ファチマの聖母マリア

汚れなき御宿りについてのパードレ・ピオの説明

The Fatima Crusader, Isuue 57: Spring/Summer 1998より

パードレ・ピオ

フランチェスコ・フォルジオーネ(Francesco Forgione)は1887年5月25日に5人の子どものうちの1人として生まれた。そして一人の子どもとしてすでにまれにみる恩寵に恵まれていた。若いときから祈りと犠牲にまったく専心していて、彼はカプチン会修道会に入会した。彼はこれらの初期の段階でさえ悪魔によって悩まされた。彼を強めるために、神は彼に聖櫃から次のような言葉が出てくるのを聴く恵みをお許しになった。「おまえは聖フランシスコのように、むち打たれ、茨の冠をかぶせられ、十字架に釘づけられるだろう。」1910年にフランチェスコは司祭に叙階され、パードレ・ピオの修道名を受けた。そして1915年9月20日にキリストの目に見えない傷を受けた。3年後、1918年9月20日には目に見える聖痕、彼の心を神である彼の師に結びつけ、彼の使命が完成するまで主の受難に生きることになる最も深い愛の外的しるし、を受けた。彼は1968年9月23日に亡くなり、1997年12月18日に教皇ヨハネ・パウロ二世によって尊者と宣言された。

[以下の文章は]尊者パードレ・ピオ、O. F. M. Cap.による[ものである]

永遠の愛、光と真理の霊よ、私の貧しい精神の中へ一つの道を作り、私のような惨めな被造物に可能なかぎり、めぐみ、純粋さそして聖性の深淵へと深く入って行くことを許してください。それは私が絶えず更新される神の愛、その御手によって創造されたすべての傑作の中の最も偉大な方:おとめマリアを全永遠から御計画になった神の愛を得んがためです。

全永遠から全能の神は御手の最も完全な作品であるべきであったものに喜びを見出され、このすばらしい計画をその御恵みのほとばしりでもって見越しておられました。

罪のないものとして創造された人間は神に不従順であることによって堕落しました。原罪のしるしは彼の額に、そして時の終わりまでその諸々の結果を身に帯びるであろう彼の子孫の額に、彫り込まれて残りました。

一人の女が破滅をもたらし、一人の女が救いをもたらすはずでした。一人は一匹の蛇に誘惑されて、人類の上に罪のしるしを押しました。もう一人の女は純粋で汚れのない恵みを通じて立ち上がるはずでした。彼女は彼女の前では無力であった、そして彼女の足の下でむだにもがいた蛇の頭を踏みつぶすでしょう。なぜなら、彼女は罪なしにはらまれたからです。そして彼女を通じて人類に恵みが来たのです。

罪へと陥った人類の救世主となるべき御方によって恵みで保護されて、彼女はあらゆる悪の影から免れていました。彼女は光の純粋な光線として神の精神から飛び出ました。そして彼女へと身を転じる人類の上に暁の星のように輝くでしょう。彼女はイエズス・キリストである神の御子へと私たちの足を方向づける確かな導き手であるでしょう。キリストは彼女を神の輝きで輝かせ、私たちの純粋さと聖性の模範として彼女を指し示されます。いかなる被造物も彼女を凌駕することはありません。しかしすべての被造物は彼女を汚れなき御方とされた御者の恵みを通じて彼女に従います。彼女がその胎内にはらまれる御方は彼女の御懐胎の栄光において御父と聖霊とに与っておられる神の御子です。

その懐胎の瞬間から光にまとわれて、彼女は恵みと美しさのうちに成長されました。全能の神の後に、彼女は被造物の中で最も完全です。天使たちよりも純粋です。神は実際彼女において喜ばれました。なぜなら、彼女は神にもっとも似ておられ、そして神の秘密の唯一の相応しい宝庫だからです。

自然の秩序においては彼女はその神の御子、われらの主に先行しておられました。しかし神の秩序においてはイエズス、神の御子は彼女の前に現れておられました。そして彼女は御子からすべての恵み、すべての純粋さとすべての美を受けられたのです。

彼女がその胎内に宿された御方を通じてすべての創造を更新する純粋な光--バラの上の露のように--に比較すればすべては闇です。

汚れなき御宿りは私たちの救いにおける最初の一歩です。この類いまれなそして独自の賜物を通じてマリアは神の恵みの豊かさを受けられました。そして彼女の協力を通じて彼女はもっと多くのものを無限に吸収するに相応しい方となられました。

私のいとも純粋な御母よ、私の霊魂はそのように貧しく、すべては惨めさで汚されています。そして罪はあなたの母の心に叫びを挙げています。あなたの優しさにおいて、あなたに嘆願します、どうか、神の御心からそのような無限の豊かさをもってあなたの中へ流れ入る恵みの少なくともほんの少しばかりを私に注いでくださいますように。この恵みによって強められ、支えられて、あなたの心を完全に満たしておられる、そしてあなたの汚れなき御宿りの瞬間からあなたの身体の神殿を創造なさった全能の神を私がもっとよく愛し、神にもっとよく仕えることができますように。

神の三つのペルソナはこの崇高な被造物に彼女の特権のすべて、彼女の好意、彼女の恵みそして彼女の聖性をしみ込ませられます。

永遠の御父は彼女を純粋にそして汚れなきものとして創造されました。そして彼女において喜んでおられます。なぜなら、彼女は御父の御一人子の相応しい住まいだからです。全永遠から御父の胸の中での御父の御子の出生を通じて、御父は人間としての御子の出生をその御母の純粋な胎のうちに予見なさいます。そして御父は彼女を彼女の御宿りから恵みと最も完全な聖性の輝かしい雪のような衣でまとわれました。彼女は御父の完全性に与っておられます。

彼女を御自分の母として選ばれた御子はそもそもの始めから注入された知識によって彼女が御自分の神を知られた知恵を注がれました。彼女は御子がそれまでに地上で決して愛され、仕えられたことがなかったほどの最も完全な仕方で御子を愛され、御子に仕えられました。

聖霊は御自分の愛を彼女の中へ注がれました。彼女はこの愛を無制限の尺度において受けるに相応しくまた受けることができる唯一の被造物でした。なぜなら、いかなる他の被造物も神にそのように近づくほどに十分な純粋さを持っていなかったからです。そして神に近くあることでますます神をよく知りよく愛することができたのでした。彼女は神から彼女の中に注がれた愛の流れを入れることができる唯一の被造物でした。ただ彼女だけがその愛が出て来た御方へ帰るに相応しい方でした。まさにこの愛が彼女を「フィアット」[仰せの通りわれになれかし]--世界を地獄の敵から救い出した--のために準備し、最も純粋な鳩である彼女を、彼女の胎内に神の御子をはらみそして保つことを引き起こしながら、彼女を覆ったのです。

おお、私の御母よ、あなたの御前にいて、諸々の欠点で押しひしがれている私はどのように恥ずかしい思いをしていることでしょう!あなたは御宿りの瞬間から、実に、神の精神においてあなたが宿られた永遠におけるその瞬間から、最も純粋で汚れなき御方です。

私を憐れんでください!あなたの一つの同情の眼差しが私を生き返らせ、純化し、そして私を神にまで引き上げてくださいますように。私を創造なさった御者のところへ私が行くことができるように、この世の不浄から私を引き上げてください。神は私を聖なる洗礼において再び産んでくださり、原罪がそのように汚した、私の無垢の白衣を返し与えてくださいました。愛する御母よ、私に神を愛させてください!神のためにあなたのうちで燃えたあの愛を私の心の中へ注いでください。私が悲惨をまとっているとしても、私はあなたの汚れなき御宿りの神秘を崇敬します。そして私は、あなたの神そして私の神を愛することができるようにそれを通じてあなたが私の心を純化してくださるよう熱心に望みます。私の精神が神にまで達し、神を黙想し、霊と真理において神を崇めることができるように私の精神を清めてください。わたしもまた神のための聖櫃であることができますように、そして御聖体において神がおそれ多くも私のところへ来てくださるとき神を所有するにあまり相応しからぬ者ではないように、私の身体を純化してください。アーメン。

私たちが神を知り、神に仕えそして神を愛することをよりよく学ぶことができるために、わたしたちの汚れなき御母の模倣において私たちが絶えず神の知識に専心するとき、聖なる洗礼によって贖われた私たちもまた、私たちの使命の恵みに対応するのです。

2004/03/20 三上 茂 試訳

作成日:2004/03/20

最終更新日:2004/03/20

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