ファチマの聖母マリア

「嵐の前の静けさ」(2)

The Fatima Crusader, Issue 57, Spring/Summer 1998より

ニコラウス・グルーナー神父 B.Comm., S.T.L.,S.T.D.(Cand.)

この論考はミネソタ州セント・クラウドでグルーナー神父によって行われた講演に基づくものである。

あなたたちは新世界秩序という言葉を、ジョージ・ブッシュが大統領職を去って以来、それが大統領によって用いられて来なかったけれども、聞いたことがあるでしょう。

新世界秩序は実際には一つの古い考え方です。もしあなたがアメリカのドル紙幣の裏側を見るならば、あなたは"Novum Ordo Seculorum"という言葉を見るでしょう。それは新世界秩序を意味しています。あなたはまた1776年という年号を見るでしょう。ところで、多くの人々はそれは独立宣言の年を指していると考えています。いいえ、そうではありません。それは、同じ年、1776年に創立されたイルミナーティに関係しているのです。そしてイルミナーティは一つの新しい世界秩序を持つことを欲しています。

新世界秩序はその言葉を20年以上も前からずっと使っているブッシュ、あるいはゴルバチョフ、あるいはフィデル・カストロが発明した何かあるものではありません。

新世界秩序の歴史的背景

神がお建てになった社会秩序に反対する戦いがあります。この革命は新世界秩序をもたらすために神がお建てになった秩序を逆さにするはずです。それがフランス革命が関わったことです。すなわち、祭壇と王座をうち倒し、神の与え給うた権威を奪い、彼らが私たちを支配することができるように、それを彼ら自身のクラブのメンバーに与えることだったのです。

新世界秩序が栄誉を受けられる神、私たちの父祖の神、イエズス・キリストの神、御父なる神、御子なる神、聖霊なる神を持つことを欲しないということをあなたたちが理解するとき、それは真の発見です。むしろ、彼らは顔のないあるタイプの神、もっと正確に言えば、偽りの神を欲しています。究極的には、彼らは悪魔が彼らの神であることを欲しています。国連は、彼らがキリストに少しでも言及したとしても、キリストをすべての偽りの神々と同一の水準に置いているのです。神は非実在としえ、これらの神でないものと等しいものとして、扱われることを受け入れられないでしょう。あなたたちは新世界秩序がフリーメイソンの宗教に基づいているということに気がついていないかもしれません。フリーメイソンの宗教はカナーンの神々に基づいています。教皇レオ十三世が指摘されたように、「彼らの(フリーメイソンの)神は悪魔です。」私たちのブック・サービスで入手可能な、その表題による一冊の書物があります。ポール・フィッシャー著の『ロッジの扉の背後に』はまた、この国の学校からどのように祈りが排除されたか、ということを含むこれらの事柄を説明しています。ポールはあなたたちにこれらの事柄が実際に続けられているということを示すために、フリーメーソンの数々の月刊誌を読み通すのに30年にものぼる年月を費やしました。

今日の合衆国に対する新世界秩序の悪魔的計画

現代の時代にまで来て、そしてここから未来に達するために、彼らは国連の指揮の下に軍隊を併合し放棄することによって新世界秩序をもたらそうと努めています。そして国連軍は常に合衆国との相互同意によってロシア将軍の指揮下にいます。1948年から現在までの国連軍作戦の最高司令部は1950年代にユーゴスラヴィアからの共産主義者によって保持された短い一時期を除いて、常にロシア人の下にありました。

この新世界秩序の目標は私たちの社会から神が排除されてきた以上にさえ神を排除することです。彼らの目的は世界のすべての軍隊と軍事力を、例えば、ロサンゼルスで暴動が起これば、暴動者たちを鎮圧するために、そしてまったく同様に、ロサンゼルスにおける新世界秩序に反対する反対者たちを鎮圧するために、中国からの軍隊を送り込むことができるように、一つの統合された軍事力の下に置くことです。

この国の創設者たちは軍隊が警察の活動に巻き込まれることを欲しませんでした。合衆国軍隊は何度も次の問いを問われています。「あなたたちはアメリカの市民に発砲しますか?」この国の軍隊は再定義されつつあります。国境を守り、それを外国の侵略者たちから守るという目的の代わりに、それは警察力として使われます。

このことは次のことを私に考えさせます。ペレストロイカは「再組織化」を意味します。そしてロシア人たち(今日でもなおマルクス・レーニン主義者であるゴルバチョフのような)が行いたいと欲している再組織化は私たちの諸制度を−神に反対する世界革命の利益にそれらを奉仕させるために、私たちの軍隊を−再組織化することです。これは過去には共産主義と呼ばれていましたが、今では新世界秩序と呼ばれています。

人はその情景を見ることができるか、あるいは見ることができないかのどちらかです。しかし、最低線は私たちがその状況にいるということです。そしてもしあなたたちがそのための私の分析を受け取りたくないのであれば、そのための聖母の言葉を考えてください。

彼女は本質において次のようなことを私たちに告げられました。「合衆国を含む全世界は、あなたたちがあの可哀想な国の回心を得ないならば、ロシアによって征服されるでしょう。」

「懲罰の道具としてのロシア」

以前に私はファチマのメッセージについて説教をしました。そして神が人々を罰するためにロシアをお用いになるということに気づきました。ある人々は強く反対して、こう言いました。「それは聖書的ではない」、「それはカトリック的ではない」、「あなたはそのように話すことはできない」等々。私の答えはこうでしたし、そして今もなおこうです。「聖書を読みなさい。」

あなたたちがバビロンの捕囚に気づいていないならば[言いますが]、バビロニア人たちは非常に悪い民でした。しかしエレミヤ(旧約聖書のエレミヤ記を見てください)はエルサレムの都に対して、それが恐ろしい異教徒であるバビロニア人の手に落ちるであろうと言いました。当時のエルサレムの市民はこのことを信じることを欲しませんでした。というのは、彼らは、神がいつも神殿と共にいるであろうと言われたその神の約束を私たちは持っていると自らに言っていたからです。それで、私たちは心配するには及ばない。「神殿、神殿、神殿」、彼らはそう言っていたでしょう。それでもエレミヤは神の預言者でした。そして神は人々にこう告げさせるためにエレミヤを送りました。「否」。神殿は破壊されるであろう。そしてエルサレムは敵、あの恐ろしい民、あの恐ろしい異教徒の手に落ちるであろう。

エレミヤはエルサレムの聖なる都に対して、彼らの罪のゆえに彼らを懲罰するために、神がバビロニア人をお使いになるであろうということ、そして神が、もし彼らが回心しないならば、捕囚として連れて行かれることを彼らにお許しになるであろうということを説明しました。そして、人々は神殿に対して忠実である、彼らのユダヤ宗教に対して忠実であるという名の下に、神が彼らに警告し、彼らを正すためにお送りになった預言者を信じませんでした。

教皇に対して忠実

今日私たちは、グルーナー神父は、教皇がロシアの奉献をしなかったから私たちは奴隷化されると言っているから教皇に反対しているのだ、ということを聞きます。私は教皇に反対しているのではありません。私は毎日彼のために祈っています。私は単に彼のために祈っているばかりでなく、彼の首および彼の兄弟であるすべての司教たちの首をすくうために祈っています。

教皇に対する不忠実ということで私たちを非難する人々、そして自分たちは教皇に忠実であると主張する人々は教皇ヨハネ・パウロ二世を誤って引用する同じ人々です。もっと正確に言うならば、彼らは、教皇がある事柄を非常に明確に言われるとき、ある言葉を落とします。というのは、それは彼ら自身の政治的な協定事項に適合しないからです。しかも、彼らは政治的な協定事項を持っているということで私たちを非難します。

私はあなたたちに詳細な点をお伝えすることができます。1984年3月25日に、教皇は世界を奉献された後で聖母にこう言われました。「特にあなたがその奉献を待っておられる人々を照らしてください。」

ファチマの聖母が要求なさったように、教皇がロシアの奉献をしなかったということを教皇が知っておられるということは非常に明らかです。私は何度もこのことについて書いてきました。私がここで言っていることは何か新しいことではありません。しかし、私は同じ古い嘘が全体的ファチマメッセージに反対して、またそれを擁護する私たちに反対して、来る年も来る年も再び繰り返されるのを聞いています。それで私は、私が来る年も来る年も言ってきた同じ古い事柄を繰り返さなければならないと考えるのです。そして、それは、公衆に自分たちは教皇に賛成であると告げ、実際には教皇から決定的な言葉を落とす同じ人々なのです。彼らはそれらの言葉を引用しません。というのは、それは奉献がなされていると言っている彼らの協定事項と一致しないからです。教皇が二回の別々の機会に、一つは25万人の人々の前で、二回目は同じ日に1万人の別の人々の前で、公に認められたとしても、そうなのです。いずれの場合も報告されました。一つは教皇自身の新聞「オッセルヴァトーレ・ロマーノ」に、そして第二のものはイタリア司教会議の新聞「アッヴェニーレ」にそれぞれ報告されました。「われわれは何度も公表した。そしてなおわれわれはグルーナー神父が強硬に反対していると繰り返し言っている人々を持っている。私は教皇が言っておられることを繰り返している。私は教皇が言っておられることを認めている。奉献はなされていない。」(15ページの「オッセルヴァトーレ・ロマーノ」の写真を見よ。)

司教たちと教皇の首を救おうとすること

私はどのようにして教皇の首を救おうとしているのでしょうか? 私たちの主は私たちにこう言っておられます。「彼らが私の命令の実行を遅らせることにおいてフランス王の例に従うならば、彼と同じように、彼らは彼に従って不幸に陥るであろうと私のしもべたちに知らせなさい。」フランス王への言及は何でしょうか? フランス王は一つの理由でギロチンにおいて彼の頭をはねさせました。というのは、彼は聖心へのフランスの奉献のために聖マルガリタ・マリアを通じて彼に与えられた命令に従順でなかったからです。

1689年6月17日に、今は列聖されている聖人である、聖マルガリタ・マリアはフランス王に、彼自身の国フランスを公的な奉献の儀式においてイエズスの聖心に奉献しなければならないということを伝える命令を受けました。私たちの主はその代わりにフランス王に、彼がフランス王のすべての敵を従わせ、大きな回心をもたらすであろうと約束なさいました。

1931年8月に私たちの主はこのことに言及しながら、シスター・ルシアにこう言っておられます。「それを私のしもべたちに知らせなさい。」主はこのことを、誰も私たちを理解しないように、私たちに隠したり、あるいは遠回しに言ったりすることを望んでおられません。主は彼らが理解することを望んでおられます。主は私たちにそれを平明に言うことを望んでおられます。そうでなければ、彼らはどのようにして理解しようとするでしょうか? 69年後、彼らはなおそれを理解しませんでした。私たちは、誰も理解せず、誰もそれに反対しないように、ただ外交的であることによって、そして事柄を非常に静かに言うことによって、どのようにしてこのことに達するのでしょうか? (立腹しがちであるすべての人が立腹する理由はないということを、そしてある人々が実際、平和への道を彼らに示し、霊魂たちを救う彼らの努力において大きな成功を示すということに感謝すべきあらゆる理由があるということを、理解してくれればよいのですが。)

それは非常に簡単です。私たちの主はそれが理解されることを望んでおられます。「それを知らせなさい。」彼は言われます。「彼らが私の命令の実行を遅らせることにおいてフランス王の例に従うならば、彼と同じように、彼らは彼に従って不幸に陥るであろうと私のしもべたちに知らせなさい。」

1789年6月17日、その日からちょうど百年後、フランス王は第三階級によってその権力を剥奪されました。そして4年後に彼はギロチンによって彼の頭をはねさせました。「それを私のしもべたちに知らせなさい。」

誰が王により忠実だったでしょうか? 神がお望みになったことをするように彼を助けようとする人でしょうか、それとも神の御意志を無視するように彼に告げる人でしょうか? !

王はこう言ったことでしょう。「私にとってそれは少々遅い。しかし、私は最後に神がお望みになったことを私にさせるように努める人々が私の忠実な臣下であり、召使いであるということを理解する。」彼はそのことを監獄にいるときに認めました。しかし、彼はそれを公的に、荘厳に行うことができませんでした。というのは、彼は監獄に入っていたからです。彼はその監獄の独房から聖心にフランスを奉献しました。しかし、それは十分ではありませんでした。それは荘厳な、公的な行為でなければならなかったのです。そしてあなたたちが、「彼らが私の命令の実行を遅らせることにおいてフランス王の例に従うならば、彼と同じように、彼らは彼に従って不幸に陥るであろうと私のしもべたちに知らせ」ることができる程度に応じて、そのように私たちの主は私たちに、そして私に、そしてあなたたちに、告げておられるのです。

私はシスター・ルシアへの私たちの主のこれらの言葉の文脈をあなたたちにお知らせすべきでしょう。というのは、それは非常に事柄の解明に役立つからです。私たちの主がシスター・ルシアに話しかけられる前に、彼女はちょうどスペイン、ポルトガル、ヨーロッパ、ロシアそして世界の回心のために祈っていました。私たちの主が、彼女に話しかけ、こう言われたとき、彼女はこれらの、そしてすべての国々の回心のために祈っていました。「あなたはこれらの国々の回心を願うことによって私を非常に喜ばせる。それをまた私の御母にも願いなさい。」

イエズスは二つの新しい祈りを書き取らせられる

それから、彼はスペイン、ポルトガル、ヨーロッパ、ロシアそして世界の回心のためにしばしば祈るように、シスター・ルシアに二つの祈りを書き取らせられました。

「マリアの甘美な御心がロシア、スペイン、ポルトガル、ヨーロッパ(私たちはカナダ、合衆国を加えることができます)そして全世界の救いでありますように。」

「おお、マリアよ、あなたの純な、汚れなき御宿りによって、ロシア、スペイン、ポルトガル、ヨーロッパ(カナダ、合衆国)そして全世界の回心を私のために得させてください。」

ところで、フレール・フランソワにおいて、あるいはフレール・ミッシェルにおいて、あるいは私たちの出版物において以外には、私はこれら二つの祈りが広く公表されているの見たことがありません。私たちがそれらの祈りを作り上げたのではありません。あなたたちはそれらを原物の文書のうちに見つけることができます。しかし、誰もそれらを広く行き渡らせていません。あなたはこれらのいわゆる「教皇に忠実である人々」がこれら二つの祈りを隠していることの本当の理由が何であるかを自問してもよいでしょう。

イエズスの祈りは隠されている

ファチマでは全部で七つの祈りが与えられました。私たちの主が二つ、聖母が三つ、そして天使が二つ教えました。

聖母と天使が教えた祈りはどちらかというと知られています。しかし、私たちの主御自身が教えられた祈りは誰によってもほとんど話されません。というのは、もし彼らがそれについて話すならば、彼らは私たちの主がリアンジョにおいてお与えになったメッセージ「それを私のしもべたちに知らせなさい....」について話さなければならないだろうからです。

ファチマ・メッセージのこの局面に関してはこれまでに沈黙の陰謀が存在してきました。最も敬虔であり、聖母に献身していると主張している人々でさえしばしばそれをあなたたちから隠しています。私もこのことにおいてまったく同様に間違っていたでしょう。しかし、私はほとんど20年間この点に関わってきました。そして私は他のどの場所でもこれらの祈りを見出さなければなりません。

あなたたちは聖母と天使が教えたすべての祈りを引用することができます。そしてあなたたちは皆ロザリオの各連の後の祈りを知っています。それではあなたたちが私たちの主御自身がお教えになった祈りを記憶から引用することができないのはなぜでしょうか? あなたたちはこれらの祈りを以前に聞いたことがありますか? 誰もいませんか? しかし、私たちの主は「それをしばしば祈りなさい」と私たちに言っておられます。それはファチマ基本財産の一部です。それは1931年8月に与えられました。

教会の生かしておけない敵

教会は生かしておけない敵、悪魔に直面しています。悪魔は私たちに対する戦いを、私たちの最初の両親を欺くことに成功したエデンの園において始めました。悪魔の見地からは、彼は最初の勝利の結果としてとてつもない成功を収めました。

神は創世記の第三章において預言と約束をなさいました。それはイエズスとマリア、そして彼らの真の追随者たちによる悪魔に対する勝利の約束です。悪に対するこの約束された、決定的な勝利を私たちはファチマのメッセージへの従順を通じて実現されると見出すでしょう。

聖母はこう言っておられます。「最後に私の汚れなき御心は勝利するでしょう。教皇はロシアを私に奉献するでしょう。ロシアは回心し、平和の一時期が人類に与えられるでしょう。」

(次号に続く)

1998/07/25 三上 茂訳

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作成日:1998/07/25

最終更新日:1998/07/25

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