ファチマの聖母マリア

世界の希望 聖母のロザリオ

The Fatima Crusader Issue 72, Winter 2003より

ニコラウス・グルーナー神父 B.Comm., S.T.L.,S.T.D.(Cand.)

 「世界平和と戦争終結を手に入れるために、来月の13日にここにくること、そしてロザリオの聖母を称えて毎日ロザリオの祈りをし続けることを私は望んでいます。ただロザリオの聖母だけがあなたたちを助けることができるからです。」

....1917年7月13日、ファチマの聖母

 今日、世界と教会は人類の歴史の中で最も重大な危機に直面しています。

 危機が荒れ狂っています。善が廃れ、悪が支配権を握っています。現代はノアの時代、大洪水の懲罰のときよりも悪くなっています。

 神は懲罰をお与えになる前には常に預言者たちや警告を送られます。しかし、あまりにも多くの人々は神の警告を自分たちには適用されないものだと見なしています。

 そこで神は何かの重大な災難あるいは懲罰が起こることをお許しになります。そして多くの人々はそれでもなおこの目覚めさせる呼びかけを自分たちの責任とは見なさずに、まったく公正でないものと見なします。ある人々は神が思いやりがないと言って神を冒涜しようとするかもしれません。

 彼らは神がこの短期間の苦しみを地獄における永遠の苦しみから私たちを救うためにお許しになるということを十分に学ばなかったのであり、また十分に考えなかったのです。

 人類は、今日、その教訓を学びませんでした。そして歴史は繰り返します。神はもう一つの世界的な洪水は決して起こらないであろうと約束なさいました。しかし、神はファチマで聖なる御母を通じて、人類に降りかかるもっと大きな懲罰を予告なさいました。

 聖母がファチマで次のようなメッセージを携えて三人の子どもたちに御出現になったのは1917年でした。

 「あなたたちは可哀想な罪人たちが行く地獄を見ました。彼らを救うために、神は私の汚れなきみこころへの世界的な信心を打ち建てることを望まれました。私があなたたちに言っていることがなされるならば、多くの霊魂が救われ、平和がやってくるでしょう。...」

 「未知の光に照らされた夜を見るとき、これが、神が戦争、飢饉、教会と教皇の迫害によって、世界をその罪のために罰しようとなさる大きな印であると悟りなさい。」

 「このことを防ぐために、私の汚れなきみこころへのロシアの奉献と5回の初土曜日の償いの聖体拝領を求めに私は来るでしょう。」

 「もし私の願いが留意されるならば、ロシアは回心し、平和が訪れるでしょう。もしそうでなければ、ロシアは、戦争と教会に対する迫害を引き起こしながら、その誤謬を全世界に広めるでしょう。善人が殉教し、教皇は多く苦しみ、さまざまの民族は絶滅させられるでしょう....」

 「....最後に、私の汚れなきみこころは勝利するでしょう。教皇はロシアを私に奉献するでしょう。そしてロシアは回心し、平和の一時期が世界に与えられるでしょう....」

 「ロザリオの祈りをするとき、それぞれの玄義の後にこう言いなさい。おお、わがイエズスよ、私たちの罪をお許しください。私たちを地獄の火からお救いください。すべての霊魂、特に最も必要としている霊魂を天国へ導いてください。」

 ですから、神は単に私たちに警告しておられるばかりではなく、一つの解決策、逃げ道をお与えになったのです。私たちはこの苦しい時を通じて苦しむ必要はなかったのです。しかし、私たちは苦しんでいます。なぜなら、聖なる御母を通じて送られた神のメッセージが無視されてきたからです。教皇が世界の司教たちと共に、同じ日に、マリアの汚れなきみこころにロシアをはっきり限定して奉献するという簡単な要求が「いまなお」為されていないのです。初土曜日の償いの聖体拝領という簡単な要求が広く留意されてきませんでした。(この簡単な要求のために「罪の償いは平和回復に必要である」と題された節を見てください。)

世界は間違った方向へ進んでいる

 教皇ヨハネ・パウロ二世は1982年にファチマに行かれたときに、世界は聖母によって示された方向とは反対の方向へ進んできた、罪が制度化されてきた、と言われました。

 1917年に、聖母が始めて私たちに、私たちは危機の中にいると語られたとき、...中絶はまだ世界のどこででも制度化されてはいませんでした。ロシアにおいてすらそうでした。それは1920年代にはじめてロシアにおいて合法的なものとされました。そして、今では、ロシアのその誤謬は世界中に広まり、その結果今や毎年5000万人の赤ん坊が殺されています。

 聖トマスが説明しているように、誤謬の最初の結果は不正です。神と神の権利が私たちの法律や他の社会制度--私たちの病院のような--から排除されているという誤謬とともに、そのとき男や女の誤った「権利」--「私の身体は私自身のものであり、私は神に対するどんな奉仕の義務もない--が主張されるのです。今日、母親たちは自分の胎内で自分たち自身の子どもを合法的に殺す「権利」を主張しています。真の権利は神から来ます。そして神は私たちの同胞である人間を殺す権利を私たちに与えてはおられません。

 明らかに、人類は1917年に聖母が私たちの危機について警告なさった後でさえ、驚くべき速さで道徳性と霊性においてますます堕落してきました。世界は、聖母が私たちに示すために来られた地点とは反対の方向に進んできました。

それでも、聖母は私たちに希望を与えることを決しておやめになりません。イエズス御自身がこう言われました。「イエズスとマリアに寄り頼むことに決して遅すぎるということはない」と。

ロザリオ:大きな希望の根拠

 神は世界と人類がどこへ向かっているかをご存じでした。神はご自分の緊急のメッセージが無視され、曲解され、沈黙させられるのをご存じでした。それゆえ神は私たちの中から聴き従う人々、鎧、私たち自身と私たちの家族を守り、この危険に満ちた時代を乗り切るためにひとつの武器を送られました。

 その神が送られた武器とは、この「ファチマ・クルーセイダー」誌でお読みになるように、ロザリオです。

 ロザリオは私たちの国の諸問題、個人的な諸問題、子どもたちの問題、私たちの恐れ、私たちの疲れ切った神経、私たちのすべての困難を癒すことができます。シスター・ルチアはこう言っています:

 「あなたたちに言いますが、どれだけ困難であろうとも、聖なるロザリオの祈りによって私たちが解決できない問題は何一つありません...」

 今日、私たちはみな多くの問題を抱えています。教会ですら分裂させられ、内外から攻撃されています。しかし教会のうちに忠実にとどまるように私たちを助けるのは私たちのロザリオの祈りです。このようにして、私たちは「あなたはペトロである。この岩の上に私の教会を建てる。地獄の門はこれに勝たない」(マタイ:16:18)という主の御約束から私たちは利益を得ているのです。

平和を回復するためには罪の償いが必要である

 第一次大戦は「三つの原因がある。すなわち、冒涜、日曜日の労働、そして結婚の神聖さを汚したことである」と神から告げられたのはフランドルの神秘家ペレ・ラミー--司教から「もう一人のアルスの司祭」と呼ばれた-- でした。ファチマで祝せられたおとめが次のように言われるとき、この教えを確証なさっているのです。「戦争は罪に対する罰です。」そして大いなる秘密の中でこう告知されています。「もし人々が神に背くことを止めないならば、もう一つのもっと悪しき戦争がピオ十一世の御代に始まるでしょう。」このようにして、第二次世界大戦が勃発しました。

 ファチマのメッセージは戦争の原因、すなわち罪を取り除くためのものでした。10月13日の大奇蹟の直前に聖母はこう言われました。

 「人々は生活を改め、自分たちの罪の赦しを願わなければなりません。」そしてますます悲しそうにしながら、こう言われました。「これ以上主に背いてはなりません。なぜなら、主はすでにあまりにも多く背かれておられるからです!」

 ずっと後に、これらの言葉を振り返りながら、シスター・ルチアはこう書きました。

 「この御出現において語られたすべての言葉の中で私の心に最も深く刻み込まれた言葉は天の御母によって為された次の願いです。『これ以上主に背いてはなりません。なぜなら、主はすでにあまりにも多く背かれておられるからです!』」

 「何という愛すべきお小言でしょう、何という優しいお願いでしょう!天におられる私たちの御母のすべての子どもたちは彼女の御声を聞くことができるように、誰が私に世界中にその声を響かせるという願いをかなえてくれるでしょうか!」

 後になって、ファチマの御出現の中で、イエズス御自身がシスター・ルチアにマリアの汚れなきみこころがひどく背かれているということを私たちに告げるために来られました。

 1925年12月10日にシスター・ルチアは聖母と御子イエズスの御出現を受けました。いとも聖なるおとめはその手をルチアの肩の上に置かれ、もう一方の手に持っておられたいばらによって取り巻かれたみこころを彼女に示されました。同時に御子が彼女にこう言われました。

 「恩義を知らない人々が間断なく突き刺している棘で取り囲まれたいとも聖なる御母のみこころに同情しなさい。それらの棘を取り去るために償いの行いをする人が誰もいないのです。」

 それからいとも聖なるおとめがシスター・ルチアに言われました。

 「わが娘よ、私のこころを見なさい。それは恩義を知らない人々が冒涜と忘恩によって間断なく私を突き刺している棘で取り巻かれています。少なくともあなたは私を慰めるよう努めなさい。そして、私に対する償いをするという意向で、5ヶ月間つづけて初土曜日に告解をし御聖体を拝領し、ロザリオを5連唱え、ロザリオの15の玄義を黙想しながら15分間私と共にいるすべての人を、救いのために必要なすべての恵みをもって助けることを約束すると、私の名において告げなさい。」

私たちは毎日ロザリオを祈らなければならない

 聖母はロザリオを祈るように絶えず私たちを励まし、そして毎日ロザリオを祈るように強く求めておられます。聖母は、もし毎日ロザリオの祈りをするならば、異端に陥ることはないでしょうと約束なさいました。そしてもしあなたが不幸にして異端に陥ったならば、毎日ロザリオの祈りをすることによって、聖母が異端から救い出してくださるでしょう。

 教皇レオ十三世はロザリオに関する回勅「ユークンダ・センペル」の中でこう教えておられます。

 「祈りにおいてわれわれがマリアにするより頼みは、神の恩寵の仲介者としてマリアが神の玉座の側で絶えず果たしておられる祈祷の結果として起こる....ところで、マリアのこの慈悲深い祈りは、それがロザリオにおいてはっきり現れているほどには、他のどんな形式の祈りにおいても現れていない。」

 ファチマではいとも聖なるおとめはその毎回の御出現においてこの真理を力強く確証しておられます。

 5月13日:「世界の平和、戦争終結を得るために毎日ロザリオの祈りをしなさい。」

 6月13日:「毎日ロザリオの祈りをしなさい。」

 7月13日:「あなたたちが来月の13日にここに来ること、そして世界の平和と戦争の終結を得るために、ロザリオの聖母を称えて毎日ロザリオの祈りを続けることを私は望んでいます。なぜならただ聖母だけがあなたたちを助けることができるからです。」

 8月19日:「あなたたちが13日にコヴァ・ダ・イリアに行き続けること、そして毎日ロザリオの祈りを続けることを私は望んでいます。」

 9月13日:「戦争の終結を得るためにロザリオの祈りを続けなさい。」

 10月13日:「私はロザリオの聖母です。毎日ロザリオの祈りを続けなさい。」

 聖母はロザリオの祈りをすることをフランシスコが天国に行くための条件となさいました。

 「彼もまた天国へ行くでしょう。でも彼は多くのロザリオの祈りをしなければならないでしょう。」

 この御出現の後、フランシスコは一日にロザリオの祈りを六回から八回し始めました。

 ロザリオは、シスター・ルチアが次のように報告しているように、この世的な恩恵を得るためにさえひとつの条件であることがしばしばです。

 「そのとき私はいくつかのお願いをしました。でも今それが何であったか思い出すことができません。憶えていることは、聖母がその年の間にこれらの恵みを得るためにロザリオの祈りをすることがそのような人々には必要ですとおっしゃったということです。」

私たちは皆祈り、他の人々に告げなければならない

 マリアの汚れなきみこころは豊かな恩寵と恩恵を蓄えておられます。聖母はそれらの恵みを私たちの霊魂、私たちの家族、キリスト教世界、そして全世界の上に注ぐことがおできになります。しかしそれはただ、私たちの無数のロザリオの謙遜で絶えざる嘆願に応えてだけ、そうなのです。

 シスター・ルチアは私たちに、これらの時代ゆえに、神は歴史におけるどの時代によりも大きな力をロザリオにお与えになったと告げています。ですから、ロザリオの祈りをしなさい。それはあなたの武器です。それはあなたの楯です。それはあなたの保証、悪の諸力に対する霊的な予防接種です。

 あなたのロザリオの祈りは山々を移し、国々を救い、諸々の霊魂を救うことができます。何という特権でしょう。そしてそのように小さな勤めです。それはあまりにも容易なのでその奇跡的な力は懐疑論でときには影を薄くされます。その驚くべき奇跡的な力はあまりにもしばしば恐れと疑いの下に葬られます。

 もし私たちが自分自身をロザリオの聖母に向けたならば、どのようにもっと多くの奇蹟を見たことでしょうか。どのように多くの人々がロザリオの祈りをし、彼らの苦労に対する聖母の助けを求めているでしょうか。しかしそのとき彼らはそれらについてぶつぶつ言い続け、あたかも自分たちの祈りが答えられると本当に信じなかったかのように、自分たちの苦労を取り戻しているでしょうか。

 ロザリオは私たちの乱れた心に平和をもたらすことができます。そしてその平和は他の人々へと拡がることができます。そして最後にはその平和は世界を変えることができます。ロザリオから来る平和、静謐そして聖性は私たちが今必要としているものです。

 この小さなロザリオのブックレットは、もし十分な人々の手の中に置かれるならば、世界を救うことができます。私はこれを読む人がみな、10人、20人、あるいは100人の友人、親戚の人のためにそれを渡すか、あるいはコピーを作るように祈っています。この努力だけから生じるでしょうすべての恵みをちょっと考えてみてください。

 オーストリアにおいて、たった10パーセントの人々がロザリオの祈りをして、共産主義の圧迫から彼らの国を救いました。実際にそこにいてそれを目撃したひとりの兵士の個人的な証言をこの雑誌で読んでください。

 そうです。私たちは識別することができます。私たちは識別しなければなりません。

 私は手始めに100万部のロザリオのブックレットを印刷する決心をしました。そしてあなたたちの助けによって、私たちはこの努力を数百万の努力へと変えることができます。

 私はまた2500万人のロザリオ平和キャンペーンを始めました。それは世界人口の0.5%ほどです。これはよい出発です。もしオーストリアがそれをすることができるとすれば、一緒に私たちもそれをすることができます。あなたは家庭で、仕事場で、学校で、いたるところでこれをすることができます。

 祝せられたおとめに祈るように、特に聖母と共にいとも聖なるロザリオを祈るようにという聖母の呼びかけを私たちはどのように受け入れないことができるでしょうか? 世界を救うために私たちの時間のうちの数分を捧げることが私たちにはどのようにできないでしょうか?

 あなたがこの「クルーセイダー」誌の表紙を次々に読まれたとき、私があなたの助けを求める必要がないことを私は知っています。あなたは祝せられたおとめマリアに対する愛に満たされて、聖マキシミリアン・コルベがそうしたように、あなた自身を聖母のみこころの中に置き、聖母に仕え、聖母と共に唯一、聖なるカトリック的、使徒的教会においてイエズスに仕えたいと望むでしょう。(「汚れなきマリアのクルーセイドの理想」と題された論考を見てください。)そしてこの愛、イエズスとマリアのみこころへのこの奉仕は最終的にファチマの聖母の緊急のメッセージに留意し、世界に真の永続的な平和をもたらすために教皇と司教たちのために神の恵みを獲得するでしょう。もっと重要なことは、私たちがマリアの汚れなきみこころの勝利を達成することが早ければ早いほど、それだけ多くの霊魂が救われるということです。

 イエズスとマリアのみこころにおいて、私はあなたたちと一緒にこれら二つのみこころに奉仕することを考えて喜びに堪えません。

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作成日:2003/06/24

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