ファチマの聖母マリア

世界の奴隷化か、それとも平和か...
それは教皇にかかっている

ニコラス・グルーナー神父と他のファチマ専門家たち

ファチマ・クルーセイダー、バチカン・モスクワ協定に関して論評する

上述の報告からは教皇ヨハネ二十三世は彼の言葉をバチカン公会議に共産主義をそのものとして攻撃させないために与えたと思われる。教皇ヨハネ二十三世は彼の言葉を守った。しかしこのことは今カトリック教会を縛るものではない。なぜなら、イエズス・キリストの代理者 -- キリストの個人的な代表者 -- である教皇はイエズスによって彼に与えられた権威を超えて進むことはできないからである。神によって塗油聖別されたイエズスは -- 正義を愛し、不正を憎まれたがゆえに -- 共産主義のようなわれわれの永遠の救いにとって邪悪で危険なものが非難されないことを許容することがお出来にならない。教皇ヨハネ二十三世は彼の約束した沈黙によってしばらくの間、鉄のカーテンの背後の教会の迫害の減少を手に入れようと希望したのであった。注1)彼は何千万人ものカトリック教徒 -- 平信徒、司教、そして司祭たち -- がただカトリック信仰を信じ、実践したがゆえに、共産党秘密情報員たちによって殺され、投獄されあるいは追放されたということを知っていた。経験によって、教皇ヨハネ二十三世は西側のいわゆる自由諸国が、そうでないとの彼らの抗議にもかかわらず、鉄のカーテンの背後のこれらの無辜のキリスト教徒たちを守ることができない、あるいは守る意志のないことを理解していた。注2)

われわれにとって、ヨハネ二十三世が判断において一つの重大な誤りをなしたということを知るためのさらに20年の経験でもって優越感を感じる必要はない。注3)彼の誤りは、われわれが祈りと償いとによって彼が明確に見、そしてそれに従って行為するのに必要な恵みを彼のために勝ち取らなかったという事実のためである。彼の沈黙は共産主義の誤謬が南北アメリカ、「自由」ヨーロッパ、アフリカ、アジアの教会内部に広められることに終わった。なぜなら、東および西における共産主義的軍事的な無神論的プロパガンダ機構は信仰に対する嘘の何百万ドルの戦争を止めなかったからである。

ファチマのメッセージが心に留められなかったならば、ロシアがその諸々の誤謬を世界中に広めるであろうと、聖母はファチマで言われた。共産主義は世界中でカトリック信者たちに対するその憎しみと死の戦争を、殺し屋アグカ自身が1983年7月に公然と告白したように、 -- 1981年5月13日に教皇を撃つ一人の男を雇う点にまでさえ -- 続けた。( The Fatima Crusader , issue No.15 の p.10 におけるニュース・リポートを見よ)。

今われわれは皆このまさに苦い経験によって、ファチマの聖母が文字通り理解されなければならないということを知るべきである。ただ聖母だけがわれわれを助けることがお出来になる。聖母御自身が1917年7月13日に「ただ私だけがあなたたちを助けることができます」と言われた通りである。注4)聖母は、世界が教会と教皇との迫害によって罰せられるであろうということを、全ヨーロッパ、そして北アメリカとアフリカの異なった地域で数千万人の人々によって見られたファチマの大いなるしるしによってわれわれすべてに警告された。

神は、人類一般に、人類がファチマでの聖母の緊急の訴えを心に留めなかったがゆえに世界の処罰について人類に警告なさるために、1917年の太陽の奇跡よりも大きな1938年1月25-26日の大奇跡を働かれた。聖母はこの「大いなるしるし」 -- 聖母御自身がそう呼ばれたように -- は世界がカトリック教会の迫害によって罰せられる一つのしるしであると具体的に述べられた。聖母は教会が教会の迫害によって罰せられるとは仰らなかったことに注意しなさい。-- むしろ聖母は世界が教会と教皇との迫害によって罰せられるであろうと仰ったのである。

われわれは今や振り返って見て、教会と教皇とが20年間にわたってロシア共産主義の危険を公然と非難しないことへと欺かれ、打ちのめされ、迫害されてきたということを見るのである。われわれは、ローマ・モスクワ協定が自由世界を害し、危険に陥れたということを見る。われわれは教会と教皇との迫害を通じて教皇と全司教たちによるロシアの奉献がまだ果たされてこなかったということを見る。もしこのことがもっと長く続くならば、全世界はロシアによって奴隷化され、そしてさまざまの国家が絶滅させられるであろう。これらすべてのことは教会の迫害の結果である。この迫害は、われわれが回心し、ロザリオの祈りおよび日々の義務の遂行への聖母の呼びかけを果たすという聖母の要求を人類が心に留めないことの結果である。

神は、世界が教会と教皇との迫害によって罰せられているということをわれわれ皆が知ることを望んでおられる。この知識はヨハネ・パウロ二世に忠実であり続け、われわれの祈りと犠牲、そしてわれわれの道徳的な支持によって彼を支えるようわれわれを助けるであろう。この知識はまた教会内部で起こっている諸々の出来事をわれわれが理解することを助けるであろう。教会の迫害はその大部分が教会の敵どもによってわれわれの目から隠されているからして、神はこの大いなるしるしを、何が起こっているかをわれわれに知らせ、理解させるために、働かれたのである。

われわれの助けは主の御名にある。諸々の条約も東あるいは西との理解も、もしそれらが神の十戒に反する事柄に基づいているならば、われわれ信徒を助けないであろう。またファチマの聖母の命令に反する条約もわれわれを助けないであろう。

群れの内外の狼や熊どもからわれわれ自身を守るために、われわれはファチマの聖母に耳を傾け、聖母に従わなければならない。聖母がファチマで言われたように -- 聖母だけがわれわれを助けることがお出来になるのである。われわれがわれわれの周りにそして近くに広まっている誤謬によって誤り導かれていないことを確信するために、われわれは、ファチマの聖母がそうしなければならないと言われたように、毎日ロザリオの祈りをしなければならない。

その真の目的がキリスト教を滅ぼすことであり、そして西側における戦闘的無神論者たちによって秘密裡にしかし強力に援助されている 注5)ロシアにおける戦闘的無神論的政権によって真の信徒と真の羊飼いたち(イエズスとマリアに忠実な、そして教皇ヨハネ・パウロ二世に忠実な司祭たちや司教たち)に提出された死か、それとも奴隷化かというディレンマに対する唯一の回答はファチマで与えられたイエズスとマリアの命令に文字通り従うことである。

教皇と司教たちは一緒に、ある特別の日にマリアの汚れなき御心にロシアを荘厳にそして公的に奉献する義務に縛られている。注6)

われわれ平信徒、そして修道者と司祭たちは神と人々の前にわれわれ自身の生活において聖母の要求を果たす義務に縛られている。あなたたちは、シスター・ルチアによってわれわれに与えられた、そして聖母に宛てられた以下のファチマ・クルーセイダーの誓約にサインし、守るならば、聖母があなたたちに求めておられる最小限のことを為すであろう:

私の罪と全世界の罪のために、あなたの汚れなき御心への償いとして、ロシアを回心させ、すべての人類に平和をもたらすことをファチマで約束なさった愛すべき元后にして御母よ、私は荘厳に以下のことを約束します:

1)毎日、私の日々の義務によって要求された犠牲を捧げること。2)毎日、玄義を黙想している間にロザリオの一部(5連)を唱えること。3)この約束の告白として、そしてあなたへの奉献の行為として、カルメル山のスカプラリオを身につけること。私はこの約束をしばしば、特に誘惑のときに、更新します。*

署名..................................

(* この誓約は[神への]誓約ではなく、罪の苦痛の下で縛るものではない。それにもかかわらず、それは一つの約束 -- あなたの天の御母に対するあなたの言葉 -- である。)

  1. 第二次世界大戦の間、教皇ピオ十二世は公的な新聞およびラジオにおいてヒットラーとナチスの犯罪を非難するのを常とされた。しかしヒットラーはこれらの非難に対して10人の戦争捕虜を -- 獄房から引きだし、何らの裁判あるいは理由もなしに -- 殺すことによって報復した。彼らはピオ十二世がナチスの犯罪に対して遠慮なく言うたび毎にヒットラーの命令で処刑された。さらに明らかに教皇ピオ十二世による非難によって達成されたいかなるそれに比例した直接的な善もなかった。それゆえ彼はしばらくの間これらの犯罪を公的に非難しないことに決めた。なぜなら、彼が見かけの上ですることに成功したすべてのことがより多くの人々を処刑されるために送ることだったからである。これらの犯罪をそれ以上非難しないというピオ十二世のこの政策は短期間の政策としては、教皇が強いられた諸状況のために正しかった。教皇ヨハネ二十三世は鉄のカーテンの背後の共産主義政権との交渉において同じ推論の線を用いたのであろう。彼は無辜の人々が大量虐殺されていたこと、そして十分に強力であった国は何らこれらの抑圧された人々を助けに来る意志がなかったことを理解した。このことは、「自由世界」が1956年にハンガリーにおいて大きな機会を与えられたときに明らかに見られた。このように、彼は共産主義の諸悪に関して短期間の沈黙のために -- (彼は公会議は数ヶ月しか続かないと考えた)-- 鉄のカーテンの背後のカトリック者たちの迫害を少なくすることができるであろうと感じたのであろう。

  2. 教皇ヨハネ二十三世はバチカンの外交団における多年の経験を持っていた。彼は、1945年のヤルタにおけるルーズベルト大統領とウィンストン・チャーチルによってカトリック教徒たちと東欧の他の人々がどのように裏切られて奴隷状態と死へと追いやられたか、を見ていた。彼は1945年のヤルタの裏切りの条約が大多数のカトリック教徒たちをロシア共産主義者たちの手に引き渡したかを見た。彼はさらに、1956年に西側の自由世界が、ハンガリーの人々が彼らのロシアの抑圧者たちのくびきを投げ捨てることに成功したときに、ハンガリーの救援にかけつけなかったことに注目した。このようにして、アメリカが自由ハンガリーの救援の呼びかけに答えなかったとき、ロシア人は総勢でハンガリーに再突入したのである。それゆえ、教皇ヨハネ二十三世には、ヤルタ条約によって裏切られてきた国々が「自由世界」からの救援を期待できないということが明らかとなった。にもかかわらず、殉教者たちの血は流れ続けた。そして彼は鉄のカーテンの背後の彼のカトリックの兄弟たちを助けようと努力する義務を感じたのであった。

  3. あるカトリック教徒は教皇がどのようにして判断においてそのような誤りをし、そしてなお不可謬であり得るのかを不思議に思うかもしれない。このことは一つの小さな物語によって例証される。教皇ヨハネ二十三世は第二バチカン公会議の始めに、公会議の間に司教たちの椅子を支えるために用いられる聖ペトロ広場で必要とされる足場材料を借りるべきか買うべきかを判断しようと努力していた。彼は、公会議が非常に短い期間続くと考えていたので、足場材料を借りる方が安くつくだろうというので、買うよりも借りることに決めた。ある人が、教皇がそのように決定したということをパードレ・ピオに告げたとき、パードレ・ピオは公会議はヨハネ二十三世が考えているよりも長い間続くだろうと予言し、教皇は足場材料を買った方が少ない金を費やすことになるだろうと言った。パードレ・ピオが正しかったことが分かり、そして教皇ヨハネ二十三世は管理上の判断において誤りを犯したのである。簡単に言えば、不可謬性とは、諸教皇はキリストによって彼らに委ねられた彼らの通常のあるいは普遍的な教導職において、あるいは彼らの荘厳な特別の教導職の実践においては決して誤った教義を教えることはないということを、それによって神が保証なさったキリストから得ている教える権威のことを言うのである。教皇の不可謬性は、教皇が教会の管理において誤りをしないということをわれわれに全然保証しないのである。

  4. The Fatima Crusader , Issue No.13-14, p.4 以下にある聖母のこの陳述を説明しているジョゼフ・ド・サント・マリー神父による論考を見よ。* * この書物の p.59 以下を見よ。

  5. 西側の社会における強力な人々が世界的な共産主義の発展を助け続けているということは次のよう項目から見られる:項目第一:西側における非常に強力な人々が1981年5月13日に教皇を撃つためにK.G.B.によって支払われた雇われ暗殺者についての真実が知られるようになることを止めようと努力していると思われる。Claire Sterling の書物 "The Time of the Assassins"(ファチマ・クルーセイダーから注文)を見なさい。アグカ氏は彼自身教皇ヨハネ・パウロ二世を撃つために共産党の秘密情報員たちから雇われたと告白した。項目第二:教皇ピオ十一世は、もし西側における新聞の沈黙がなかったならば、ロシアにおける政権は続かなかったであろうと述べた。西側の社会における戦闘的無神論者たちのこれらの努力に関するさらなる光については小冊子 "Our Lady's Urgent Appeal to Us in the 1980's" を見て下さい。また "Fatima and the Great Conspiracy" という書物も見て下さい。(両方ともファチマ・クルーセイダーから入手可能)。** ** この書物のp.103-107 を見て下さい。この主題に関するもっと完全な取り扱いについてはまたこの書物の p.83 から始まる第 V 部全体をも見てください。

  6. The Fatima Crusader , Isuue No.11-12, p.3 を見てください。そこでは、ロシアを奉献する教皇と司教たちの重大な道徳的義務が聖書と神学によって論証されている。

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2004/12/23 三上 茂 試訳

作成日:2004/12/23

最終更新日:2004/12/23

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