々の政府および経済界によって受け入れられるようにするために、それを何かそれではないものとして示さなければならなかった。」

第1のグラスノスチ:1921-1929--レーニンの新経済計画の下で、彼は西側の諸々の政府、企業人、そして銀行家たちに、革命は、自由市場へと戻り、政治的には自由化して、「構造改革」しつつあると説得した。大量の西側の財政的および産業的援助が9年間も流入した。グラスノスチ第1番は1929年突如終った。そして数千万人のロシア人がその後間もなく無用視された。

第2のグラスノスチ:1936-1937--スターリンは1930年代半ばに資本主義の線に沿ったソビエト経済の構造改革を示唆した(彼はそれを「ペレストロイカ」と呼んだ)。彼は、ソビエト連邦が西欧型の立憲的政府へ、言論の自由、集会の自由そして無記名投票を伴う自由選挙へ戻っていると宣言した。スターリンはソビエトの新聞において、そして次に西側の新聞において、プラグマティスト[実用主義者]として--イデオローグではなくて--(聞き慣れたものと響くか? )描かれた。ルーズベルトと他の西側の指導者たちそして企業家たちは、パブロフのベルに反応する犬のように、数10億ドルの援助、信用貸し、貿易を注入し始めた。グラスノスチ第2番は突如1938年に終わった。そして「大恐怖」として知られる残酷な追放がその直ぐ後に続いた。

第3のグラスノスチ:1941-1945--ヒットラーが1941年6月にロシアに侵入したとき、合衆国との「パートナーシップ」がスターリンによって素早く復活された。スターリンは再び、共産主義の軍事的局面は終わったと主張した。彼はコミンテルン(国際共産主義革命を広めるための一つの重要な機関)を解散した。彼は戦争の後西側から大量の物資を購入すると約束した。このことはすべて「武器貸与計画」(the Lend-Lease Program)(すなわち、ほとんど1000万ドル)を通じての大量の経済的および軍事的援助を正当化した。

ルーズベルト大統領顧問、ハリー・ホプキンズ(Harry Hopkins)は1945年ヤルタでスターリンと会った後こう書いた:「われわれは実際、これはわれわれがそれを祈って来た新しい日の夜明けであると信じた...ロシア人たちは、彼らが分別があり、先見の明がある人々であり得るということを証明した、そして大統領の心の中には、あるいはわれわれのうちの誰の心の中にも、われわれが、われわれの誰もが想像し得る限りの遠くの未来にわたって彼らと平和に生活し一緒にやって行くことができる、ということについて何の疑いもなかった。」

ソビエトがバルト3国--ラトヴィア、リトゥアニア、エストニア--ならびにポーランド、ルーマニア、プロシア、フィンランド、日本、そして東ヨーロッパの大部分を併合したとき、グラスノスチ第3番は突如終わった。1億人以上の人々が奴隷化され、そして数千万人の人々がその後に死んだ。

第4のグラスノスチ:1956-1959--1956年に、フルシチョフは経済的および政治的な諸々の改革、競争と自由市場への回帰、非スターリン化、そしてソビエト連邦における民主主義と個人の自由の回復に基づくもう一つのグラスノスチを始めた。スターリンの「個人崇拝」の終結はクルシチョフによって民主主義と等しいものとされ、そしてそのように西側のメディアで描写された。ソビエトの新聞は個人の百万長者たち、諸々の地下企業、そして繁栄している闇市についての話を公表し始めた。ロシア正教会の指導者たちは海外旅行を許された。ソルジェニーツィン(Solshenitsyn)は彼の著作を出版することを許された。ソビエト反体制派は西側新聞と接触を持つことを許された。

フルシチョフはソビエト経済の諸々の非能率な点について不満を述べた。そしてスターリンの以前の西側へのメッセージをほとんど逐語的に述べた:「もしわれわれがわれわれの人民に、あなたが資本主義体制の下であなたの人民に与えている同じ生活水準を与えることができなかったならば、われわれは共産主義が成功することができないということを知る。」聞き慣れたものと響くか? これはほとんど正確にゴルバチョフが言いそしてして来ていることである。

次に、彼のアメリカの仲介者アーマンド・ハマー(Armand Hammer)を通じて、フルシチョフは貿易、信用貸しそして援助の増加を強要し始めた。ある人々は協力的であった。しかし、グラスノスチ第1番から第3番ほど多くはなかった。グラスノスチ第4番はソビエトに後援された共産主義者によるキューバの政権奪取、アメリカU-2型機の撃墜、ソビエト反体制派の大量逮捕そしてベルリンの壁建設と共に、1959に終り始めた。

第5のグラスノスチ:1970-1975--第5のグラスノスチはレオニード・ブレジネフ(Leonid Brezhnev)によって始められたデタントであった。それは戦略兵器を制限し、相互に互恵協定を取り決め、そして内的緊張をゆるめるために提案された。ソビエトの人間たちは、彼らがなぜ世界革命という彼らの以前の目標を放棄したのかを西側における関連ある聴衆に説明するために諸問題の「公的発表」を始めた。このグラスノスチの中心的テーマは、ソビエト政府がもはやイデオローグたちによっては運営されておらず、階級闘争というレーニン主義的教説に固執することに何の関心も持たなかったテクノクラート[技術系の高級行政官=訳者]たちによって運営されているということであった。その代わりに、西側におけるテクノクラートたちと同じように、彼らは彼らの産業基盤を拡張することを望んだ。このグラスノスチの主たる目標は増大した合衆国の援助と貿易を獲得すること(彼らはそれらをニクソンとキッシンジャーの下で獲得した)、武器統制措置を始めることであった。

このグラスノスチの間に、ブレジネフは東ヨーロッパにおける共産主義諸国を喜んで彼ら自身の西側との独立した関係に従わさせるように見えた。彼は東ヨーロッパにおけるソビエト軍の一方的部隊削減を告知した。1973年の対弾道ミサイル条約はブレジネフのこのグラスノスチからのトロフィーの一つであった。キッシンジャーに対するロシアの約束に違反してソビエトに後援された北ベトナムが南ベトナムを侵略した1975年にグラスノスチ第5番はその信憑性を失い始めた。次の数カ年にわたって、広範なソビエト反体制派の人々の逮捕、海外での秘密の作戦の続行、ロシアによる1979年後半のアフガニスタン侵略はこのグラスノスチの信用を失わせた。

第6のグラスノスチ:1985-?--これはゴルバチョフの下で始められた。そしてそれはその5つの先行するグラスノスチのどれよりも大きく、よりよくそしてより洗練されたものであるけれども、最初の5つのグラスノスチの一つの混合において始められた。そしてその振動は遙かに大きい--西ヨーロッパそしておそらく全世界の。

(編集者注:)グラスノスチ第6番は1983年にユーリ・アンドロポフ(Yuri Andropov)の下で始まるように想定されていた。彼はKGBの残忍な15年にわたる長であった。彼はソビエトの偽情報および西側のメディアによって「背が高く、ハンサム、男らしい、英語を話すロシア人、アメリカの背広を着用し、アメリカのスコッチを飲み、クラシック音楽を聴く人間、等々」として--簡単に言って、われわれとまったく同じ誰かとして(聞き慣れたものと響くか? )描写された 。摂理的に、アンドロポフは1983年に腎臓病で死んだ。そしてグラスノスチ第6番は、アンドロポフの被後見人であるミハイル・ゴルバチョフが権力の座に連れて来られることができた1985年まで待たなければならなかった。しかしながら、現在のグラスノスチ第6番のシナリオはアンドロポフと彼のKGBの仲間たちによって書き上げられたということは記憶されているべき事柄である。それが、アンドロポフ以来の最も冷酷な強硬派であるウラディーミル・クリュチコフ(Vladimir Kryuchkov)将軍がなぜKGBの長に上げられたか、その理由である。グラスノスチ第6番はKGBによって完全に画策されている。)

これら6つのグラスノスチの各々はKGBおよび他の戦略計画立案者たちによって、西側に大量の経済援助を提供させ、そして軍縮させるために周到に書き上げられた戦略的欺瞞であった。歴史はこれらのグラスノスチの各々の後にソビエトの人間たちが、--大量殺人、追放、世界革命、陰謀、諸国の征服、暗殺、等々を作り上げるために元の姿に戻ったということを示している。実際、1961年(グラスノスチ第4番が終わって間もない)以来、21以上の国々がソビエトが後援したクーデタ、革命、あるいは民族解放の戦争に陥落した。西側は5度欺かれてきた。しかしゴルバチョフの現在の欺瞞はすべてのうちで最も大きく最も危険なものである。

2.ゴルバチョフの現在の戦略--ゴルバチョフおよび彼の優秀なKGB脚本作家たちそして軍の立案者たちは東のブロック衛星諸国に対する「名目的」支配を西ヨーロッパの中立化およびNATO軍事同盟の破壊--ヨーロッパ・チェス盤の一つの分け前調整--と交換することに決定した。ゴルバチョフと彼のクレムリン立案者たちは統制を失わなかった(事実、ゴルバチョフはレーニンあるいはスターリン以来のどのロシア指導者たちよりも大きな権力を持っている。)うまく書かれた脚本は彼が統制を失ったという見せかけを求めている。事実、ソビエト軍と秘密警察は東ヨーロッパ衛星諸国のすべてにおいて今なお無傷のままである。(すなわち、東ドイツだけで38万のソビエト軍がいる。)そしてソビエトKGBおよび軍--それは今日しっかりとソビエト連邦の統制の下ある--は両者とも、彼らがソビエト72年の歴史のなかでかつてそうであったよりもずっと強力である。しかしながら、脚本はアメリカと西ヨーロッパに東ヨーロッパの財政的負担を引き継ぐことが許されるよう求めている。

東ドイツは再統一されるようになるであろう。西ヨーロッパは中立的になろうとしている。NATOは崩壊するであろう。東西ヨーロッパは一つの経済的ブロックに、そしてゆくゆくは一つの政治的ブロックへと再統合されるであろう。アメリカと西側は「軽減されたソビエトの脅威」と「冷戦の終結」を考慮して大幅に軍備を縮小するであろう。アメリカは一つの統一されたそして中立的なヨーロッパから経済的にそして政治的に次第にますます孤立したものとなるであろう。ソビエトは日本との経済的な、そしておそらくいつの日にかは軍事的な同盟へと入るであろう。そして上述のすべては、世界史における最大の経済的緊急援助においてアメリカと西ヨーロッパによって支払われるであろう。

すべてのグラスノスチのうちで最も大きなそしてもっとも輝かしい戦略的欺瞞であるグラスノスチ第6番はその成り行きを辿った。ソビエトは帝国中に数百万の反体制派の名前を持つであろう。そしてこれらの人々はスターリン風、毛[沢東]風、そして天安門広場風に血なまぐさい粛正において組織的に一掃されるであろう。時に、グラスノスチ第6番の間に、あるいはその終わりにアメリカは核の恐喝のターゲット、あるいは赤い夜明けシナリオ風の徹底的な軍事攻撃のターゲットにされるであろう。

B.ソビエトは誠実であるか--それとも彼らは欺瞞の大家であるか?

「彼らは軍備を縮小し、われわれは増強する。」--ウラディーミル・レーニン。「ソビエトは『帝国主義者たち』が発見することができなかった広大なソビエト連邦中の諸々の場所にそれらを隠しながら、ミサイルと核弾頭の莫大な「保有」を隠すことを意図している。後に、それらは...ある核戦争において...発射されることができた。」--ソビエト最高会議での演説におけるニキータ・クルシチョフ(1960年1月14日)。

軍事情勢において、ペレストロイカと新しい経済的思考およびより開かれた東西貿易の下でのソビエト工業技術の近代化はわれわれの国の軍事力を増大する助けとなるであろう...ソビエトの軍縮提案はNATOの軍産複合体を『軍縮する』溶媒として働くであろう」レーニンの1917年革命記念祝賀会で話しているKGBの長、ウラディーミル・クリュチコフ将軍(1989年11月)。

「ペレストロイカはソビエトの軍事的能力と戦闘準備態勢を強めるように特別に計画されている。」1987年、ソビエト閣僚会議におけるある官吏。

1.ソビエト軍の増強--「不安定な時期のための一つの賢明な金言は:打ち殺すもの[銃=訳者]を持っている人から目を離さないことである。」−−アンジェロ・コデヴィッラ(Angelo Codevilla)。

「広く宣伝されたソビエトの削減は彼らがそうであると宣伝しているものではなくて、実際は、ソビエト軍の主要な構造改革と近代化の一部分である。合衆国諜報筋はソビエト軍が1990年代初期には今日あるよりはもっと強力なものとして現れると思っている...強いそして大きくなる証拠はソビエトの攻撃的戦略が変わらなかったということを示している。それは今なお世界支配を目指している。そしてそれについては何物も自分を守ろうとする物はない。」--『ニューヨーク・トリビューン』に書いているヘンリー・モア(Henry Mohr)少将。

「われわれはロシア人に少しばかり遅れを取っているのではない。われわれは驚くほどに彼らから遅れている...私は、われわれがぶらぶらすること、そしてアメリカ人民に嘘をつこうとすることを止めなければならない時がきたと考える。」--1982年3月5日、レーガン大統領に宛てた手紙の中で、上院議員バリー・ゴールドウォーター(Barry Goldwater)(R-AZ).

「共産主義の崩壊」、「共産主義は死んだ」、「冷戦は終わった」、等々に関する多幸感にもかかわらず、そしてゴルバチョフの軍備を縮小するという「諸々の約束」のすべてにもかかわらず、ソビエトの軍事力は不気味に増大し続けている。そしてソビエト軍隊の合衆国軍隊に対する優勢は実質的に拡がり続けている。現在の合衆国国防レポート、ジェーンズや他の国際的戦略的シンク・タンクによれば、モスクワはICBM、戦車、航空母艦、地対空ミサイルそして他の主要軍需品をますます多く生産している。

A)増大するソビエト/合衆国軍事格差--ソビエトが、ゴルバチョフのグラスノスチ/ペレストロイカの下で、軍備を縮小していると主張している一方で、彼らはソビエトの72年の権力において彼らの最大の大量軍事増強を経験した。1985年にはソビエトは通常兵力の軍隊および人的資源においてアメリカを5対1で、そして戦略核兵器において5対1でリードした。

レーガンの全8年間の「軍備増強」の間に、ソビエトは実際には主要兵器において、次のような比率で合衆国を上回って生産した:大陸間弾道ミサイル--4,5対1;対空防御ミサイル--6,5対1;爆撃機--4対1;戦車--3,5対1;大砲--8,5対1。ソビエトは核潜水艦を7週ごとに1隻建造している。彼らはバルト海における耐用年数を超えた4隻の潜水艦を保存するための大きな賞讃を受けたけれども、われわれの140隻に対して450隻の潜水艦をなお保有している。彼らは1年に16000発の地対空ミサイル・SAMを生産している。そして戦車、対戦車兵器、人的資源、化学兵器、大砲、攻撃戦闘機、ヘリコプター、ならびに戦術核および弾道ミサイル体系において圧倒的な優勢を保っている。彼らは軍縮をしているのではない--彼らは近代化しているのである!ロシアは経済的/産業的両手両足切断者であるという西側の認識にもかかわらず、ロシアの兵器生産ラインは--合衆国の兵器と同じように高品質であるが、しかしその数において巨大な--高品質の兵器を生産している。

1970年代に、ソビエトは地上にあるアメリカのミサイルを破壊するように設計されたミサイルを獲得した。それは著名な国防アナリスト、アンジェロ・コデヴィッラをして1979年に次にように結論させるものであった。「ソビエトの軍備は第2次世界大戦のような損耗を加えることなしに、第一撃でアメリカのミサイルと爆撃機の大部分を破壊し、そしてヨーロッパにおける合衆国軍を撃破するよい機会をソビエトに与えた。」

今日、西ヨーロッパからのアメリカのそのミサイルの撤収、そして大量の新しいソビエトのミサイルと対ミサイル生産と配備の10年間に引き続いて、コデヴィッラはアメリカが10年前よりも上首尾の決定的な核第一撃に対して遙かにより傷つきやすいと信じている。

B)戦略的バランスの変化--コデヴィッラは、ゲイリー・ノース(Gary North)のREMNANT REVIEW(12/1/89)において書きながら、変化する戦略的バランスについてこう言っている:

「合衆国の「ハードの」戦略的ターゲットは50のMXミサイル・サイロ、950のミニットマン・サイロ、およそ20隻の弾道ミサイル潜水艦とおそらく50隻の巡航ミサイル発射攻撃潜水艦がある一定の日にそこに配置される24の港におけるおよそ100の所在地、合衆国の98機のB-1爆撃機と300機のB-52爆撃機が配置されるおよそ25の空軍基地にある100カ所くらいの場所、そしておよそ800のレーダー、通信、司令センター、コントロール・センターおよび諜報機関のターゲットなどである。」

「これら2000のターゲットを攻撃するために、ソビエトは少なくとも3080個の対抗力弾頭搭載の308基のSS-18 ICBM、552個の弾頭搭載の138基のSS-17、1950個弾頭搭載の350基のSS-19、100個弾頭搭載の同じような数のトラック可動SS-25、そして1000個弾頭搭載のおそらく100基の軌道可動のSS-24ミサイルを持っている。それは6500基になる。あるいはそれぞれのターゲットに対して弾頭の数が1対3,5の割合になる--10年前は1ターゲットに対して弾頭2,5であった。これに加えて、ソビエトはおそらく別の5000の非対抗力戦略弾頭を持っている。われわれの側には、ソビエトのそれに匹敵する対抗能力をもった唯一の弾頭は500個弾頭を持つ50基のMXミサイルである。」

「ソビエトとアメリカの弾頭の全体の比率は8対1である。実際問題としては、このことは人の首を切る第一撃が誰であれクレムリンにおいて権力を持っている者にとっての一つの真面目な選択であるが、しかし合衆国にとっては全然そうではないということを意味する。それはまたそのような一撃の後では、合衆国は、おそらく海上である時間に発射される2400個の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の弾頭以外には報復のための非常に小さな戦略的能力しか残されていないであろう...しかしこれらは小さく、不正確である。そしてロシアの恐るべきミサイル防衛を突破することは不可能である。」

コデヴィッラはさらに続けてこう記述している:「提案された戦略核制限条約(START)の重要性は、それが両陣営の側でのミサイルの数を削減するので、それはまさしくアメリカの割り当てられた数の弾頭と許され得る戦略兵器をおそらく400の戦略的ターゲットあるいはそれ以下のターゲットへと押し込めるようなものであろう。もっともあり得ることであるが、これらは50の固定された、あるいは準固定化されたMXであろう。おそらく100機の攻撃され易い爆撃機、そしておそらく15隻の潜水艦、そのうちの8隻だけがある所定の時に海上にあるであろう。ソビエトはそれらを攻撃するための4000発の対抗力弾頭を持つであろう。そのことは10対1の比率を意味するであろう。しかしずっと小さな標的基地に対してである。」

C)ソビエトのミサイルと民間防衛--ロシアはその主要諸都市、政府コントロール・センター、大量の対抗ミサイルおよび対空防衛を伴った軍事施設および産業施設を、いかなるアメリカのミサイル(おそらく合衆国潜水艦からの)あるいは爆撃機の報復に対しても守るために、守ってきた。これらの対空防衛は10,000基の地対空ミサイルを含んでいる。ソビエトは大規模な民間防衛体制に年間70億ドル費やしている。そして地上に2000億ドル相当のシェルターと防護施設を持っている。(アメリカはミサイル防衛体制あるいはどのような民間防衛体制をも持っていない。)

D)ヨーロッパにおける勢力均衡は変った--西ヨーロッパにおける勢力均衡は、合衆国がヨーロッパからロシアを攻撃することが可能なその核ミサイルをすべて撤去したので、そしてソビエトがヨーロッパを標的にしたより多くのミサイルを配備したので、劇的に変わった。コデヴィッラが指摘するように:「ソビエト連邦が『核兵器の価値を下げて』いる、特にヨーロッパにおいて、というのは一つの共通の誤解である。実際、ソビエトは毎年およそ500基のSS-21を生産し続けている。それゆえ、毎年の生産は、ゴルバチョフがヨーロッパから撤収すると約束したのと同じ数の短距離(最大500マイル)ミサイル弾頭を産み出しているのである。加うるに、ソビエト連邦の核搭載可能の大砲の生産はおよそ17対1でわれわれの生産を上回っている。否、ソビエト連邦は西ヨーロッパを非核化しているのであって、東ヨーロッパをではない。」

E)ソビエト軍をアップグレイドし、近代化している--コデヴィッラはまた次のように述べている:「ソビエト軍は彼らの定期的な『革命』の一つの過程にある。1920年代半ばに一つ[の革命]があった。もう一つは1940年代後半にあった。そして大きなものはおよそ1957年と1964年の間にあった。これらの革命は新しい兵器や概念を導入する一方で古い兵器や概念を棄てることから成り立っている。それらの革命は常に量における何らかの縮小と質における実質的な増大を含んでいる。現在の『革命』は同じ布からの切り出しと見える。ソビエトの軍産複合体が未来を眺めるとき、彼らはよく訓練されていない人員(中央アジア出身の彼らのうちのある者はロシア語を話すことさえできない)を除去し、それが産み出す機器の質とそれらを操作する人々の質の両方を一生懸命に上げようと努めている。言葉を換えて言えば、ソビエトの通常軍はもっと弱くなっているのではなくて、彼らは次の戦争に勝利するよう準備しているのである。」それゆえ、ゴルバチョフは、アメリカに対する彼の軍事的リードを拡大し、そしてわれわれの軍縮を奨励しながら、彼のGNPの20%を彼の軍備増強とロシアのすでに大幅に優勢を保っている軍需工場に費やしているのだ。

2.ソビエト、ミグ29をキューバへ--ソビエトは平和を話し合っている間に、彼らの最新型の戦闘機攻撃用航空機ミグ29(これを書いている時点で2機)のキューバへの引き渡しを始めた。メキシコ湾、カリブ海そして合衆国東海岸--北は南カリフォルニアまで、そして西はニュー・オーリンズまで--における重要な合衆国シーレーンを攻撃することができる、これらの洗練された戦闘機の14の飛行中隊が間もなく引き渡されるであろう。ミグ29はキューバへの援助(大部分は軍事援助)においてソビエトの年間50億ドルの一部である。

3.中央アメリカへの大量のソビエトの武器の引き渡し--ソビエトに後援され た共産主義ゲリラ(FMLN)はキューバとニカラグアを通じて供給されたロシアの武器を使いながら11月10日、11日にエル・サルヴァドルの首都サン・サルヴァドルを攻撃した。計画はエル・サルヴァドル大統領と最高指導部を暗殺すること(それによって首を切り、政府を倒すこと)であった。それは北ベトナムのテト攻撃の共産党版であった。

キューバ、ニカラグア、東ドイツそしてパレスチナ人の指揮官たちがその攻撃に参加した。11月25日に、ニカラグアからの1機の飛行機が24基のロシアSAM-7対航空機ミサイルと多くの他の諸々のソビエト武器を搭載して、エル・サルヴァドルの東部地域に墜落した。この年までにソビエトは共産主義サンディニスタに推定3億5千万ドル相当の武器を引き渡していた。(過去9年にわたって武器で50億ドル[供与]の一部。)これはニカラグアへのソビエト武器引き渡しをやめるというブッシュに対するゴルバチョフの約束の完全な違反である。

もしエル・サルヴァドルがこのソビエトに後援されたゲリラの猛攻撃(1981年以来7万人の生命を奪った)に倒れるならば、ソビエトに後援されたキューバ、ニカラグアそしてエル・サルヴァドルの同盟はコスタリカ、ホンジュラス、グアテマラおよびベリーズにとってはとてもかなわないものであろう。そのすべては即座に陥落するであろう。そしてソビエトはコロンビアからメキシコまで--これら二つの国と共に次の二つのドミノの駒が取り除かれることになる--の中央アメリカの全勝を得たことになるであろう。このすべてのことは、アメリカ人が多幸感に酔いしれて「共産主義の死」や「冷戦の終結」、等々を自ら祝賀しているちょうどそのときに、次の2年から4年にわたって、起こり得るであろう。

4.ソビエト、世界中のゲリラ戦争を巧みに組織する-- KGBあるいはGRU(ソビエト軍諜報部)を通じてソビエトは、20ほどの共産主義的民族解放グループを武装し、訓練し、指揮しながら、南アフリカ、ペルー、コロンビア、ベネズエラ、フィリピンに対するゲリラ戦争を巧みに組織している。(1961年以来、モスクワは20カ国以上の国々をそのような民族解放戦争、そのクーデタと転覆でもって征服してきた。)彼らは1989年にムジャヒディーン(Mujahideen)に反対して用いるためにアフガニスタンにおける共産主義政府に対して21億ドル分の武器を、フィリピンにおける邪悪な共産主義的新人民軍に数千億ドル分の武器を、そして南アフリカ共和国に反対して万一の場合の使用のために共産主義アンゴラに50億ドル分の武器を静かに空輸した。(中央アメリカに引き渡されたソビエトの武器は上のB3の部で論議された。)

5.アメリカに対するソビエトのスパイが激発している--最近CIA長官ウィリアム・ウェブスターはアメリカに対するKGBの脅威が--グラスノスチ/ペレストロイカにもかかわらず--劇的に上昇した、そして成功した諜報活動が「われわれの歴史におけるどの時期よりも」多く過去4年にわたって合衆国に対して起こったと述べた。「...過去10年間にわたって、われわれはわれわれの歴史におけるどの時期よりも多くの合衆国国防および諜報機関への潜入を発見した。」上院諜報委員会委員長、デイヴィッド・ボレン(David Boren)上院議員は<「スパイが熱し始めている」と言っている。

「われわれの新しいパートナーシップ」の多幸症に浸っているブッシュ政権がわれわれの国内安全保障の対応策の大部分を中断している一方で、クリュチコフ将軍の下で、合衆国工業技術(特に軍事的)を盗むことで非難されているKGBが全力投球で働いている。実際、ソビエト軍および諜報部員はブッシュ政権によって合衆国軍事基地および防衛施設への頻繁なアクセスを与えられている。このことはレーガンの下で始まった。

そうこうしている間に、過去60日間にわたって西側への亡命者たちの洪水と共に東ヨーロッパから数千人のスパイやspetsnazが流れ出た。

C.アメリカは軍縮へ向かって殺到している--グラスノスチ/ペレストロイカおよび東ヨーロッパにおける「見せかけの」自由化についてのゴルバチョフおよびKGBの第一の目標は防衛費支出における大幅な削減が起こるように合衆国および西側同盟諸国の脅威知覚を低めることである。このことにおいて、ゴルバチョフはすでに信じられないくらいに成功してきた。西ドイツはその軍隊を20%削減すると告知した。アメリカにおいてはUS NEWS & WORLD REPORT(12/11/89)が「アメリカは軍隊を必要とするか?」と題した論考をもって国を風靡している軍縮の爆発を明確に表現した。

国防長官チェイニー(Cheney)(世界主義的CFRおよび三極委員会のメンバー)は先の11月に彼が「次年度ペンタゴンの支出を削減することを計画して」いると言った。「なぜなら、合衆国とソビエト連邦との間の全面的衝突の可能性は...第2次世界大戦の終結以来そうであったよりはおそらく今は低いからである。」

(編集者注:チェイニーは軍事的脅威が縮小されたというどんな証拠を持っているのであろうか? 実際、彼自身の国防省の多数の者は正反対のことを強く主張している。)

チェイニーとブッシュ政権は1991会計年度に始まる1800億ドルの国防予算において3年削減(すなわち、600億ドル、あるいは1年につき20%)を計画している。Gramm-Rudman 予算制約に応じるために次年にわたって229,000人の軍隊を削減、15の空軍基地を閉鎖、合衆国軍隊兵員200,000人削除(すなわち、17%削減、あるいは18の活動部門の全体から3部門のカット)。2隻の合衆国航空母艦の段階的廃止(編集者注:ロシア人は今4隻の航空母艦を建造中である)、それに伴う航空機、何隻かの戦艦、そして他の輸送船(全体として100隻の海軍艦船が段階的に廃止される)の段階的廃止。大部分のステルス爆撃機建造の排除、主要な戦車(M-1 Abrams)を近代化する計画の撤回、西ヨーロッパにおける米軍を31万人から10万人(3分の2カット)そしてそれ以上の削減。

元参謀長、隠退したE. C. マイヤー(Meyer)将軍は、合衆国軍隊は次の数年間で半分に削減されるであろうと予言した。THE WALL STREET JOURNALはチェイニー長官について軍縮長官として言及している。リベラルな政治家および学者たちは軌道設定のMXミサイルの全面的廃止、ステルス爆撃機の132機から13機への削減、SDIの廃止、世界中の数百の合衆国軍事基地の閉鎖、アメリカの先進的戦術戦闘機の全面廃止、そして合衆国軍隊の大きさを50%あるいはそれ以上の縮小を求めて時流に乗った。

リベラル派の下院議員ジム・ベイツ(Jim Bates)(D-CA)は海軍基地ペンドゥルトン(Pendleton)を閉鎖して国立公園に変える法律案を提出した。ペンドゥルトンは水域に面するアメリカの二つの海軍基地の一つである。他の下院議員のリベラル派は数十億ドルを防衛から社会計画へ切り替えることを希望している。一方で多くの中庸派と保守派は防衛費の削減を予算を均衡化し、不足を解消する一つの手段と見ている。ブッシュとゴルバチョフはアメリカにおいてパンドラの軍縮の箱を開いたように見える。そして今、軍縮のはずみが容赦のないものとなるであろう(すなわち、増大する左翼によって巧みに組織された銃規制のためのはずみのように)。

(編集者注:アメリカが大幅な軍備削減に乗り出したので、ソビエトは合衆国に対して戦闘準備態勢ができた師団を215対18--それは15に削減されようとしている--の比率で多く持っているということは記憶されているべきである。ちっぽけなキューバはこれらの提案された削減以前にアメリカよりも大きな常備軍を持っている。ソビエトが現在アメリカを超えて享受している5対1の通常および戦略核の優勢もまた、合衆国を超える現在のソビエト海軍の4対1の優勢と同様に、記憶されているべきである。)

D.マルタ・サミットにおけるブッシュの譲歩--ブッシュとゴルバチョフとの間の12月初めのマルタ・サミットは、ネヴィル・チェンバレン(Neville Chamberlain)が1938年にミュンヘン・サミットでアドルフ・ヒットラーの前で這いつくばって以来の--第2次世界大戦のお膳立てをすることを助けた譲歩--最大の譲歩者としてのジョージ・ブッシュを立証した。THE NEW YORK TIMESにおいて書いているコラムニスト/作家のウィリアム・サファイア(William Safire)は、「ブッシュの戦略はゴルバチョフ氏に彼が求めなければならなかった前にすべてのものを与えることによって世界の賛同を勝ち取ることであった」と言いながら、ブッシュのパフォーマンスを「ドア・マット外交」と呼んだ。

これらの先買いの譲歩のうちには:1)IMFと世界銀行においてロシアにオブザーバーの地位を与えるというブッシュの提案;2)ブッシュはソビエトに来るべき6月のサミットにおいて最恵国貿易地位を与えることを約束した(貿易、財政援助のパンドラの箱の開放、そしてソビエトへのハイテクの移転);3)ブッシュはわれわれの輸出入銀行を通じてソビエトに大量の合衆国の納税者によって支援されたローンを約束した;4)ブッシュは軍縮の焦点を戦略兵力から通常兵力へ移すことを提案した;5)ブッシュはアメリカとロシアの戦略兵力(すなわち、爆撃機、ミサイル、ミサイル発射潜水艦、等々)を50%まで削減するであろうSTART軍縮条約を来る6月までに折衝し、調印することに同意した。

(編集者注:もしアメリカがSTART条約を締結し、われわれの戦略兵力を50%削減し、そしてロシアが条約に関して欺く--彼らがわれわれが彼らとこれまで調印したあらゆる条約に関してそうして来たように--ならば、それは国家的自殺に等しい。われわれは1990年代の10年が終わる前に核攻撃を受ける、あるいは恐喝を受けて征服されるであろう。

サミットの前に、ブッシュは、「二つの武装した陣営の間の耐え難い、喜びのない平和の時期の終焉」を宣言することによって、「あの改革のダイナミックな設計者としての」ゴルバチョフ(ロシア市民は同意しないであろう)に言及しながら、そして「合衆国大統領よりも偉大なペレストロイカの代弁者はいない」という異例の保証をすることによって、彼自身の「新しい思考」を宣言した。

新聞報道によれば、サミットにおいて、「ブッシュとゴルバチョフは、前例のなかった友愛の誇示をもって、経済的紐帯、軍縮協定、東ヨーロッパにおける改革の支援に基づく新しい関係を建てることを約束しながら、冷戦を水葬にした。」世界新聞は多幸症的に、二人の「スーパー・パートナー」に言及した。(12/11/89のNEWSWEEKの表紙記事を見よ。また51年前のミュンヘンでのチェンバレンとヒットラーの写真にも注意っせよ。)

ブッシュが合衆国の政治的および経済的力をUSSRの共産党がその権力を維持するための援助に割くことを約束していた間に、ゴルバチョフはソビエト連邦の地域的攻撃への援助と軍縮問題およびソビエトに対するアメリカの財政的・工業技術的援助とを切り離すようにブッシュを説得した。言葉を換えて言えば、ブッシュは中央アメリカ、中東、フィリピン、等々における彼らの諸々の革命的戦争にもかかわらず、軍縮とロシア人たちに対する合衆国の大幅な援助を進めることに同意したのだ。ブッシュは50万のソビエト軍隊の東ヨーロッパからの撤退には決して言及しなかった。

ウィリアム・サファイアが述べたように、「すべてのものを与え何も得ないブッシュ、そして何も与えずにすべてのものを得るゴルバチョフに関しては、ブッシュ氏は惨めに失敗し、そしてゴルバチョフ氏は輝かしく成功した...この見返り無しにもかかわらず、ベイカー国務長官はアメリカの譲歩技術(concessioneering)とソビエトの議事妨害(stonewalling)によってもたらされた二人の指導者の間の真の化学の可能性を大げさにしゃべり立てた。」サファイアは続けてこう言った。「ゴルバチョフ氏との親密な個人的友情を発展させるという目標をもってサミットに近づきながら、ブッシュ氏は偉大な驚かせ屋を驚かそうというほとんど子どもじみた欲望で苦しめられた。」それゆえ、マクシム・ゴーリキー(Maxim Gorky)を一度持ち出すとすれば、「ブッシュは頭がくらくらした。そしてそのソビエト指導者にモスクワの経済的要請リストの詳細な承諾を提供した....驚いたそして喜んだそのソビエトの指導者はブッシュ氏にそのペレストロイカの支持に対して感謝し、そして言った。『冷戦は終わりました。』」

(編集者注:ゴルバチョフ氏が喜んだ!と私は賭けよう。これは北ベトナム人たちとの交渉のテーブルについている、そして彼らに彼らが望んだすべてのもの--南ベトナムを含む--を与えているキッシンジャーのようなものであった。ゴルバチョフと同じように、彼らもまた喜んだのだ!)

別のNEW YORK TIMESのA. M. ローゼンタール(Rosenthal)による「モスクワのための生命維持」と題された論説はゴルバチョフと共産主義のくびきを廃止しようと長い間努力してきた自由を愛するロシア人たちに反対する彼の政権に対するブッシュの支持に関して論評した:「合衆国はロシアにおける共産主義に反対する偉大な国際的革命を止めよう、あるいは少なくとも遅らせようと決心した...マルタまでは、ソビエト連邦における共産党の権力の独占が間もなく終わるであろうという一つの強いそして増大する可能性があった...しかしながら、ゴルバチョフは彼のボートを沈没から守ることについて彼が夢見ていたすべての経済的支持を得た。彼は、党支配に終りをもたらすために戦ってきたロシアのリベラル派に反対する合衆国政権の政治的および情緒的言質を得た。ワシントンの支持は、共産党支配の敵であり続けるためにかつてアメリカを信用した人々に反対して使用するためにそれを家に持って帰るゴルバチョフ氏にとって一つの強力な武器である...ブッシュ大統領はなぜマルタをソビエト連邦共産党の維持のための一つの道具へと変えるよう決断したのか? 確かに、アメリカ人たちは、ソビエトの人民にとってより長い苦痛の年月にわたって呼吸させ続けながら、ブッシュ氏がソビエト共産党のための生命維持を提供することにおいて演じるであろう役割を決して理解しなかった。」

(編集者注:もしあなたがボルシェヴィキ革命への最初のアメリカの財政援助を含めるならば、ソビエト指導者たちの彼ら自身の人民の抑圧のためにするアメリカの財政援助はこれが第7回目の主要ラウンドである。これは体制が「合衆国とUSSRの利益の融合」によって意味するもの、そしてブッシュが彼の「新しいパートナーシップ」という文言によって意味するものであるのか? )

E.西ヨーロッパの中立化とNATOの終焉--西側の軍縮に加えて、ゴルバチョフと彼のKGB、そして軍事戦略家たちは長い間、西ヨーロッパを中立へとおびき寄せ、NATOを廃止し、そしてヨーロッパにおけるアメリカの影響を孤立化させる、あるいは少なくとも大きく減らすという目標を掲げてきた。これらの目標の当然の結果はヨーロッパ共同体を通じての東西ヨーロッパを経済的および政治的に結合することである。

NATO終焉の始まりは、レーガンがINF条約の同意の下でヨーロッパからアメリカの中距離核ミサイル(西ヨーロッパの核の傘)をすべて撤収すると同意したときにやって来た。このことはアメリカが大陸を防衛するためにもはや勘定に入れられ得ないという声高のそして明瞭なシグナルを西ヨーロッパに送った。それはまた西ドイツの緑の党やヨーロッパ中の他のソビエト寄りの左翼、反核/軍縮グループの直接利益になるように行動した。そして西ヨーロッパにおける防衛に賛意を表する政治家たちのすでに揺らいでいる立場を掘り崩した。

ところで、平和主義者や反核、軍縮活動家たちによって支配された西ドイツはその国防費を20%削減することに同意した。そして東ドイツとの再統一を催促している。(西ドイツのただ30%の人だけが今アメリカ軍の駐留を認めているにすぎない。)ロシア人と東ドイツの人々は再統一に気が進まない振りをしている(Brer Rabbit風に言えば--「どうか私を茨の区画に投げないで」)けれども、その再統一はすでによろめいているNATO同盟の心臓へ打ち込む最後の杭であろう。再統一した、あるいは連邦化されたドイツは急速に中立国となり、NATOから脱落するであろう。そして西ドイツはNATOの錨であるから、同盟はその後間もなく崩壊するであろう。しばらくの間、フランスとイギリスは独立で存続できる核および通常軍事抑止力を維持しようと努めるであろう。しかしヨーロッパの残りの国々はドイツに続いて急速に中立国となるであろう。(ロシアは明文化を要求しそして受け取るであろう。)イギリスとフランスは左傾化するであろう。マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)は追い出されるであろう。そして諸々の出来事のはずみはイギリスとフランスを西ヨーロッパの残りの国々と共に、中立へと動かすであろう。

すでにNATO加盟諸国は、ソビエト脅威の知覚および西側国防予算における同時的な衰微のゆえに兵器標準化計画における数十億ドルを取り消している。今アメリカの指導者たちと10万人から20万人の合衆国軍隊(新しい冷戦後の時期にはもはや必要とされない)の撤退について公然と話し合いながら、かなりの額の国防費支出を支え続けようとする公的、政治的な意志(あるいは動機)は西ヨーロッパ全体をくじけさせるであろう--それがアメリカにおいて持っているように--そしてそれはすべて、まったく文字通りに、一夜のうちに(すなわち、6-12-18ヶ月以内に)起こるであろう。それは加速要因と呼ばれている。A US NEWS & WORLD REPORTの論考(11/27/89)はそれを非常にうまく要約している:「ロシア人たちは来ていない--平和が勃発すると共にNATOの防衛戦略は大刷新のために働いている」簡単に言えば、来るべき1,2年のうちにNATOはソビエト軍事力に対する一つの軍事的戦争抑止力であることを止めるであろう。アメリカおよびヨーロッパにおける政治的左翼はNATOを1992年の西ヨーロッパの政治的連合、そしておそらく来るべき3年から5年の間の東西ヨーロッパの連合を実施する助けとなる一つの行政的な、そしておそらく治安維持の団体へと転換させたいと思っている。

このすべてのことはヨーロッパにおけるアメリカの影響を減らし、ソビエトの影響を増やすために計算されている。西ヨーロッパの軍縮と西側による東側の経済的増強との寛大な間隔(すなわち、3年から5年の)の後に、ソビエトは1990年代半ばまでに彼らの軍事力を誇示し始めるであろう。そのとき、軍備を縮小した西ヨーロッパは誰がボスであるか--すべての銃、戦車そして飛行機をもった東へ[向かう]連中--を知るであろう。ソビエトの戦略はそのとき「威嚇作戦」へと移行するであろう。そして中立化し、軍備を縮小した西ヨーロッパはソビエト人に役立つ役割に置かれている自らを見出すであろう。事実上、ゴルバチョフは現在、ヨーロッパの全部--東と西--に対する最後の事実上の支配のために東ヨーロッパに対して何らかの支配を利用している。そのことは輝かしいチェスの動きのためにはどのようなものであろうか? 

F.熊の世話と飼育--「ソビエト市場の征服を追求している世界の資本主義者たちと彼らの政府は指し示されたより高い現実に対して彼らの目を閉ざすであろう。そしてこのようにして耳の聞こえない、口のきけないそして目の見えない人間に変わるであろう。彼らは信用貸しを拡張し、われわれが欠いている資材や工業技術をわれわれに与えるであろう。彼らは、われわれの供給者たちに対するわれわれの未来の勝利の攻撃のために不可欠なわれわれの軍需産業を復興するであろう。--ウラディーミル・レーニン。

「ソビエトの軍事的-産業的体制が重大な衰退を経験する前に、彼らの財政的救援にやって来る騙され易い西側に圧力をかけるように、ソビエトの人間たちが彼らの現在の経済的諸困難を意図的に誇張しているということは勝ち目のある賭である。」--アルバート・ジョリス、Executive Director, The American Foundation for Resistance International(11/89).

同時にNATOを妨害している間に、西側の軍備を縮小し、そして西ヨーロッパを中立化することに加えて、グラスノスチ/ペレストロイカ・キャンペーンの第三の主要な目標はアメリカと西側にソビエト連邦を経済的に困難な立場から救い出させることである。レーニンとゴルバチョフに至るまでの彼の後継者たちのすべては、貪欲な西側の企業人たちがそれでわれわれを吊すロープを彼らに売るであろう、そして利益のために彼らの魂を売るであろう、彼らの自由をさえ売るであろう、と予告した。ゴルバチョフはアメリカ、西ヨーロッパそして日本に東ヨーロッパの財政的負担を引き継ぐこと、ロシアに大幅な信用貸しを提供すること、大量のハイテクを注入することそしてロシアの両手両足切断状態の農業および産業インフラを再建することをやって貰おうと意図している。

ゴルバチョフは、彼の経済的、政治的な諸目標を達成することにおいて持っている最大の同盟者たちは貪欲なアメリカ企業人たちであるということを知っている。すでに彼らは貿易最恵国地位、貿易における諸々の制限の撤廃、ハイテク移譲、ジョイント・ベンチャー、等々をうるさく催促している。パンナム航空およびシェラトン・ホテルはアエロ・フロートおよびモスクワ市と、モスクワに二つの新しいホテルを建設するために、提携した。データ制御コンピュータから光ファイバー、ペプシコーラ、石油化学、白熱電球工場に至るすべてのものが今やロシア市場へと売られている。Combustion Engineeringは今、 USSRに100億ドルの石油化学プラントを建設しているが、それは現在までで合衆国最大のベンチャー企業である。合衆国/USSRジョイント・ベンチャーは過去12ヶ月で200から1000以上に膨れ上がった。

しかし、合衆国/USSR貿易・経済会議における企業家たちは実際にはすべての合衆国生産物(防衛的なものであれあるいは他のものであれ)ロシアに売却するために解放されることを欲している。そしてすべての合衆国/ソビエト・ジョイント・ベンチャーが海外私的投資協会(The Overseas Private Investment Corp.)によって保険契約された納税者であることを欲している。ブッシュおよび彼の政府とこれらの多国籍法人および銀行の指導者たちの間には不自然な同盟関係がある。後者は血の臭いを嗅ぎつけた鮫のように、ロシアと東側ブロック--彼らはそこに食い物にされることを待っている4億人の市場を見ている--における合弁事業や他の取引において彼らが作ろうと計画している利益において数十億ドル以上の餌になる熱狂に落ち込んでいる。

(編集者注:ちょうどブッシュおよび彼の体制の友人たちがソビエト/合衆国貿易から数十億ドルの利益のために何事かをなすであろうように、ブッシュ政権は中華人民共和国とのすべての援助および貿易の通路を静かに再会した。ブッシュ、ベイカー、キッシンジャー、ニクソン、ヘイグ、等々のおかげで、天安門の殺し屋たちとのビジネスが正常に戻っている。

合衆国議会はポーランドとハンガリーへの合衆国納税者の援助において9億3400万ドルを可決した。国務長官ジェームズ・ベイカーは東ドイツに対して大規模な合衆国財政援助を提供した。12カ国ヨーロッパ共同体は東ヨーロッパ(すなわち、ポーランド、東ドイツ、ハンガリーおよびユーゴスラヴィア)に対する大規模援助一括法案に同意した。そして貿易割当を廃止し、技術援助を増加するためのUSSRとの10年貿易協定に調印した。

合衆国輸出入銀行はソビエトへの100億ドルまでの借款を考慮している。そしてTHE NEW YORK TIMESは(1/1/89)の論説においてブッシュ大統領に巨額のローン保証をし、そしてすべての貿易および他の諸々の制限を高めることによって、「ゴルバチョフ氏が西側を助けることを助ける」ように訴えた。

G.合併あるいは降伏:赤い夜明けシナリオ

「またもう一つの同盟がある--最初見たところでは、一つの奇妙な同盟、一つの驚くべき同盟--しかしもしあなたがそれについて考えるならば、実際、それはよく基礎づけられ、容易に理解できる同盟である。それはわれわれの共産主義の指導者たちとあなたの資本主義者たちとの間の同盟である。」−−アレキサンダー・ソルジェニーツィン。

「われわれここで管理職のレベルにいる者はOSS、国務省あるいはヨーロッパ経済本部のどれかの中で働いていた。それらの時期の間に、そして例外なしに、われわれはホワイト・ハウスから出された命令の下で働いた。われわれはその実体がソビエトとの快適な合併を可能にするように合衆国における生活を変えるあらゆる努力をするべきであるという趣旨であったそのような命令によって導かれ続けていた。」ロウワン・ゲイター(Rowan Gaither)、フォード基金総裁のノーマン・ドッド(Norman Dodd)(Chief Counsel of the Congressional Reese Commission Investigation of Subversion in the Tax Free Foundation)宛ての1953年の言葉

新世界秩序に向かって--NEWSWEEK(12/11/89)のカバーストーリー「スーパー・パートナー--新時代のための野心的なゲーム」はわれわれがどこにいるか、そしてわれわれはどこに向かっているのか、について多くを語っている。50年以上にわたってEastern Establishmentの消息通はソビエト連邦との合併について、アメリカとロシアの共通の利益を合併することについて、世界政府について、そしてもっと最近には、新世界秩序について話してきた。この論考の準備のために数百の出版物と500以上の論考を読み通してみて、筆者は少なくとも150回は「新世界」あるいは「新世界秩序」という用語に出くわした。これは偶然の一致ではない。

彼らが1917年のボルシェヴィキ革命の資金調達を助け、1920年代、1930年代、そして1940年代のソビエトの資金調達を助けて今日にまで至った、アメリカとヨーロッパにおけるLiberal Eastern Establishmentの行動指針は世界政府であった。このことは、CFR*、三極委員会そして他の既成組織の出版物を研究することにおいて明白である。彼らはソビエト連邦をこの世界政府あるいはいわゆる「新世界秩序」をもたらすよう助けるために用いられるべき一つの重要な手段(あるいは道具)と見ている。1940年代における中国、1950年代におけるキューバ、1980年代におけるイラン、ニカラグア、ローデシアそしてパナマ運河give-away、そして1980年代後半および1990年代前半における南アフリカ、韓国、そして中央アメリカのような国々に対する、ソビエトに後援された諸々の革命そして彼ら自身の外交政策策謀の体制はすべて1990年代における世界政府のための舞台を設定するように計画されている。

*CFR=Council of Foreign Relations

南アフリカはANC政府を通じて共産主義に陥落する最後のドミノ牌の一つであろう(すなわち、1年から3年で)。西ヨーロッパ連合国は1992年に出現するはずである。東西ヨーロッパは一つの大きな経済的および政治的ブロックへと合併するはずである。そしてブッシュ、キッシンジャー、シュルツ(Schultz)、ブルゼジンスキー(Brzesinski)、ロックフェラーそして彼らの体制の仲間たちによって夢見られた世界政府(新世界秩序)は東と西の世界的合併を通じて1990年代半ばから後半に出現すると想定されている。

二三の小さい方の戦争が(おそらく中央アメリカおよび/あるいは中東において)大衆を夢中にさせ、彼らの注意をそらすために、途中に想定されている。しかしエリートの、エリートによる、エリートのための政府は2000年の前に出現するように予定されている。それは体制の行動予定表である。それはニューエイジ運動の行動予定表である。しかし筆者はそれがソビエト連邦の行動予定表であるとは考えない。(ネズミたちと人間たちとエリート主義者たちの最善に設定された計画は時に迷うということは記憶されるべきことである。)

赤い夜明けのシナリオ--ソビエトは別の行動予定表を持っている。それは赤い夜明けと呼ばれている。レーニン、スターリン、マヌイリスキ(Manuiliski)、アンドロポフそしてゴルバチョフまでずっと降りてくるソビエト指導者たちの書き物を研究するならば、人はソビエト指導者たちが1917年から現在に至るまで世界支配というマルクス・レーニン主義的目標から決して逸脱しなかったと結論するであろう。資本主義一般そしてとりわけアメリカは彼らのナンバーワンの敵であり、この夢の達成にとって邪魔な物である。ブッシュからケネディまで、キッシンジャーからジェイムズ・ベイカーまで、ロックフェラーからアーマンド・ハマーまでの西側のリベラル派とその欲求を満たす者たち(レーニンの古い悪友であって、単なる「リベラル派」以上の者たち)はわれわれに、「共産主義は死んだ」、「冷戦は終わった」そして「ロシアは今やわれわれの友人である」と言い続けることができる。しかしクレムリンを動かしている、KGBを動かしている、そしてソビエト軍を動かしているマルクス・レーニン主義者たちは以前にはこれ以上に強かったことは決してなかったし、またアメリカの破壊にこれほど献身したこともなかった。共産主義ブロックの現在の切り詰め、退却、そして「謙遜」は単に行動における共産主義的弁証法(すなわち、2歩前進、1歩後退、次に2歩前進、等々)、1921年以来の第6次グラスノスチ、そして現代史(おそらく全歴史)における最大の戦略的欺瞞なのである。

誇り高くて尊大な人々は容易に操作される。そしてアメリカのLiberal Eastern Establishmentの指導者たちは誇り高くて尊大な人々である。--今日では、以前よりももっとそうである。なぜなら、彼らは自分たちがほとんど達成され、ほとんど手にしている世界政府についての彼らの夢を持っていると信じているからである。そのようなものとして、彼らは共産党指導部によって彼ら自身の目的のために操作されることができるのである。レーニンからゴルバチョフまで共産党指導部は、彼らの世界革命の資金調達を助ける富裕な資金融通のできる資本家たち(すなわち、アーマンド・ハマー、デイヴィッド・ロックフェラー、ドゥウェイン・アンドレアス(Dwayne Andreas)そして数千人以上のそのような人間たち)を用いる必要性について語ってきた。共産党指導部はこれらの人々のますます多くの富に対する貪欲と強い欲望を理解している。共産党指導部はまた、彼らの権力に対する欲望、そして1990年代半ばに出現することが予定されている彼らの「新世界秩序」あるいは世界政府を通じての世界支配の欲望を理解している。

それゆえ、ゴルバチョフによって率いられている共産党指導部は彼らの「新世界秩序」計画、ドイツ再統一計画そして次にヨーロッパ(中立の旗印の下ではあるけれども)の再統一計画に喜んで賛同するのである。共産党指導部は彼らの西側の恩人たちの前に喜んでひれ伏し、そして微笑し、そして腰をかがめ、そして彼らの諸々の誤りを謙遜に認め--そして赦しを求め、そして彼らのやり方を変えるために財政的および産業的援助を求めるのである。

しかし時間におけるある一点で(筆者は1990年代半ばに、と信じている)歴史における欺瞞の最大の大家であるソビエトは彼らの世界支配のための最後の活動を始めるであろう、彼らのリベラルな西側資本家の恩人たちを裏切るであろう、そしてアメリカ合衆国を攻撃するであろう。ごらんなさい、彼らは地球を支配するエリート主義的「新世界秩序」群衆を見ないであろう--彼らは彼らの圧倒的な軍事力を通じて、彼らの密かなやり方を通じて、彼らの欺瞞を通じて、そして彼らの図太さを通じて自分たち自身が支配しているのを見るであろう。(歴史的および現代のソビエトの著作家や戦略家たちはいずれも長い間、われわれが彼らとの平和にあるときにわれわれを攻撃するであろうと言ってきた。)それが赤い夜明けの始まりであろう。

(編集者注:歴史はそのような戦略的欺瞞や裏切りの諸々の例で満ちている。例えば敗北と卑下のうちに、一つの贈り物、戦争の賠償、大きな木製の馬を後に残して彼らの帆船をトロイから去らせた古代ギリシャ人たち。トロイはまさにその夜に陥落した。

例えば、太平洋におけるアメリカ貿易のすぐれた能力によってくじかれて、一人の東洋の大使は、アメリカとの調停と改善された関係を求めて、われわれの大統領の前に謙遜に頭を下げた。10分後に、彼の天皇の海軍および空軍は1941年12月7日に真珠湾におけるわれわれの戦闘準備のできていなかったアメリカ艦隊を攻撃していた。[訳者注:これは事実に反する。アメリカ政府は真珠湾攻撃を事前に知っていたが、真珠湾のアメリカ海軍に知らせず、戦闘準備をさせなかった。]たとえば、1939年にスターリンと不可侵条約--それによってロシアとドイツはポーランドを分割するであろう--を締結した後に、ヒットラーはスターリンを裏切り、突如向きを変えて1941年にロシアを侵略した。)

赤い夜明けシナリオ(公式の合衆国政府戦略シナリオに基づいて映画化された)は以下の仮説を設けている:西ヨーロッパは中立化する、NATOは崩壊する、共産党(ソビエト)によって後援された革命がカリブ海内湾、中央アメリカ、メキシコを通じて圧勝する。30年間の軍縮と譲歩によって弱められたアメリカはその主要な諸々の戦略的空軍基地、ミサイル発射場、そして海軍軍港(しかし諸都市はその大部分がそうではない)を、--およそ全部で400の標的を--(コデヴィッラによって推定されたように)核攻撃させた。

これらの核ミサイルは現在合衆国東海岸および西海岸から数マイルの所にいるソビエト潜水艦から発射される。ミグ戦闘爆撃機からはキューバから、そして極地のアイス・キャップ[小型氷河]を横切って合衆国南東部に対して発射される。アメリカは、もちろん、25年間の軍縮条約のゆえに、どんなものであれ何らの核防備も持たない。ひと握りの合衆国潜水艦からの弱々しい報復はよく防衛されたソビエト連邦に対して最小限の損害を与える。

攻撃の数時間以内にソビエトはアラスカとメキシコを貫いて防衛されていない、そして軍備の縮小された合衆国への空輸され、武装された侵略を始める。ロシア人、キューバ人、ニカラグア人そして他の東ブロックの軍隊によるこの空輸され/武装された侵略は急速に北アメリカを二分する。そしてアメリカの政治的生き残りは不確かなものとなる。

赤い夜明けのシナリオは信頼できるか? --筆者の意見では、そして筆者の知っている多くの防衛アナリストおよび諜報アナリストの意見では、それは信頼できるものである!アメリカ征服のためのソビエトの戦略は長い間、「内的士気阻喪、プラス軍縮、プラス外的包囲」であった。それは「核の恐喝と最終的な降伏あるいは征服へと導くであろう。」--おそらく、ジョージ・ブッシュ、あるいは彼の後継者は核の銃を頭に突きつけられて、簡単に降伏するであろう--現在の「パートナーシップ」は「順応の新しい段階」に達するであろう。あるいはおそらくソビエトは赤い夜明けを選ぶだろう。要点は赤い夜明けシナリオを始めるための諸要素が今やあるべき場所に移っているということである。

これらの要素は次のものを含んでいる:1)非常に優勢なソビエト軍事力対合衆国;2)中立のヨーロッパとNATO軍事同盟(ロシアの西側面の危険から守る)の終結;3)キューバ、ニカラグアそしてゆくゆくは中央アメリカおよびメキシコを貫く革命的共産主義政権;4)アメリカが現在保有しているよりも大きいキューバおよびニカラグアにおける常備軍;5)ブラウンズヴィル(Brownsville)からティファナ(Tijuana)に至る2100マイルに延びるメキシコとの非常に穴だらけで防御できない国境線;6)合衆国南西部における数百万のラテン系亡命者たちと毎年数百万人以上が流入して来る彼ら、--これらのうちの数千人はKGB、DGI、あるいは他の東ブロックの秘密情報員たち、spetznaz、等々である--。7)潜水艦発射ミサイル(すなわち、合衆国東海岸および西海岸、あるいはメキシコ湾洋上のソビエト潜水艦からの)に対する、キューバあるいは中央アメリカを基地とする航空機から、あるいは極地のアイス・キャップを横切ってロシアから発射されるミサイルに対する、合衆国の対空防衛の完全な欠如;8)キューバ、ニカラグアにおける、そしてゆくゆくは、中央アメリカおよびメキシコを貫いてあらかじめ配備された通常兵器;9)実際にソビエト連邦に隣接し、そしてすでに(この論考を書いている時点で)ソビエト情報部員やspetznazによって潜入されている非常に人口の少ない、そして大幅に防衛されていないアラスカ。

結論

非常にわずかのアメリカ人しかMIA*のこの論考における上述の分析を理解し受け入れることができない、あるいは喜んで信じようとしないであろう。反対に、「平和プロパガンダ」は巨大であり、圧倒的である。われわれは「ポリアンナ人民」[底抜けの楽天家]である。われわれは悪いニュースではなく、よいニュースを欲している。そしてわれわれは、われわれが聞くことを欲している事柄をわれわれに告げる人々(ジョージ・ブッシュやレーガンのような)を愛している。そしてわれわれは、われわれが聞くことを欲しないことをわれわれに告げる人々を憎む。今日、われわれは、われわれの指導者たちが「われわれの時代には平和があるだろう」と告げているのを聞いている。しかし、聖書は人々が「平和、平和、そしてそこには平和がない」と叫ぶとき、注意せよとわれわれに警告している。そしてテサロニケ人への第一の手紙5:13は言っている:「人々が平和である無事であると言うとき、滅びは突如として彼らの上に下る。それは妊婦の生みの苦しみのようである。彼らは逃れることができない。」

われわれは欺瞞の時代に生きている--われわれの指導者たちはわれわれを一つの世界政府、「新世界秩序」へと押しやるときわれわれを欺いている。ソビエトの人間たちは彼らが平和、兄弟愛、冷戦の終結、そして共産主義の死の振りをするとき--彼らが戦争を準備しているちょうどその時に--われわれを欺いているのである。ソビエトの人間たちは現在、彼らの体制から非効率的なものそして無用の人材を追放している、大規模な西側の財政/産業注入を通じて彼らの経済力を築いている、少数残っている反共産主義諸国(例えば、南アフリカ、韓国、フィリピン、チリ、台湾、エルサルヴァドル)を取り除こうと努めている、西ヨーロッパとNATOを中立化している、「歴史を通じて知られた平和と軍縮の最大の序曲でもって眠らせようとアメリカ人たちをあやしている」、アメリカに対する彼らの軍事的リードを拡大している、そして1990年代半ばから後半におけるアメリカに対する最終的な猛攻撃を準備しているのである。

「新世界秩序」徒党は、あるいはソビエト人たちは、1990年代における彼らの世界支配の目標を達成するであろうか? 筆者はそうは考えない。おそらく歴史のすべての中での善と悪との間の現れて来る最も大きな闘争にもかかわらず、聖書の神、宇宙を創造なさった神は今なお、歴史、諸国そして諸個人の生活を責任をもって預かっておられる。[諺に]言われて来たように、「計画するのは人、成敗をつけられるのは神」なのである。筆者は来るべき混沌のまっただ中のある地点で、神が悪に反対して善の側で介入なさる*、そして敵を混乱させてくださると信じている。神のために悪に反対する立場を喜んで取ること--そしてそのもろもろの結果を神の手に委ねることはアメリカ人の義務である。エドマンド・バーク(Edmund Burke)がかつて言ったように、「悪に勝利させるために必要なすべてはよい人々が何もしないことである。」

そしてウィンストン・チャーチルが1938年に(われわれ自身の時代と似ている時代に) 無関心な、ひとりよがりのイギリスの人々を目覚めさせようとしていたとき、言ったように、「全均衡が混乱させられ、西欧民主主義に反対する恐るべき言葉が宣言された。なんじはどちらとも決まらないで計られ、不足を見つけられる。そしてこれが終りだと考えてはならぬ。これは計算の始まりにしかすぎない。これは、道徳的健康と好戦的活力の最高の回復によってわれわれがふたたび立ち上がり、昔のように、抵抗しない限り、年々われわれに差し出されるであろう苦い杯の前もって味わう最初のものでしかない。」

*FATIMA CRUSADER編集者注:ファチマの聖母は言われた:「最後に、私の汚れなき御心が勝利するでしょう。教皇はロシアを私に奉献するでしょう。ロシアは回心し、平和の一時期が世界に与えられるでしょう。」

ロシアが回心するのは、聖母がシスター・ルチアに告げられたように、ただ司教たちと一緒の、荘厳で公的な仕方における教皇によるロシアの奉献によってのみである。もし教皇がそのことをすぐにしないならば、そのとき全世界は、アメリカ合衆国(成り行きの中で絶滅されていない部分)を含めて、共産主義ロシアによって奴隷化されるであろう。

このことはグルーナー神父の書物『世界の奴隷化か、それとも平和か...それは教皇にかかっている』および他のさまざまのThe Fatima Crusaderの号において十分に説明されている。

加速要因:政治的、経済的および金融上の混乱が単に増大するばかりでなく、変化の率が加速しているので、惑星地球は過ぎ去る毎週毎、毎月毎にますます速く回転しているように見える。考察される必要があるのは、単に起こりつつある重要である諸々の出来事ばかりではなくて、これらの出来事の恐るべきスピードアップあるいは加速化である。人間は過去35年間にすべての先行の歴史を通じてより以上の多くの知識を蓄積したと言われている。一つの大きなスーパー・コンピューターは先行の数千年間の知識や研究に匹敵する情報量を蓄え、そしてそれ以前のすべてのコンピューターが結合したより以上のデータを処理することができる。瞬時の世界的コミュニケーションは今日衛星および他のハイテクを通じて地球のすべての地点を結びつける。その結果あらゆる場所でのすべての出来事はすべての人によって直ちに知られまた見られ得る。かつて回るのに数ヶ月を要した地球は今や数時間のうちに横切ることができる。そして地球のあらゆるインチ平方の場所も今では、1945年以前には全部で見られたよりももっと大きな爆発力をそれぞれが持った破壊的な核兵器によって15分以内に到達され得るのである。

加速要因あるいは雪だるま要因は悪化しつつある世界の債務ピラミッドにおいて見られ得る。そこでは個人および企業の破産、S&Lおよび銀行破産そして第三世界の債務不履行が危険なペースで加速しつつある。それはソビエト帝国における信じられない激動と変化において見られ得る。そして中央およびラテン・アメリカ、南アフリカ、フィリピン、そして中東における共産主義革命の加速化において見られ得る。それは西ヨーロッパにおける政治的、経済的および金融上の統一への集団暴走において、また新世界秩序、そして「合衆国とUSSRの共通の利益の合同」(ブッシュと彼の世界主義者の友人たちによって1990年代半ばに的が絞られている)への突進において見られ得る。

加速要因は2000年までに一つの世界政府に案内すると約束しているニューエイジ運動の急速な拡がりにおいて、そしてオカルト、悪魔主義、そしてニューエイジ哲学の爆発において見られ得る。簡単に言えば、世界は1990年代に信じられない変化、激動そして混沌へと向かって揺れながら疾走している。アメリカ、西欧そしてソビエトの指導者たちによって、平和、繁栄、兄弟愛そして世界政府が大衆に約束され、売り出されているけれども、筆者はまったく異なった何かあるものが制御できなくなった貨物列車のように近づいていると信じている。1990年代は現代における、あるいはおそらく全歴史における最も混沌としたそして激動の10年であろう。デイヴィッド・ハント(David Hunt)が前方に横たわっている時代に関する彼のすぐれた書物において記述しているように、それは「平和、繁栄そして次に来るべきホロコースト」であろう。

起こっていることだけでなく、これらの出来事がそこで起こっている比率の注意することを覚えておきなさい。それはこう呼ばれる:

加速要因

*MIA--McAlvany Intelligence Advisor

2004/02/12 三上 茂 試訳

作成日:2004/02/12

最終更新日:2005/03/22

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